ETFの概要

ETFの仕組み

仕組み

ETFの仕組みについて簡単に説明します。

ETFは、組成する投資信託の委託者が募集を行い、募集に応じた者に対してETFを発行することになります。これは、投資信託の設定当初に行われる募集も、その後継続的に行われる募集も同様です。その募集に応じるのは、銀行、保険会社、年金基金などの機関投資家や指定参加者と呼ばれる証券会社が中心になります。現物拠出型ETFでは、指標を構成する銘柄と同等の現物株式ポートフォリオを拠出した場合に限り、ETFを受け取ることができる仕組みになっています(ただし、上場インデックスファンド日経225(ミニ)のように金銭拠出型のETFでは、金銭を拠出することによってETFを受け取る仕組みになっています。)。これを「ETFの設定」と言います。したがって、募集に応じることができない個人投資家など一般の投資家は、その代替手段として東証のETF市場を通じ、募集に応じた者が売却するETFを小口で購入することになります。

このように、募集に応じ大量のETFを取得する投資家と、市場を通じて小口でETFを取得する一般の投資家が明確に区分されていることもETFの特徴です。

また、ETFは、信託財産である現物株式のバスケットと交換することも可能です。その場合は、募集(設定)の仕組みと全く逆となり、相当数のETFを保有する機関投資家などが一定数以上のETFを指定参加者である証券会社に持ち込むことで、現物株式のバスケットとの交換を行います。これを「ETFの交換」と言います。

指定参加者となる証券会社は、ETFの仕組み上、重要な役割を果たすことになります。設定や交換の際も、常に指定参加者を通じて、現物株式のバスケットの信託やETFの発行が行われることになります。指定参加者は募集の取扱いを行うことができる者として委託者が指定し、証券会社名は有価証券届出書等に記載されることになっています。

なお、外国ETFは、内国ETFとは異なり、日本国内において設定と交換ができない場合がありますのでご注意ください。

ETFの運用方法

株式バスケット型

株式バスケット型は、指定参加者が市場で買付けた株式バスケットをETF発行者に拠出し、ETFを組成する形式です。
ETF発行者は、銘柄の組換えがあった場合等、拠出を受けた株式バスケットが株価指数と連動するよう、日々の運用を行います。

株式バスケット型

ファンド・オブ・ファンズ(FOFs(注))型

FOFs型は、指定参加者がETF発行者に金銭を拠出し、ETF発行者が複数の受益証券(ファンド)を投資対象として、それらの投資対象ファンドを通じて運用する形式です。

  • 株券や債券等に直接投資を行うのではなく、それらに投資を行っている別のファンドに対して投資を行うファンドをいいます。
ファンド・オブ・ファンズ(FOFs(注))型

リンク債型

リンク債型は、指定参加者がETF発行者に金銭を拠出して、ETF発行者が株価指数と連動して変動するリンク債を購入する形式です。
この方式は、株式バスケット型を用いることが難しい新興国の株価指数に連動するETF等で用いられています。

リンク債型

デリバティブ型

デリバティブ型は、指定参加者がETF発行者に金銭を拠出して、ETF発行者が対象指標に連動するデリバティブ商品を購入する形式です。この方式は、従来から投資信託で利用されていましたが、ETFについては2009年の取引所規則改正によって導入され、WTI原油価格に連動するETF等で用いられています。

デリバティブ型

商品現物型

商品現物型は、委託者が貴金属等の特定の商品を信託財産として拠出し、ETF発行者が当該特定の商品の価格に連動することを目的として運用する形式です。委託者が当初自己で保有する貴金属等の特定の商品を信託財産として拠出するため、当初設定に当たって金銭の拠出はありません。2007年施行の改正信託法により、投資対象に制限がない受益証券発行信託の受益証券を上場対象に加えることで、金や銀等のコモディティそのものを組み入れるETFの上場が可能となりました。

商品現物型

ETFの二つの市場

ETFの市場は、流通市場と発行市場の二つの市場によって成り立っています。

ETFの二つの市場

流通市場

ETFの流通市場は、不特定多数の投資家の間で小口化されたETFの受益証券を自由に売買できる市場であり、その流動性は日々の出来高という形で広く一般に公表されています。

発行市場

ETFの流通市場だけでは、数十億円規模の取引を行う機関投資家等の大口の取引需要に対応するだけの流動性を供給することが出来ない場合もあります。
そこで、ETFのもう一つの市場である発行市場において、大口の受益証券の設定・交換を行うことで、流通市場における出来高を超える規模の取引を行うことが可能となります。

このようにETFの流動性は、流通市場における日々の出来高だけでなく、発行市場における設定・交換を通じた大口の取引もあわせて捉える必要があります。
(ETFの設定・交換の実績は、有価証券報告書等に記載されております。)