売買システム再立ち上げによる売買再開

東京証券取引所では、2020年10月1日に発生した売買システム(arrowhead)の障害を受け、システム障害に伴う売買停止後の再開ルールや手順等について検討するため、再発防止策検討協議会及び実務者ワーキング・グループを設置し、議論を行ってきました。
本協議会では、売買再開のために売買システムの再立ち上げが必要な場面においては、再立ち上げも売買再開のための手段となりうることが確認されました。
立会開始後に障害が発生し、再立ち上げにより売買再開した場合、売買システムにおいて正常に処理され取引参加者に送信された約定成立通知は原則として有効なものとして取り扱うものとします(売買停止時までに正常に処理された約定は有効なものとします)。その他、再開後の売買においては以下の点に留意が必要となります。
なお、再発防止策検討協議会及び実務者ワーキング・グループにおける議論の内容については、以下をご参照ください。

システム障害に係る「再発防止策検討協議会」

委託注文の取扱い

再立ち上げに伴い、東証が受け付けた取引参加者からの注文は取り消されることになります。この場合、取引参加者は顧客から受け付けた委託注文について、東証に再発注を行うことが原則的な対応となりますが、顧客からの委託注文の性質や実務上の必要性を踏まえ、顧客との間で別途の取決めをしていただくことで東証に再発注をしないことも可能です。

一部約定となった注文の取扱い

取引参加者は、一部約定となった注文(残注文は取引所による取消し)について、残注文分の再発注を行う場合には、顧客から一注文として受託した注文を2つに分割して取引所に発注することになるため、顧客の注文との紐づけについて考慮していただく必要があります。
※再立ち上げ後は、社内処理用項目や注文入力通番(注文受付番号)を再度利用可能となることから、こうした情報を利用して紐づけることも考えられます。
取引参加者が再立ち上げ後に残注文分の再発注を行わない場合は、顧客注文を失効させ、再度顧客に発注を求める必要があります。

価格の連続性や規制の取扱い

再立ち上げにより、基準値段(板中心値段)や規制の適用等は朝の段階に戻ることとなりますが、システム上の制約等を踏まえ、以下の取扱いとします。

  1. 基準値段:売買停止前の直前の約定価格には補正せず、当日朝の基準値段で再開します。
  2. 空売り価格規制の適用:当日新たに空売り価格規制のトリガーに抵触した銘柄については、一部エラーとなる注文がありうるが、特に売買停止等の規制は行わずに再開します。(具体的な再開後の空売り価格規制のイメージについては以下の「空売り価格規制の制約について」を参照。)
  3. 会社情報による売買停止:重要情報等に関する報道があった銘柄については、再開後も売買停止を実施(ただし、売買再開の15分前までにTDnetで当該報道に関する開示がなされていた場合には、売買停止は行いません。)。

再開後の相場情報の取扱い

再開後にFLEXで送信される四本値・売買高・売買代金等は再開後の売買のみを反映したものであり、当日全体でのこれらの情報(再開前後を統合した情報)は大引け後に公表します。
障害発生までのこれらの情報がFLEXの配信内容と異なる場合、JPXウェブサイト等において公表しますが売買再開の前提とはいたしません。

空売り価格規制の制約について

障害発生前の立会において、空売り価格規制が新たに発動した銘柄については、再立ち上げにより発動前の状態に戻ることが制約となります。
当該銘柄に対し、再立ち上げ後の注文受付時間帯に再発注を行った場合、以下の点に留意が必要です。

  1. トリガー価格超過の値段帯への空売り:アップティック・ダウンティックによらず、空売り注文は受け付けられる。
  2. トリガー価格以下の値段帯への空売り:アップティック・ダウンティックによらず、空売り注文はエラーとなる。

【具体例】価格規制前日引継ぎなし、基準値段100円(トリガー価格90円)、障害前の直近値88円(アップティック局面)のケース