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TSE教育ホットライン

Vol.377「連載第十八回「歴史の中の市場と証券」」

前回は幕府からの度重なる支出要請に対応しきれない各藩が民間から借り入れることで賄うという話をしました。

このような大名の民間からの借り入れは、江戸期に始まったわけではなく、
室町期には幕府自身が土倉といわれる貸金業者に幕府の財政運営を依存するほどでした。
応仁の乱でそういった京都の金融システムは崩壊したと考えられがちですが、京都には多くの商工業産業があり、
商業資本の多くが大名家に貸し付けられ、大名家の財政を支えていました。

その商人達にとって、大名家への融資は儲かる資金運用先でもありました。
中には、熊本の細川家のように、借財を定期的に踏み倒すのが上手と言われた大名もいて、商人達はそういった大名の横暴な行動に対するリスクを、
短期の貸し付けにすること、貸し手を分散させること、シンジゲート型の貸付にすること等で緩和する必要がありました。
そうしたリスク回避ができれば、江戸期以前には年に30%程度の利息収入を得られたとされています。


石高制が導入され、米が租税の中心となりその物流が大坂を中心とするようになると、大名への貸金の中心は京都の商人から大坂の商人へと移行していきました。
これは、大名への貸金の担保として米を抑えることがとても重要であったのと、大名への貸し付けの返済の為の領主米の換金の現場を
いろんな意味で“支える”事が大名への資金貸し付けの要諦となっていったからでした。

そのため、大坂堂島米市場は、単にお米という商品の市場ではなく、こうした江戸期の各藩への金融システムにおいて中心的な役割を担っていたのです。

(金融リテラシーサポート部 石田 慈宏)

金融教育に取り組まれている先生のご紹介

メルマガ7月号でもご紹介したことがあるのですが、弊社のWebサイトでは今年度「金融教育に取り組まれている先生」にフォーカスをあて、
先生のご経歴、金融教育としての取り組み、その中から見えてくる課題等を伺って参りました。
今月掲載された先生の記事も含めお三方の記事を紹介させていただきます。

【東証マネ部!】今月の注目記事!!

NISA制度が新しくなり、投資に関心を持ち始めた方が増えてきました。
そんな中、日経平均株価が4万円を超えて過去最高を更新し、今投資を始めてもいいものかと悩む方もいるでしょう。
本記事は、マネーコンサルタントによる解説記事となっていて、改めて「積立投資」のメリット等を理解できる記事です。
今の経済状況に即した記事ということもあり、2月人気記事ランキング1位の記事でした。是非ご覧ください。

教員経験を持つ作家の乙武洋匡氏が人気ファイナンシャルプランナーの髙山一惠氏と家庭の金融教育について対談した記事です。
金銭感覚や資産運用に対する感覚は家庭環境の影響を受ける面がありますが、最近は学校での教育が期待されてきています。
とはいえ、専門的なことを学校の先生が教えるのはなかなかハードルが高いと思いますので、外部のプロに委託するのがいいのではとお話されています。
こちらの記事は2部構成になっておりますので、もう片方の下記の記事もぜひあわせてご覧ください。

最近の株式市場の動向

今年は春の訪れが早いだろうと感じていましたが、3月は肌寒い日が続き、春本番はまだ先のようですね。
ただ、昨年5月に新型コロナウイルス感染症対策が緩和されて、久しぶりに特に規制の無いお花見シーズンを迎えることになりますので、大いに賑わうのではないかと予想しています。

今回は今年2月以降の東京株式市場の動向について、簡単に市況を振り返ってみます。

2024年2月の株式市場は、月の初めは、日本企業で好決算や株主還元策の発表が多いことが好感されて買われたことに加え、
日銀の金融緩和政策が継続されるとの期待感から、株価は大きく上昇して、TOPIX、日経平均とも34年ぶりの高値を記録しました。

中旬も、米国株式市場で値上がりが続いてNYダウが過去最高値を更新したことや、外国為替相場で円安が進行したことなどから、引き続き買われて一段高となりました。

月末にかけても、米国ハイテク企業の好決算を受けて、半導体関連株が買われるなどして、日経平均株価は史上初めて3万9000円台に乗せたあと、高値圏で一進一退の動きとなりました。
3月になっても、東京株式市場での値上がりが継続して日経平均株価は4万円台となり、一時的に値下がりしたものの、再び上昇傾向が続いています。

先月2月1か月間について、TOPIXで見た上昇率は+4.89%、
上昇した主な業種は、輸送用機器、保険、石油株で、下落した主な業種は、繊維、海運、食料品株でした。

また、昨年末との比較では、2月末のTOPIXで見た上昇率は+13.07%、
上昇した主な業種は、輸送用機器、証券、保険株で、下落した業種は、繊維株のみでした。


次号以降も、学校の授業等で参考にしていただけたら幸いです。