リスク情報

ディープテック企業について

グロース市場は、高い成長可能性を実現するための事業計画及びその進捗の適時・適切な開示が行われ、一定の市場評価が得られる一方、事業実績の観点から相対的にリスクが高い企業向けの市場です。

当該コンセプトを踏まえ、グロース市場には、適切な開示を前提に、宇宙、素材、ヘルスケアなど、先端的な領域において新技術を活用して新たな市場の開拓を目指す研究開発型企業(ディープテック企業)が、製商品化・サービス化に至っていない段階で上場することも可能となっています。

このような企業においては、製商品化・サービス化が実現するまでに長い期間を要することも想定され、事業化に必要な技術を確立できない又は市場が確立されない等の理由により製商品化・サービス化に至らないリスクのほか、製商品化・サービス化に至ったとしても、それまでの間、長期的に先行投資が継続することで赤字が継続し、経営成績・財政状態が不安定となるリスクも想定されます。そのほか、製商品化・サービス化が実現するまでの間は、売上の規模が小さくなり、単年度の売上や利益の変動が比較的大きくなるリスクも考えられます。また、これらの一般的なリスク以外にも、一括りに「ディープテック企業」といっても、ビジネスモデルや製商品化・サービス化に向けた研究開発・事業化の進捗状況等は各社各様であり、会社ごとに固有のリスクが存在するものと考えられます。

ディープテック企業への投資を行うにあたっては、当該企業の開示資料を確認し、当該企業が今後確立を目指すビジネスモデルやそれに向けた事業展開の見通しなどに加えて、これらのリスクについても十分に把握することが重要です。たとえば、上場会社の有価証券報告書(新規上場時には「新規上場申請のための有価証券報告書(Iの部)」)には、「事業の内容」、「対処すべき課題」、「事業等のリスク」、「経営上の重要な契約等」において、投資判断に必要な情報が詳細に記載されています。また、グロース市場の上場会社は、投資者に合理的な投資判断を促す観点から、当該上場会社のリスク情報、ビジネスモデル、市場環境、競争力の源泉、事業計画などを記載した「事業計画及び成長可能性に関する事項」について、上場日の開示が求められるほか、少なくとも1事業年度に対して1回以上の頻度(うち、事業年度経過後3か月以内に1回以上)で、進捗状況を反映した最新の内容によって開示することが義務付けられています。

なお、2023年以降、新規上場時に開示される「新規上場申請のための有価証券報告書(Iの部)」において、主たる事業が製商品化・サービス化に至っていないことに関するリスク等について記載している企業は、以下のとおりです。(バイオベンチャー企業については次項をご参照ください。)

コード 会社名 上場日
9348 ispace 2023/04/12

有価証券報告書はEDINETからご確認いただけます。

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新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)は東証のホームページに掲載されています。

新規上場会社情報

「事業計画及び成長可能性に関する事項」の開示は東証上場会社情報サービスにおける各社ページからご確認ください。

東証上場会社情報サービス

バイオベンチャー企業について

医薬品や医療機器開発、再生医療などライフサイエンス分野のベンチャー企業は「バイオベンチャー」と呼ばれ、グロース市場にも多くの企業が上場しています。2017年以降、新たに東証市場へ新規上場した主なバイオベンチャー企業は以下のとおりです。

コード 会社名 上場日
4597 ソレイジア・ファーマ 2017/03/24
4598 Delta-Fly Pharma 2018/10/12
4599 ステムリム 2019/08/09
4883 モダリス 2020/08/03
4881 ファンペップ 2020/12/25
4884 クリングルファーマ 2020/12/28
4888 ステラファーマ 2021/04/22
4882 ペルセウスプロテオミクス 2021/06/22
4889 レナサイエンス 2021/09/24
4263 サスメド 2021/12/24
4890 坪田ラボ 2022/06/23
4891 ティムス 2022/11/22
4892 サイフューズ 2022/12/01
4894 クオリプス 2023/06/27
4893 ノイルイミューン・バイオテック 2023/06/28
4896 ケイファーマ 2023/10/17
130A Veritas In Silico 2024/02/08

なお、バイオベンチャー企業のうち、新薬の開発を行う創薬系バイオベンチャー企業のビジネスモデルやリスク等については、以下資料でもご案内していますので、ご覧ください。

創薬系バイオベンチャー企業について PDF