「不祥事予防のプリンシプル」の対応状況

「不祥事予防のプリンシプル」は6つの行動原則で構成されており、不祥事発生を未然に防止するサイクルの定着を目指す[原則4]の目的を果たすために、[原則1]から[原則3]までの各視点からの取組みを求めるということを基本的な枠組みとしています。
JPXでは、この基本的な枠組みを踏まえ、以下のとおり自社における不祥事の予防に取り組んでいます。

原則1:実を伴った実態把握

  • グループ全社におけるコンプライアンスの状況を正確、かつ網羅的に把握することを目的として、定期的にCEOおよび各部門の責任者が出席するリスク管理委員会を開催し、未然防止の観点からのリスクの実態把握と、対応策の整備・運用についての協議等を行っています。
  • 緊急の対応を要する場合には、臨時リスク管理委員会を即時に開催し、統括的な状況把握を行うとともに早期解決に向けた対応を実行に移しています。
  • 上記の通常の実態把握の取組みに加え、本来機能すべきレポーティング・ラインが「目詰まり」した場合に備え、内部通報制度としてコンプライアンス・ホットラインの連絡窓口を社内外に設置し、継続的に役職員に周知することで、社内の声が上がりやすい環境を整備しています。

原則2:使命感に裏付けられた職責の全う

  • 全役職員が、恒久的な企業理念を拠り所とし、日々業務に邁進しており、企業理念に沿った経営を実践するため、経営陣自らコンプライアンスにコミットし、アニュアルレポートなどを通じて社内外にその状況を発信しています。
  • ガバナンス面では、経営監視・監督機能の一層の強化および透明性の向上に資することなどを目的として、指名委員会、報酬委員会および監査機能を担う監査委員会の構成人員や、取締役会全体に占める比率についても、過半数を社外取締役で構成しています。
  • 社外取締役を中心に構成された「リスクポリシー委員会」や、独立社外取締役のみによる「独立社外取締役委員会」において、情報交換・認識共有を図り社外の声を積極的に取り入れることで、社内で定着している慣習などが、日々変化する社会的意識と乖離していないかを意識しつつ、継続的に自社におけるガバナンスの実効性の向上、実態把握に努めています。

原則3:双方向のコミュニケーション

  • 現場と経営陣のコンプライアンス意識の共有のため、毎年、全役職員を対象として、コンプライアンス意識を維持向上する目的でe-ラーニングを実施するなど、全役職員におけるコンプライアンス意識の共有に努めています。
  • 中間管理職については、新任管理職向けの研修において、コンプライアンス意識を高めるメニューを盛り込むなど、高いコンプライアンス意識に基づいて行動するよう、意識付けを行っています。
  • 事業年度ごとに当社グループにおける重要リスクを特定し、当該リスクに対して必要な予防・対応を行う活動においては、当該リスクの抽出に関して、グループ全社の各部署から意見を抽出し取りまとめており、その際に、若手社員と経営陣が直接意見交換し、一方向からの意見にならないようコミュニケーションを取りながら意見を集約しています。
  • 現場と経営陣双方向のコミュニケーションを活性化する手段として、所属部門の業務と直接の関係がない社員でもビジネスのアイディアを経営陣へ報告する場の設置や、業務のやりがいや職場の風通しなどに関する社員の意識調査などを実施するとともに、社員の家族を招いてのオフィス見学会や社内イベントを開催して、役員を含めた社員間のコミュニケーションの活性化に努めています。

原則4:不正の芽の察知と機敏な対処

  • 上記の1から3までの各原則に沿ったサイクルを有機的に結びつけながら、「コンプラ疲れ」に陥らないよう留意しつつ、実態に即した不祥事の未然防止への対策を継続して行っています。
  • 具体的には、ホットラインで連絡を受けた際には、適切な事実関係の調査・分析、処分などを行うことで、法令や企業行動憲章等に違反する行為、あるいはその可能性があると思われる行為の存在を未然に察知、是正しています。
  • また、経営トップをはじめとした経営陣から、リスク管理委員会などを通じた「ヒヤリハット」事例への警鐘、および類似例への「横展開」による確認や、コンプライアンス意識の醸成のための継続的なメッセージの発信、バッドニュースほど早く経営陣に報告することへの意識付け、具体的な不祥事につながるような事例を基にしたe-ラーニングの定期的な実施などを行うほか、社員に対してコンプライアンス意識の浸透を調査するためのアンケートを実施し、意識醸成の浸透度や問題点の洗い出し、必要に応じた社内規則の改正などを継続的に実施しています。

原則5:グループ全体を貫く経営管理

  • JPXでは、いずれのグループ会社も金融インフラの根幹を支える重要な特性を有しており、全ての会社に欠くことのできない重要性があるとの認識の下、グループ一体となった経営管理を行っており、上記1から4までの各原則への対応をグループ全体に等しく展開しています。

原則6:サプライチェーンを展望した責任感

  • JPXグループは、株券を上場する上場会社や、投資者の注文を受託・執行する取引参加者、安全・確実に取引の決済を行う清算参加者、市場情報を適時・的確に社会に伝達する情報提供会社、株券や資金の決済インフラを提供する証券保管振替機構や日本銀行など、多種多様な関係者との協業により市場インフラを運営しています。
  • 上記の関係者において重大な問題が発生した場合には、取引所を含め、わが国金融市場の信頼性や取引の安全性が毀損されるおそれがあるため、例えば上場会社に対しては、東京証券取引所において上場会社が遵守すべきルールや望ましい企業行動の在り方を定めるとともに、自主規制法人における上場審査・上場管理業務を通じて上場会社の適格性の確保に努めています。また、取引参加者等に対しては、考査等を通じてその業務遂行の適切性や健全性の確保に努めています。
  • また、IT技術が急速に発達するなか、市場利用者の複雑化・高度化するニーズを満たし選ばれる市場になるため、信頼性の高いITインフラの構築を行うことも重要な使命であり、多数のシステムベンダーや支援人材の活用を図りながらシステム開発を推進しています。システムベンダー等から提供されるサービスの「品質管理」にあたっては、ベンダーに対する適切なモニタリングや、ベンダーとの責任分界点を明確にしたうえでの各当事者の位置付け・役割に係る認識共有の徹底を実施するなどの対応を図っています。