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TSE教育ホットライン

Vol.381「連載第二十二回「歴史の中の市場と証券」」

帳合米(ちょうあいまい)取引は寄場において競争売買(オークション)方式で行われました。
売り手または買い手が、仲買人の集団に対し数量と価格を提示(発声と手サイン)し、応じる者が「買った、売った」と反応すると、売買が成立する方式です。
発声している者がその数量を売り切るか買い切るまで続きます。

これが、立会場で午前8時から午後2時まで、昼休憩などをはさみながら断続的に行われ、
売買が成立する度に価格は報告され、掲示されていきます。

午後2時近くになると三寸ほどの火縄(棕櫚縄)に火がつけられます。この火縄がついている間に売買が行われないと、その日の売買はすべて取り消しになりました。
これは、日中の取引の乱高下を防ぐ仕組みで、日中に価格が上昇しすぎや下落しすぎだと仲買人たちが考えるなら、
だれも最後に売買しなくなるので、火縄の点灯中に売買が行われません。
そうなると商いがすべて取り消しになってしまうので、これによって仲買人たちは価格の乱高下を抑えて売買するインセンティブが強く働いていたと考えられます。
火縄が消えたときの値段は翌日の始値の値段となりました。

帳合米取引の日々の売買の結果は数日分まとめて清算されていました。
清算はすべての米方両替と呼ばれる清算業者が清算日に取引所の会所に集まって行いました。
帳合米取引を行う仲買人はいずれかの米方両替に口座を有しており、日々の売買結果の記録をその米方両替に渡していました。
米方両替は清算日に集まって、顧客の売買記録を全員で照合し、どの顧客が資金をいくら払いいくら受け取るのかを確定させ、通知し、
最終的な支払いの決済を確認していました。まさに、現代の証券決済機関と同じです。

当日反対売買できない場合は、米方両替に資金を借りて決済を繰り延べると先述しましたが、その際の利息が米方両替の主な収入源で、
それ以外に仲買人から費用を取っていないどころか、立会場の維持経費も当初は米方両替のみが負担していたようで、
実際には相当の仲買人が当日に反対売買を完了させず、決済を繰り越して、さらなる値上がり値下がりを期待していた事が容易に想像できます。

(金融リテラシーサポート部 石田 慈宏)

<先生のための「夏休み経済教室」>東京会場は引き続き申込み受付中!

今年度も<先生のための「夏休み経済教室」>を開催いたします。
本セミナーは今年度で17年目を迎えました。今回は、経済教育ネットワーク、慶應義塾大学商学部と共催で行います。

東京会場は引き続き申し込みを受け付けております。
(大阪会場は定員となりました。)

今回も教材研究や授業に生かせるプログラムをご用意しております。
ご担当教科に関わらず、ご興味のある方などお誘い合わせの上奮ってご参加ください。

【セミナー概要】

開催日時:

大阪会場(既に定員に達しております。)
2024年
8月13日(火)中学対象 対面のみ
8月14日(水)高校対象 対面のみ

東京会場
2024年
8月19日(月)中学対象 対面+オンライン
8月20日(火)高校対象 対面+オンライン

※各日9:30~16:00(20日のみ16:30終了予定)


場所:
大阪会場:大阪取引所4階 OSEホール(大阪証券取引所ビル)
東京会場:慶應義塾大学 三田キャンパス 北館ホール
東京オンライン :Zoom配信

【東証マネ部!】今月の注目記事!!

「LIAR GAME」の作者と「クロサギ」「正直不動産」の原案担当者がタッグを組んだ人気漫画「カモのネギには毒がある」。
大人も楽しみながら経済学や行動経済学、心理学の理論を学べると人気の漫画です。
様々な金融詐欺事件が毎日のようにニュースで流れていますが、お二人が考える、私たちが「カモられない」ために必要なこととは?

発売前から重版がかかるほど反響の高かった「ちいかわ おかねのドリル 入学準備~小学1年」(主婦と生活社)。
ドリルにつく「おかねカード」も楽しんで長く使えるようにと新紙幣を意識したデザインにする等、随所に細かい工夫が施してあります。
キャラクターの力を借りつつ、他にはどのようなアイディアで幼い子供に「お金」の仕組みを伝えているのでしょうか。
担当編集者に、伝えるための工夫や実際の苦労を話していただきました。

最近の株式市場の動向

今年は全国的に、平年に比べ梅雨入りが遅れましたが、一方で梅雨明けは、大きくは遅れない見通しのようです。
梅雨が明ければ、夏本番となり猛暑が予想されますが、同時に台風シーズンについても心配になってきますね。
体調管理に加え、日ごろの備えにもご注意ください。

では、今回は今年6月以降の東京株式市場の動向について、簡単に市況を振り返ってみます。

2024年6月の株式市場は、月の初めは、先月の流れを受け継いで続伸して始まった後、国内自動車メーカーの不正認証発覚問題などから、
下落基調に転ずる場面も見られましたが、外国為替相場での円安進行を好感して、再び値を上げるなど方向感の乏しい相場展開となりました。

中旬では、日本銀行の金融政策に対する不透明感に加え、フランスでの政情不安の影響で大きく値を下げ、一段安となりました。
月末にかけては、円安進行で自動車関連株を中心に買われるとともに、3月期末配当金が再投資されるとの期待感から堅調に推移する中、
国内長期金利上昇を背景に金融株が買われて、上昇基調が続く展開となりました。

7月になると、東京株式市場は、当初は前月から続いて高値を追うように値上がりしていましたが、米国株式市場の動向などから、一転して下落基調となっております。

先月6月1か月間について、TOPIXで見た上昇率は+1.34%、
上昇した主な業種は、保険、倉庫、サービス株で、下落した主な業種は、ゴム、電気・ガス、海運株でした。

また、昨年末との比較では、6月末のTOPIXで見た上昇率は+18.73%、
上昇した主な業種は、保険、石油石炭、銀行株で、下落した業種は、陸運、空運株でした。


学校の授業等で参考にしていただけたら幸いです。

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