内国株の売買制度

取引所の市場における売買は、競争売買の方法によって行われています。

競争売買とは、価格優先の原則と時間優先の原則にしたがって、売呼値間の競争と買呼値間の競争を行い、最も優先する売呼値と最も優先する買呼値がある値段的で合致したときに、その値段を約定値段として売買契約を締結させる方法です。この方法は、市場で大量の売買注文を短時間のうちに処理するための、最も合理的な方法といわれています。

 

注文の種類

注文には基本的に、成行注文と指値注文があります。

成行注文 どの値段でもよいから、買いたい/売りたいという注文
指値注文 ○○○円(以下)で買いたい、○○○円(以上)で売りたいという注文

また、この他に一定の条件を付した注文として、寄付条件付注文、引条件注文、不成注文、IOC注文があります。

寄付条件付注文 前場または後場の寄付きに執行されることを条件とした注文
引条件注文 前引けまたは大引けに執行されることを条件とした注文
不成注文 各立会終了時までは指値注文として有効な注文で、ザラバで売買が成立しなかった場合には、前引けまたは大引けの時点において、引け成行注文に変更して執行することを条件とする注文
IOC注文 指定した値段かそれよりも有利な値段で、即時に一部あるいは全数量を約定させ、成立しなかった注文数量を失効させる条件付注文

IOC注文については、下記リーフレットも併せてご覧ください。

IOC注文リーフレット

価格優先及び時間優先の原則

価格優先の原則

価格優先の原則とは、売呼値については、値段の低い呼値が値段の高い呼値に優先し、買呼値については、値段の高い呼値が値段の低い呼値に優先するという原則です。したがって、例えば、100円、101円、102円、103円の売呼値があった場合には、安く売ってもよいという100円の売呼値が優先し、同じ値段に買呼値があった場合には、高くても買いたいという103円の買呼値が優先することになります。

また、呼値には、値段を指定した呼値(指値)のほか、成行呼値があります。成行呼値は、いくらでもよいから売りたい又は買いたいというものですので、成行呼値は値段を指定した呼値(指値)に優先することになります。

時間優先の原則

時間優先の原則とは、同じ値段の呼値については、呼値が行われた時間の先後によって、先に行われた呼値が後に行われた呼値に優先するという原則です。例えば、100円の買呼値に、A取引参加者10万株、B取引参加者1万株があって、A取引参加者の呼値が先に行われたとしますと、A取引参加者の呼値10万株が全部執行された後に、B取引参加者の呼値が執行されることになります。

同時呼値

時間優先の原則の例外として、午前立会と午後立会の取引開始時や売買停止後の最初の約定値段を決める約定については、それまでに出されたすべての注文が同時に発注されたものとみなします(後場始値決定前や売買停止後の最初の約定値段決定前等には、前場中やザラ場中に発注された注文も含めて、それまでに発注された注文はすべて同時注文として取扱います。) 。この場合の約定は、「板寄せ方式」で行われます。

 

個別競争売買の方法

板寄せ方式とザラバ方式

東京証券取引所(以下「東証」という)の売買は個別競争売買によって行われています。個別競争売買には、"板寄せ方式"と呼ばれる方法と"ザラバ方式"と呼ばれる方法とがあります。

  板寄せ方式 ザラバ方式
実施時 立会開始時
立会終了時
売買中断後の再開時
特別気配・連続約定気配の表示時
左記以外
(寄付と引けの間=ザラバ等)
約定価格 売注文と買注文から、合致する値段を求め、その値段が単一の約定値段となる 価格優先の原則、時間優先の原則に従い、合致したものから順に約定する

ストップ配分

ストップ配分は、株価が制限値段まで上昇・下落し、需給が大きく偏った際の終値を決定する売買に使われる配分方法です。

終値が成立するときには成行注文がすべて約定することが必要となりますので、成行注文が大量に発注されている場合には終値を成立させることができません。そこで、終値がストップ値段で成立するような場合には、通常の板寄せ方式による約定ルールをそのまま適用することはせず、以下の条件を満たしていれば、売買を成立させることとしています。

・成行注文を制限値幅における指値注文とみなします。
・ストップ高の場合には制限値段に1単位以上の売り注文がある場合、ストップ安の場合には1単位以上の買い注文がある場合、売買が成立します。

ストップ配分の際は、板寄せ方式に準じた順位で各取引参加者単位に売買が成立します。1売買単位でも配分することができればストップ配分は成立しますので、結果、配分されない証券会社が出ることもあります。また、各取引参加者は東証から配分された結果をもとに、それぞれの社内ルールにしたがって、注文を出されたお客様への配分を決めることとなります。したがって、お客様の注文がストップ配分で約定するか否かは、東証のルールに加えてご利用の証券会社のルールにもよります。

制限値幅

特別気配

株価が、例えば1,000円の時に、その直後に1,100円、その後すぐに950円というように、次から次に大きく変動し、乱高下してしまうと、成行注文を出した場合には思わぬ値段で売買が成立してしまう可能性がありますし、注文を出すタイミングも難しくなってしまいます。

そこで東証では、価格を決定する場合、直前の価格と比較して一定の値幅の範囲内のときに限り、即時に次の売買を成立させることとしています。その値幅を「気配の更新値幅」といい、直前の価格を基準として定められています。

直前の価格から更新値幅を超えた水準で次の売買が成立するような場合には、即時に売買を成立させず、更新値幅の範囲内で「特別気配」を表示します。直前の価格よりも高い値段で売買が成立する状態の場合は「買」特別気配を、安い値段で成立する状態の場合は「売」特別気配を表示します。

例えば、直前の約定値段が1,000円のときで、その次の約定値段が1,050円 (+50円)となってしまうような場合には、気配の更新値幅が30円ですから、1,030円に買特別気配を表示して、「1,030円よりも高いところに買注文がありますが、売注文はありませんか」と呼び込みます。このように特別気配を表示することで、一瞬のうちに価格が大きく動くことがないため、投資者の方は発注のタイミングを図ることができます。また、買特別気配を表示したことで売注文が出てきた場合には、買注文を出した投資者は割安な値段で買えるわけです。

なお、特別気配を表示しても、反対の注文が入ってこないで、その特別気配値段で売買が成立しない場合には、3分間隔で特別気配を更新して徐々に売買が成立する値段に近づけていきます。この値幅は、気配の更新値幅と同じです。

特別気配の更新値幅

連続約定気配

上記の特別気配は、1,000円で約定した次に1,050円で約定してしまうように一度に大きく価格が変動することを防止する仕組みです。しかし、売買システムの約定処理の高速化に伴い、連続的な買い上がり(または売り下がり)により価格の急変動が起こる場合があります。例えば、直近の約定値段が1,000円の時に、大口又は複数の買い注文によって1,020円→1,040円→1,060円…というように連続的に売買が成立する場合には特別気配は表示されず、瞬時に価格の急変動が発生することが予測されます。

そのような場合にも価格の急変動を抑えるために導入された制度が連続約定気配です。起点となる約定値段から気配の更新値幅の2倍を超過する水準で連続的に売買が成立する場合には、起点となる約定値段から気配の更新値幅の2倍の値段まで売買を成立させた後、連続約定気配を1分間表示して、瞬時の価格の急変動を周知し、価格変動を相殺する反対注文を喚起することとしています。連続約定気配を表示する要件は以下のとおりです。

①1注文によって直前約定値段から更新値幅の2倍を超過する水準で連続的な約定が生じる場合(起点となる値段は、直前約定値段とします。)
②複数注文であるか否かにかかわらず、起点となる値段の約定時刻から1分以内に更新値幅の2倍を超過する水準で連続的な約定が生じる場合(起点となる値段は、ザラバ中の最初の約定時に設定され、以後、1分経過後の最初の約定発生時、または板寄せ方式による約定後の最初の約定発生時に再設定されます。)

なお、連続約定気配表示中は、板寄せ方式で売買を行うこととし、連続約定気配が表示された時点から1分を経過後、連続約定気配値段を基準として気配の更新値幅の範囲内に対当する値段が存在する場合には、即時に売買が成立しますが、範囲外で対当している場合などは、連続約定気配を特別気配に切り替え、「連続約定気配値段±気配の更新値幅」の値段に特別気配を表示します。

 

具体例を用いた説明は、「セミナー・学習」のページもあわせてご覧ください。

セミナー・学習

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