TSE教育ホットライン
Vol.380「連載第二十一回「歴史の中の市場と証券」」
前回、正米(しょうまい)取引は高価で取引参加者が限られていること、現物の受け渡しにつながる可能性があるため
投機目的の仲買人には手狭に感じられることをお伝えしました。
そこで、正米取引とは別に作り出された取引が帳合米(ちょうあいまい)取引でした。
まず、現物の米が後ろ盾として存在しない米切手として、架空の藩が発行する米切手を考えだしました。
その米切手は架空のものですから、売買する際には、当日中に、売ったら買戻し、買ったら売戻して、その売買に係る差額だけを受け渡しすればいいことにしました。
動くのは差額だけですから、用意するお金は正米取引より格段に小さくて済むのです。
当日中に反対売買できない場合もあり、そういう場合は米方両替という清算業者に資金を借りる形で繰り越しが可能でしたが、
長い期間繰り越しすると制度上問題が生じるので、繰り越しできない期限を設ける必要があります。
そこで、1年を3期にわけて各期を跨げないように期日を設けました。
あとは、期初にその架空の米切手の値段をどうやって決めるか、期末に強制的に決済させる価格を何によって決めるかという問題があるわけですが、
それは、正米市場の適切な米切手を選んで、その価格を用いることとしました。
こうして出来上がったのが帳合米取引ですが、まさに、正米取引の手狭な部分を、巧みに手広く修正した売買制度になっています。
この仕組みを全体を通してみれば、堂島市場全体を表す標準的な米切手指標価格の先物を取引しているのと同じ事になり、
実際に、帳合米取引を行う仲買人達もそのように理解して取引をしていました。
帳合米取引は正米取引に比較して、投機を目的とする仲買人には圧倒的に使い勝手が良く、
堂島米市場の売買全体の8割から9割が帳合米取引であったと言われています。
(金融リテラシーサポート部 石田 慈宏)
<先生のための「夏休み経済教室」>申込み受付中!
今年度も<先生のための「夏休み経済教室」>を開催いたします。
本セミナーは今年度で17年目を迎えました。今回は、経済教育ネットワーク、慶應義塾大学商学部と共催で行います。
4年ぶりに大阪会場も開催します。(大阪会場は対面のみ。)
今回も教材研究や授業に生かせるプログラムをご用意しております。
ご担当教科に関わらず、ご興味のある方などお誘い合わせの上奮ってご参加ください。
【セミナー概要】
開催日時:
大阪会場
2024年
8月13日(火)中学対象 対面のみ
8月14日(水)高校対象 対面のみ
東京会場
2024年
8月19日(月)中学対象 対面+オンライン
8月20日(火)高校対象 対面+オンライン
※各日9:30~16:00(20日のみ16:30終了予定)
場所:
大阪会場:大阪取引所4階 OSEホール(大阪証券取引所ビル)
東京会場:慶應義塾大学 三田キャンパス 北館ホール
東京オンライン :Zoom配信
【東証マネ部!】今月の注目記事!!
【1つ目の記事】
日本ではかつて東京証券取引所と大阪証券取引所が有名でしたが、
2013年に両社が経営統合して以降、大阪「証券」取引所はなくなってしまいました。
(デリバティブ取引のみを行う「大阪取引所」として存続しています。)
世界には様々な取引所が存在していますが、グローバル化に伴い、厳しい国際競争を生き抜くため、近年統合を選ぶ取引所も増えています。
本記事では、世界の証券取引所の概要について、わかりやすく解説します。
【2つ目の記事】
世界各国で進むカーボンニュートラルへの取り組み。日本は2050年のカーボンニュートラル達成を目指しています。
そんななか、カーボンニュートラル実現を後押しする「カーボン・クレジット市場」が、2023年10月に東京証券取引所に開設されました。
今回はそんな「カーボン・クレジット市場」について、図とイラストを用いてわかりやすく解説します。
最近の株式市場の動向
今年は全国的に遅れて梅雨入りとなりました。
季節の移り変わりが例年と違うときには、何かしら思わぬことが起きるのではないかと、少し不安になります。
日ごろから、自分の身の回りには、いざという時に備えて、用心が必要なのかもしれません。
では、今回は今年5月以降の東京株式市場の動向について、簡単に市況を振り返ってみます。
2024年5月の株式市場は、月の初めは、米国の経済指標が良いものも悪いものもあり、FRBの金融政策の方向性に対する想定が定まらず、
相場は乱高下して始まった後、日本企業の好決算や株主還元策が好感されて値を戻し、荒い値動きとなりました。
中旬では、米国のインフレ懸念が後退したことや、欧米の主要株価指数が過去最高値を更新したことなどから、
ハイテク株を中心に大きく値を上げるものもあって、堅調に推移しました。
月末にかけては、日本国内の長期金利が上昇したため、一時下落する場面も見られましたが、
日米ともに長期金利の上昇が一服したことから、買い安心感が広がり、
月末取引最終日には歴代最高売買代金を記録する中、堅調な相場展開となりました。
6月になると、東京株式市場は、米国株式市場や日米長期金利の動向、国際情勢の影響などから、やや軟調な値動きとなっています。
先月5月1か月間について、TOPIXで見た上昇率は+1.07%、
上昇した主な業種は、保険、その他製品、電気・ガス株で、下落した主な業種は、不動産、陸運、パルプ・紙株でした。
また、昨年末との比較では、5月末のTOPIXで見た上昇率は+17.16%、
上昇した主な業種は、保険、石油石炭、非鉄金属株で、下落した業種は、陸運、空運株でした。
次号以降も、学校の授業等で参考にしていただけたら幸いです。
「おかね」に関するコンクール 作品大募集!/金融広報中央委員会
お金についての知識は、大人になる前の、小・中学生、高校生のうちに身に付けておくことが大切です。
お金を手がかりに、自ら学び、考え、主体的に判断・行動し、よりよく問題を解決する資質や能力を養うことは、『生きる力』を養うことにもつながります。
金融広報中央委員会では、お金に関する知識や判断力(金融リテラシー)を身に付けるための「金融経済教育」に関する活動を行っており、
その一つとして、中学生・高校生等を対象とした 「おかね」に関する作文・小論文コンクールを実施しています。
◎第57回「おかねの作文」コンクール(中学生対象)
特選 5編(賞状と図書カード4万円分)
秀作 5編(賞状と図書カード2万円分)
佳作 10編(賞状と図書カード3千円分)
学校賞(特選受賞者在籍校) 5校(賞状と図書カード1万円分)
◎第22回「金融と経済を考える」高校生小論文コンクール(高校生等対象)
特選 5編(賞状と奨学金5万円)
秀作 5編(賞状と奨学金3万円)
佳作 10編(賞状と図書カード6千円分)
学校賞(特選受賞者在籍校) 5校(賞状と図書カード1万円分)
<締め切り:両コンクールともに2024年9月15日(日)消印有効>
各コンクールの詳細は下記URLをご覧ください。
成年年齢の引き下げで自立した消費者としての責任を早く求められるようになったことや、
インターネットやスマートフォンの普及による中高生の生活変化に伴う金融トラブルの低年齢化など、
時代とともに金融を取り巻く環境は大きく変化しています。
授業で作文・小論文の糸口となる題材を取り上げ、夏休みの課題等としていただくなど、学校教育の一環としてご活用いただければ幸甚です。
学校でまとめてご応募いただけますよう、応募時の注意事項をまとめた生徒配付用チラシ(A4サイズ)をコンクールサイトよりダウンロード出来るように掲載いたしました。
多くのご応募をお待ちしています。
お問い合わせ:
金融広報中央委員会コンクール事務局 TEL:03-6265-6818(平日10時~17時)
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