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TSE教育ホットライン

Vol.368「連載第九回「歴史の中の市場と証券」」

室町幕府の時代には、土倉(どそう)と呼ばれる金融専門業者が登場します。
彼らは、幕府経済の中枢を担うようになります。
土倉は前時代に荘園経営を担った借上(かしあげ)が金融専業に変化していったもので、寺社勢力の影響下にあり、彼らが貸す金の原資は祠堂銭(しどうせん)と呼ばれる寺社が永代供養等で得た資金でした。
寺社はそういった資金を長期に安定的に運用する必要があり、その運用先として土倉に資金を供給していたのです。
室町期には農民も武士も、多くの人が負債を抱える状態になりました。
これは、当時の人が消費熱に浮かれていたということではなく、社会構造がもたらしたものでした。
当時の武士は年俸制でしたが、これは年貢という農業経済に適合した為です。
年俸制は、期末には資金不足になりがちで、その際土倉はなくてはならない存在だったのです。
土倉の金利は、月利で5%(年利で50%~60%)と現代の我々から見ると高利で、幕府も武士も農民も、負債の返済に負債を負うというような構造に陥っていたとも言えます。
室町期の後期には、一揆も多発し、そういった経済問題に幕府が介入し徳政令を頻発させる事態になり、逆に「借りたものを返さなくてもいい」というモラルハザードからお金を借りることや、商業そのものが難しくなるといった経済的な混乱が拡大し、応仁の乱等を経て室町幕府は崩壊していったのです。

(金融リテラシーサポート部 石田 慈宏)

<先生のための「夏休み経済教室」>申込み受付中!

今年度も<先生のための「夏休み経済教室」>を開催いたします。
開催日時:8月21日(月)、22日(火)
     ※各日9:30~16:00
開催方法:ハイブリッド(対面+オンライン)開催
場所:慶應義塾大学 三田キャンパス 北館大会議室(3階)

本セミナーは経済教育ネットワークと共催で、今年度で16回目を迎えました。
今回も教材研究や授業に生かせるプログラムをご用意しております。
ご担当教科に関わらず、ご興味のある方などお誘い合わせの上奮ってご参加ください。

【東証マネ部!】今月の注目記事!!

春夏冬の学校の長期休暇期間に小中学生向けに経済教室を開催していますが、この春の経済教室にプロフィギュアスケーターの村上佳菜子さんが参加してくれました。
まず座学で中学生と一緒に経済や株式会社の仕組みについて学び、その後は株式投資体験にもチャレンジしました。
読者のみなさんも記事を読んで体験してみてください!

最近の株式市場の動向

梅雨の季節となりましたが、今年は例年よりも雨量が多いように思います。
また、寒暖の差が大きく、真夏のような天候となる日もあって、よく言われることですが、身体が慣れないうちは体調を崩しがちなので、注意が必要ですね。

今回は先月5月以降の東京株式市場の動向について、簡単に市況を振り返ってみます。

2023年5月の株式市場は、月の初めは、米国にて物価上昇が鈍化したとの期待から米国市場で株価が上昇したのを受け、東京市場でも買いが優勢となり株価は上昇基調となりました。
その後月の中ごろでも、日本の国内企業の業績が好調なことや、新型コロナウイルス感染症への規制緩和が進み、更なる国内経済の再開期待などを背景に、株価の上昇が続きました。
そして月末にかけても、米国での債務問題が解決するとの見方から買われ、TOPIX、日経平均とも再び33年ぶりの高値を更新しましたが、中国での経済指標が低下していることから、世界景気への先行き警戒感が強まり、株価は上げ幅を縮小して終わりました。
6月になっても、米国債務問題が解決したことを受けての米国市場での上昇や、為替相場での円安基調などが好感され、東京市場でも株価の上昇傾向が続いています。

先月5月1か月間について、TOPIXで見た上昇率は+3.56%、
上昇した主な業種は、電気機器、精密機器、保険株で、下落した主な業種は、海運、非鉄金属、繊維株でした。

また、昨年末からの比較では、5月末のTOPIXで見た上昇率は+12.62%、
上昇した主な業種は、電気機器、機械、ゴム製品株で、下落した主な業種は、海運、水産農林、非鉄金属株でした。

次号以降も、定期的に配信します。学校の授業等で参考にしていただけたら幸いです。

作品募集中! 作文・小論文コンクール/金融広報中央委員会

全国の教員・教員経験者や教職を目指す大学生等を対象に「金融教育」に関する実践報告を募集中です。

子どもたちの“社会の中で生きる力”を育む——それが「金融教育」です。
教科・領域を問わず、学校での実践や計画、これまでの経験に基づく提言をお寄せください。

先生方個人の応募に加え、学校としての応募も歓迎します。
金融教育が注目されている今こそ!みなさまの力強いメッセージをお待ちしています。

◎第20回金融教育に関する実践報告コンクール
特賞 1編 (賞状・賞金30万円)
優秀賞 3編(賞状・賞金20万円)
奨励賞 4編(賞状・賞金5万円)
<締め切り:2023年9月30日消印有効>

中学生、高校生等対象の「おかね」や「金融・経済」に関するコンクールも同時募集中です。
キャッシュレス決済の広がり、インターネットトラブル・・・など、時代とともに金融を取り巻く環境は大きく変化しています。
授業で作文・小論文の糸口となる題材を取り上げ、夏休みの課題等としていただくなど、学校教育の一環としてご活用いただければ幸甚です。
学校でまとめてご応募いただけますよう、今年度より応募時の注意事項をまとめた生徒配付用チラシ(A4サイズ)をコンクールサイトよりダウンロード出来るように掲載いたしました。
多くのご応募をお待ちしています。

◎第56回「おかねの作文」コンクール(中学生対象)
◎第21回「金融と経済を考える」高校生小論文コンクール(高校生等対象)
<締め切り:両コンクールともに2023年9月15日消印有効>

お問い合わせ:
金融広報中央委員会コンクール事務局
TEL:03-6265-6818(平日10時~17時)