実効性の確保手段

特別注意銘柄への指定

東京証券取引所(以下「東証」という)は、以下に掲げる場合であって、かつ、当該上場会社の内部管理体制等について改善の必要性が高いと認めるときは、当該上場会社が発行者である上場株券等を特別注意銘柄に指定することができるものとしています。

 

■上場会社が以下に掲げる上場廃止基準の各号に該当するおそれがあると東証が認めた後、当該各号に該当しないと東証が認めた場合

有価証券上場規程第601条第1項第6号 支配株主との取引の健全性の毀損
有価証券上場規程第601条第1項第10号a 上場契約違反等
上場規程第601条第1項第19号 反社会的勢力の関与
上場規程第601条第1項第20号 公益又は投資者保護
 

■上場会社が以下に掲げる事項に該当する場合

【虚偽記載】
上場会社が有価証券報告書等に虚偽記載(有価証券上場規程第2条第30号)を行った場合

【不適正意見等】
上場会社の財務諸表等に添付される監査報告書等において、公認会計士等によって、「不適正意見」又は「意見の表明をしない」旨が記載された場合。

  • ただし、「意見の表明をしない」旨が記載された場合であって、当該記載が天災地変等、上場会社の責めに帰すべからざる事由によるものであるときを除く。
 

■上場会社が適時開示に係る規定に違反したと東証が認めた場合

■上場会社が企業行動規範の「遵守すべき事項」に係る規定に違反したと東証が認めた場合

■上場会社が適時開示・企業行動規範に係る改善報告書を提出した場合において、改善措置の実施状況及び運用状況に改善が認められないと東証が認めた場合

 

特別注意銘柄への指定後の流れ

特別注意銘柄への指定後の流れ

内部管理体制等の改善

特別注意銘柄へ指定された上場株券等の発行者である上場会社は、原則として、当該指定から1年経過後の審査までに内部管理体制等を適切に整備・運用することが求められます。
ただし、指定から1年経過後の審査において、内部管理体制等が適切に整備されていると認められるものの、適切に運用されていると認められない場合(適切に運用される見込みがある場合に限ります。)には、特別注意銘柄の指定を継続し、当該指定の継続を決定した日の属する事業年度(当該指定の継続を決定した日から当該事業年度の末日までの期間が3か月に満たない場合は当該事業年度の翌事業年度)の末日以降の審査までに、内部管理体制等の運用状況の改善を求めることとしています。

審査の流れ

  • 特別注意銘柄へ指定されている上場株券等の発行者である上場会社は、当該指定から1年経過後速やかに、内部管理体制の状況等について記載した「内部管理体制確認書」を提出することが義務づけられます。 東証は、上場会社より提出された内部管理体制確認書の内容等に基づき審査を行い、以下のとおり取り扱います。
内部管理体制等が適切に整備され、運用されていると認める場合 指定解除 (後述の経過観察の対象となる銘柄は、指定継続)
内部管理体制等が適切に整備されていると認めるものの、適切に運用されていると認められない場合(適切に運用される見込みがある場合に限る) 指定継続
内部管理体制等が適切に整備されていると認められない場合又は適切に運用される見込みがなくなったと認める場合 上場廃止
  • 上場会社が内部管理体制確認書の提出を速やかに行わない場合(後述の2回目以降の審査においては期限内に提出を行わない場合)や、提出された内部管理体制確認書の内容が明らかに不十分であると東証が認める場合などは、内部管理体制等が適切に整備され、運用されていると認められないものとして取り扱います。
  • 上記の「内部管理体制等が適切に整備されていると認められるものの、適切に運用されていると認められない場合(適切に運用される見込みがなくなったと認める場合を除く)」に該当し、特別注意銘柄の指定が継続された場合、上場会社は、当該指定の継続を決定した日の属する事業年度(当該指定の継続を決定した日から当該事業年度の末日までの期間が3か月に満たない場合は当該事業年度の翌事業年度)の末日から起算して3か月以内に、内部管理体制確認書を再提出することが義務付けられます。東証は、上場会社より再提出された内部管理体制確認書の内容等に基づき審査を行い、以下のとおり取り扱います。
内部管理体制等が適切に整備され、運用されていると認める場合 指定解除 (後述の経過観察の対象となる銘柄は、指定継続)
内部管理体制等が適切に整備され、運用されていると認められない場合 上場廃止
  • また、上記の審査のタイミングに関わらず、特別注意銘柄への指定後において、上場会社の内部管理体制等が適切に整備される又は適切に運用される見込みがなくなったと認める場合にも、上場が廃止されることとなります。

【有価証券上場規程第503条第5項から第7項まで、第601条第1項第9号関係】

 

改善後の経過観察

特別注意銘柄へ指定された上場会社の内部管理体制等が、適切に整備され、運用されていると認めるものの、以下の「対象銘柄」に該当している場合には、内部管理体制等が適切に維持・運用されなくなるリスクが高いと考えられることから、最長で3事業年度の間、特別注意銘柄の指定を継続し、内部管理体制等の状況を継続的に審査します。
当該期間を通じて、内部管理体制等が適切に整備され、運用されていることを確認のうえで、その指定の解除を行います。

対象銘柄

■ 事業の継続性・収益性が確保されていない場合
  - 直前の財務諸表又は四半期財務諸表に継続企業の前提に関する事項が注記されている場合
  - 各市場区分の利益又は純資産の額に関する新規上場基準を充足していない場合

プライム市場の上場会社 ・ 最近2年間における利益の額の総額が25億円以上
・ 直前の事業年度又は四半期会計期間の末日における純資産の額が50億円以上
スタンダード市場の上場会社 ・ 最近1年間における利益の額が1億円以上

■ 上場維持基準に適合していない場合であって、改善期間内にあるとき

審査の流れ

  • 内部管理体制等が適切に整備され、適切に運用されていると認めるものの、上記の「対象銘柄」に該当し、特別注意銘柄の指定が継続された上場会社は、指定継続後に迎える各事業年度(当該指定の継続を決定した日から当該事業年度の末日までの期間が3か月に満たない場合は当該事業年度の翌事業年度)の末日から起算して3か月以内に、内部管理体制確認書を再提出することが義務付けられます。 東証は、上場会社より再提出された内部管理体制確認書の内容等に基づき審査を行い、以下のとおり取り扱うものとします。

(第一回目・第二回目)

内部管理体制等が適切に整備され、運用されていると認める場合であって、上記の「対象銘柄」に該当しないこととなったとき 指定解除
内部管理体制等が適切に整備され、運用されていると認めるものの、引き続き上記の「対象銘柄」に該当している場合 指定継続
内部管理体制等が適切に整備され、運用されていると認められない場合 上場廃止

(第三回目)

内部管理体制等が適切に整備され、運用されていると認める場合 指定解除
内部管理体制等が適切に整備され、運用されていると認められない場合 上場廃止
  • また、上記の審査のタイミングに関わらず、経過観察の対象として特別注意銘柄の指定が継続された後、上場会社の内部管理体制等が適切に整備され、運用されていると認められない状態となった場合にも、上場が廃止されることとなります。

【有価証券上場規程第503条第8項から第10項まで、第601条第1項第9号関係】

 

内部管理体制の整備・運用状況等の開示

特別注意銘柄へ指定された上場株券等の発行者である上場会社は、当該指定から1年経過後速やかに、内部管理体制の整備及び運用の状況等について開示することが義務付けられています。
また、特別注意銘柄の指定が継続された場合は、当該指定の継続を決定した日の属する事業年度の末日から起算して3か月以内(当取引所が当該指定の継続を決定した日から当該事業年度の末日までの期間が3か月に満たない場合は、当該事業年度の末日及び翌事業年度の末日から起算して3か月以内)に、内部管理体制の整備及び運用の状況等を再び開示する必要があります。
なお、上記の経過観察の対象となり、特別注意銘柄の指定が継続された場合は、内部管理体制等の改善の実効性を確保する観点から、事業の継続性や収益性等の改善に向けた取組やその進捗についてもあわせて開示するものとします。

【有価証券上場規程第408条の3】

特別注意銘柄の一覧はこちらをご覧ください。

特別注意銘柄