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TSE教育ホットライン

Vol.375「連載第十六回「歴史の中の市場と証券」」

大坂堂島米市場(おおさかどうじまこめいちば)の話を進める前に、米という食品としての商品の流通について別の話をしなければなりません。

大坂堂島米市場で取引される米切手は三十数銘柄で、日本全体で300程度の藩が存在していたことから考えるとほんの1/10程度の藩の領主米という事になります。
それ以外の米は大坂堂島米市場で売買されることなく、各藩の大坂蔵屋敷で入札が行われた後に相対で売買され、最終的には米商人が入手し大坂等の店頭で販売されたと考えられます。

そういった相対での取引において、堂島米市場で売買される代表的な30数銘柄の米の価格が指標となっていたのは間違いありません。

米の流通全体は、各藩が税収として得た米(領主米)だけを考えればいいわけではありません。
領主米以外に、各藩、藩の武士が地元で米商人に販売して換金したもの、農民自身が各地で換金のために販売したものも大量に存在しました。

各藩在地の米商人も、自分の領内・商圏でさばききれない米は、やはり米の大消費地である大坂に各自回送していました。
こういった米は領主米に対し納屋米といい、これは各藩在地の米商人から大坂の大手の米商人へ純粋に米という食品として出荷され、大坂のお米屋さんの店頭に並び、消費されていました。
無論、これらの取引価格にも大坂堂島米市場の価格は強い影響を与えていたと思われます。

そしてむしろ、こういった納屋米の流通の方が食品としての米の主な商流であり、領主米の方は別の性格を帯びていたと考えられます。

(金融リテラシーサポート部 石田 慈宏)

「先生のための冬休み経済セミナー」活動レポート

昨年12月29日に開催いたしました、先生のための冬休み経済セミナーには、
100名の先生方にご参加いただきました。ありがとうございました。

当日の講演要旨をWEBサイト<なるほど!東証経済教室>に掲載いたしました。是非ご覧ください。

◎先生のための冬休み経済セミナー開催概要
主催 :株式会社東京証券取引所(株式会社日本取引所グループ)
開催日 :2023年12月29日(金) 
会場 :株式会社東京証券取引所

講演内容:①「授業のネタにも使える!『会社四季報』の見方、最新の業界トレンドについて」  
       冨岡 耕氏(東洋経済新報社 「会社四季報」編集長)
     ②「AIとは何か~AI時代に求められる教師のスキルとは」
       藤元 健太郎 氏(D4DR株式会社 代表取締役社長/コンサルタント)


今後も先生方対象のセミナーを開催します。
内容は弊社WEBサイトや本メールマガジンでご案内いたしますので是非ご参加ください。

【東証マネ部!】今月の注目記事!!

新年1つ目のメルマガとなりますので、「日本の未来について」「金融教育について」考えるような2記事をご紹介したいと思います。

“日本の未来”を有識者が占う連載「日本経済Re Think」特集の記事です。
日本には株価を3倍にするポテンシャルがあり、また株価を上げることは投資家が嬉しいだけでなく社会全体に恩恵をもたらす、と松本氏は力説しています。
そのために私たち個人ができることはたくさんあります。この記事を読んで、日本国民の一人として何ができるかを一緒に考えてみましょう。

学校で金融教育するべきか、またどのようなことが学べるといいかということを、全国の20~40代の会社員に質問したアンケート記事です。
家計管理や資産形成だけでなく、借金や詐欺などトラブルを回避する策についても関心が高いようです。
日常生活で避けては通れないお金周りの話ですが、学校で教わった経験がない方が大半ですので、ご自身が教えてもらいたかったという思いがあるのだと思います。
専門的に教えるのは難しいと思いますが、各教科で少し意識してお金の話に触れていくといいかもしれません。

最近の株式市場の動向

新年となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
年の初めに能登地方での大地震といった重大な自然災害が発生しました。被災された多くの方々にはお悔やみ申し上げます。
毎年、この時期には干支にちなんだ相場の格言を基に、その年の株式市場を予想したりします。
今年は、「辰巳天井」ということで、株価が2年間に渡り天井を付け、その先は下がるということなのでしょうか。鵜呑みにはできませんが、一つの参考になるのかもしれませんね!?皆様は、どう思われますか??

今回は昨年12月以降の東京株式市場の動向について、簡単に市況を振り返ってみます。

2023年12月の株式市場は、月の初めは乱高下して始まった後、日本銀行による金融緩和が再び修正されるとの思惑が高まり大幅安の展開となりました。
中旬になると、外国為替相場で円高が加速したことや、国内政治の不透明感などから一段安となりましたが、ニューヨーク株式市場で、NYダウが連日過去最高値を更新したうえ、日本銀行が引き続き金融政策を維持したことから、安心感がひろがり戻り歩調となりました。
月末にかけては、米国株式市場やアジア市場での株高などを受け、東京株式市場でも下げ幅を縮小しましたが、東京市場が年末年始5連休となることの警戒感も強く、一進一退となりました。
新年1月になると、能登地震といった重大な自然災害が発生しましたが、外国為替相場での円安傾向や米国株式市場での上昇を好感し、東京株式市場では値上がり傾向が続いています。

先月12月1か月間について、TOPIXで見た下落率は-0.36%、
上昇した主な業種は、海運、サービス、化学株で、下落した主な業種は、鉱業、輸送用機器、ゴム株でした。

また、昨年1年間での比較では、12月末のTOPIXで見た上昇率は+25.0%、
上昇した主な業種は、鉄鋼、海運、卸売株で、下落した業種は、医薬品株のみでした。

次号以降も、学校の授業等で参考にしていただけたら幸いです。