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TSE教育ホットライン

Vol.359「連載第十七回「澁澤栄一と東京株式取引所」」

1878(明治11)年、明治7年の証券取引所条例が廃止になり、改めて、新しい証券取引所条例が公布されました。
同時に、澁澤等の取引所設立の請願は許可されて、株式会社として東京株式取引所が創設されました。
創設時点では株式会社の上場はなく、公債取引だけが行われました。
同年末、東京株式取引所自身、第一国立銀行、兜町米商会所、蛎殻町米商会所の4社の株式会社が上場し、日本で初めて株式が証券取引所で売買されるようになります。
最初の上場会社のうちの3社が取引所で、当時は商品取引と金融取引の境が明確ではなかったことを思えば、全て金融関連の会社だったとも言えます。
このことは、当時の日本において、如何に証券市場を中心とした金融システムの整備が急がれていたかを物語っていると思われます。澁澤は、日本の伝統的な取引慣行の上に、欧米の株式取引制度を接ぎ木するようにして、日本に新しい近代的な金融市場を急いで導入することを企画し、成功させたのです。
一方で、商品取引と証券取引の区別が曖昧なこと、先物の清算取引がほとんどで、現物の所有権が移転するような取引が少ないという投機的な性質や、取引所が株式会社となり自らの利益を優先しがちになったこと等が、この後、明治・大正・昭和初期の経済に影響を与えていくことにもなったのです。

(金融リテラシーサポート部 石田 慈宏)

連載「澁澤栄一と東京株式取引所」は今回が最終回です。
新連載も企画中です。引き続きご期待ください。

<先生のための「夏休み経済教室」>終了しました!

今年で15年目となった<先生のための「夏休み経済教室」>を開催しました。
昨年に続きオンラインでの開催となりましたが、3日間でのべ約640名の先生方にお申込みいただきました。
ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。

金融や経済専門の先生だけでなく、他分野の先生方から
「すぐに実践できる内容が多く、非常に学びが多かった。」「"どんな力を身につけさせるべきなのか"自分の考え・意識を改めることができました。」「実社会につながる話題が多く刺激と興味の湧く内容でした。」
などコメントを多数頂戴しました。

本経済教室の模様は弊社WEBサイト<なるほど!東証経済教室>に掲載しております。
是非ご覧ください。

今後も、実際の教育現場において、限られた授業時間の中で
効果的に金融知識を教えられるための授業支援プログラムに取組んで参ります。
引き続き弊社の活動へのご理解、ご協力の程、どうぞよろしくお願い申し上げます。