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TSE教育ホットライン

Vol.339 連載企画第九回「歴史的経緯からみる株式会社制度と家計のポートフォリオ選択②」

日本人の金融リテラシーと資産形成に関する国際比較に関する論点考察
第九回は「歴史的経緯からみる株式会社制度と家計のポートフォリオ選択②」です。


前回は、株式会社や株式会社制度が、英米でどれほど根付いていたのかを説明しました。
今回は、深く株式会社や株式会社制度が根づいていた英米と比較して、日本ではどうだったかを考えます。

日本では、福沢諭吉著『西欧事情』より、株式会社制度が一般に広く紹介されました。
また、渋沢栄一は渡仏時の経験等を経て、「合本組織」という日本的な株式会社制度を考案します。
公共の利益を増進させるため、多くの人が資金を出し合って作るもので、明治初期より、渋沢は日本の様々な株式会社設立に貢献します。
日本で最初の株式会社は、その渋沢が起草した国立銀行条例に基づいて設立された、第一国立銀行です。
アメリカのナショナル・バンク(国法銀行)制度を導入し、これが有限責任下での株式会社制度でした。
そういう意味では、日本の株式会社の基本要件である有限責任制度は、深い議論や会社の歴史があって導入されたというよりは、株式会社制度とはそういうものである、という認識でした。

前回お話した、欧米での株式会社制度の熟成と社会への浸透の深さとは異なり、日本では、出来上がったものとして導入されました。
よって当然、株式会社制度の社会的な浸透度は相当浅かったと言わざるを得ません。
特に、ドイツや日本では、銀行を中心とした財閥が発達し、銀行を通じた資本提供が主になり、英米とは異なる株式会社の発展となった、といわれています。
明治になってはじめて創設された株式取引所において、欧米とは異なる独自の株式投資家、株式投資観が形成されていきました。
それは、江戸時代の米切手の売買が行われた堂島米会所の、株券の所有権の移転を前提としない差金決済のルールがそのまま適用され、それが第二次大戦終了時まで続いたことに起因しています。

このことは、現在の日本人の株式投資に対する根深い忌避感と無縁ではないと思います。


(金融リテラシーサポート部 石田 慈宏)

アーカイブ公開「先生のための冬休み経済セミナー」

昨年末、東証が主催した先生方対象オンラインセミナーのご視聴、ありがとうございました。
本セミナーのアーカイブ、及びレジュメを公開しましたので、お知らせいたします。
期間限定の公開です。(本日より2021年3月末まで)ご覧いただけますと幸いです。

また、本セミナーの講演要旨も公開しております。合わせてご覧ください。


・講演 :
①教員向け時事解説「2021年の経済展望」~コロナ禍での経済情勢を読み解く~
【講師】日本経済新聞社 編集局 編集委員兼キャスター 鈴木 亮

②トークライブ「科目連動で教える金融経済」
【講師】名古屋市立大学大学院経済学研究科 准教授 横山 和輝
(聞き手)東京証券取引所 金融リテラシーサポート部 課長 石田 慈宏

【日本FP協会】パーソナルファイナンス教育セミナーのご案内

日本FP協会主催の教員対象セミナーのご案内です。

パーソナルファイナンス教育(金融経済教育)に関する情報や、授業事例等について、
学校並びに教育関係者の方々を対象にセミナーを開催します。
詳細・申し込み方法等につきましては、以下をご覧ください。


【セミナー概要】
・主  催:NPO法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会
・日  時:2021年1月30日(土)10:00~12:10
・配  信:ZoomによるLIVE配信(ウェビナー)
・定  員:100名(高等学校教員及び教育関係者)
      ※事前申込み制・先着順
・申込締切:2021年1月21日(木)17:00
・参加費 :無料


【プログラム】
1.「パーソナルファイナンス教育(金融経済教育)」への取り組み
   日本FP協会事務局

2.「これからの社会における金融経済教育の重要性」
~新学習指導要領では金融経済教育はどう描かれているか~
   講師:文部科学省初等中等教育局教育課程課 教科調査官 小栗 英樹 氏 

3.パーソナルファイナンス教育の授業事例
講師:AFP認定者 飯村 久美 氏

4.金融経済教育用小冊子の紹介、インストラクター派遣制度および派遣実績の紹介
日本FP協会事務局