売買の規制

空売り規制の概要

空売りとは、有価証券を有しないでもしくは有価証券を借り入れてその売付けをすることを言います。空売りの中には、信用取引による売りが含まれますが、信用取引以外でも株主から株券を借りて市場で売却することも空売りに含まれます。

売注文 実売り 自身が所有している株券等の売り
空売り 信用取引以外の空売り 株主との交渉や契約等により株券等を借りて行う空売り
信用取引による空売り 顧客が証券会社から株券等を借りて行う空売り

このような空売りに対しては、金融商品取引法および金融商品取引法施行令(以下「施行令」と呼びます)により、明示・確認義務、価格規制、残高報告義務がかかります。

 

明示・確認義務

売付けの委託を行う場合には、その注文が空売りか否かを明示する必要があります。その注文を受け付けた取引参加者等は、取引所に対して空売りか否かを明示する必要があります。(施行令26条の3)

 

価格規制

空売り価格については、株価上昇局面では直近公表価格未満、株価下落局面では直近公表価格以下の価格での空売りが禁止されています。(施行令26条の4)
具体的には以下のようになります。

価格の推移 説明 具体例
100円→101円 株価上昇局面なので、直近公表価格(101円)未満の空売りは禁止される 102円の空売り 可
101円の空売り 可
100円の空売り 不可
102円→101円 株価下落局面なので、直近公表価格(101円)以下の空売りは禁止される 102円の空売り 可
101円の空売り 不可
100円の空売り 不可

また、この価格規制は常にかかっているわけではなく、基準値段から10%以上下落した場合にのみ発動される「トリガー方式」が導入されております。

具体的には下図のように、基準値段比で10%以上下落した場合に、その瞬間から翌日の立会終了まで価格規制が発動し、翌々日には価格規制なしに戻ります。なお、10%以上下落する日が連続する場合には価格規制が連続してかかりますので、ご注意ください。

当日 翌日 翌々日
規制なし 規制あり 規制なし

基準値段比10%下落
   

実際にトリガーが発動する銘柄の一覧は、日々ウェブサイトで公表しております。

空売り価格規制トリガー抵触銘柄に関する情報 -銘柄一覧公表-
 

残高報告

一定以上の空売り水準に達した場合は、顧客は利用している証券会社に残高情報を提供する必要があります。その報告を受け付けた取引参加者等は取引所に残高情報を報告する必要があります。(施行令26条の5)

この水準については、「有価証券の取引等の規制に関する内閣府令」(以下「府令」と呼びます)において定められており、発行済株式総数の0.2%以上の空売り残高がある場合には報告義務があります。取引所では、報告を受けたもののうち空売り残高割合が発行済株式総数の0.5%以上のものについて、ウェブサイト等で公表しております。

空売り残高に関する情報
 

空売り規制の適用除外

各取引の性質に鑑み、株式に関する以下のような取引については、府令において規制の適用除外となります。なお、下記は一部を抜粋したものですので、詳細は府令等をご確認ください。

  明示・確認義務の適用除外 価格規制の適用除外
残高報告の対象外
発行日取引



ETN



買い付けた有価証券の売付けであって、その当該買い付けた有価証券で決済される場合



貸し付けた有価証券の売付けであって、その決済前に返還を受けることが明らかな場合



立会外取引(ToSTNeT取引)


 
新株予約権付社債券、新株予約権証券、株券に係る受益証券、交換社債券、または取得請求権付株券に付与された株券を取得する権利、あるいは取得条項付株券に付与された権利を行使した結果取得する株券の数量の範囲内での売付け



株式分割等、株式無償割当て、合併、会社分割、株式交換、株式移転を行う場合の割り当てられた株式等の数量の範囲内での売付け



募集・売出等で取得することとなる数量の範囲内の売付け



発行日取引で買い付けた株券の売付け



名義書換、売買単位の変更、毀損・汚損・商号変更に伴うもの



機関投資家以外(個人等)の信用売り(50単位以内に限る)
 

VWAP価格で買付けを約している場合の当該株券等の空売り
 

新株予約権付社債券、新株予約権証券、株券に係る受益証券、交換社債券、または取得請求権付株券に付与された権利を行使する際の裁定取引、ヘッジ取引
 

有価証券先物取引または有価証券指標先物取引との裁定取引、ヘッジ取引
 

有価証券オプション取引との裁定取引、ヘッジ取引
 

 

公募増資に関する空売り規制

2011年12月に金融商品取引法施行令の改正が行われ、公募増資に関連する空売り規制が施行されました(施行令26条の6)。この規制により、増資公表後、新株等の発行価格決定までの間に空売りを行った場合、当該増資によって取得した有価証券により、その空売りの決済を行ってはならないものとされています。