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※最新情報
FTSE Russellは2020年12月9日、FTSE Blossom Japan Indexで小型株の組み入れが可能になったことを発表しました。
1995年に設立されたFTSE Russellは、ロンドン証券取引所グループの情報サービス部門に属し、株式、債券など多くの資産クラスのグローバルなインデックスの他、さまざまなスタイル、ストラテジーのインデックス、ESGや気候変動データを用いた各種ESGインデックスを算出するとともに、ESGレーティングなどのデータ、業種分類(ICB)、銘柄コード(SEDOL)、分析ツールなど、機関投資家向けにさまざまな情報、分析サービスを提供しています。
2019年11月14日、JPXとFTSE Russellは東証ホールで、ESGレーティング解説セミナーを開催しました。その時の動画と資料は以下のとおりです。
プログラム (タイトルをクリックするとYoutubeで動画を視聴いただけます) |
登壇者 | 参考資料 |
LSEGとFTSE Russellの紹介
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多湖理 FTSE Russell日本代表 | ![]() |
機関投資家によるサステナブル投資のグローバルな拡大(逐次通訳付き)
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David Harris FTSE Russell Head of Sustainable Investment |
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ESG Ratingの解説
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中島英介 FTSE Russell Head of Sustainable Investment Japan |
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FTSE RussellのESGレーティングモデルは、調査対象企業の事業特性をもとに潜在的なESGリスクに対する取組みを評価します。ESGリスクとそれに対する取組みを客観的に評価する事で、リスク調整がされたESGレーティングが算出されます。
この目的のため、FTSE Russellは14のESGテーマ - 5つの環境テーマ(気候変動、汚染と資源、生物多様性、水の安全保障、サプライチェーン:環境)、5つの社会テーマ(労働基準、人権と地域社会、健康と安全、顧客に対する責任、サプライチェーン:社会)、4つのガバナンステーマ(企業統治、腐敗防止、リスクマネジメント、税の透明性)- を特定しています。ただし、適用されるテーマは、各調査対象企業の事業特性に依存するため、すべての調査対象企業に14のテーマ全てが適用されるわけではありません。
各テーマの下には、調査対象企業のESG取組みと開示内容を評価するため、20-30個の調査項目があります。調査項目の総数は合計300以上ですが、そのいくつかは特定の産業にのみ適用されます。
加えて、特定のテーマ(サプライチェーン:社会など)では、固有のビジネス環境を考慮した、特定の業界を評価する特別な調査項目が存在します。たとえば、銀行は与信に関するESGポリシーの開示を求められます。FTSE RussellのESGレーティングは、世界中の投資家や企業によって支持もしくは利用されているGRI、SASB、TCFDといった、国際的なESG情報開示イニシアチブや枠組みを考慮し設計されています。
FTSE Russellの調査員によりテーマ毎の各調査項目について調査対象企業のすべての公開資料が確認され、当該テーマのスコアが算出されます。次に各テーマのエクスポージャーレベルを用いて、環境、社会、ガバナンスの各ピラースコアが算出されます。最後に各ピラーのエクスポージャーレベルを用いてFTSE RussellのESGレーティングが算出されます。これらの計算は透明性の高いルールベースの方法に基づきます(ESGレーティング、ピラー、テーマ、および調査項目の関係については図表1をご参照ください)。
出所:FTSE Russell
FTSE Russellは、調査プロセスの透明性を確保するために、ESGレーティングモデルの方法論を、調査対象企業向けポータルサイト(企業ポータル)及びESGレーティングの利用者向けポータルサイト(QSDポータル)上で提供しています。方法論は、国際的なイニシアチブの最新動向や調査対象企業のサステナビリティに関する実践を反映するため、定期的に更新され、ポータル上での公表は第三四半期を予定しています。
FTSE Russellのデータ収集プロセスは、透明性や客観性を担保する事に留意しつつ、調査対象企業に過大な負担を与えないように設計されています。そのため、公開情報のみに依拠した評価を用い(図表2)、企業ポータル及びQSDポータル上では、どの情報が評価に用いられたかがわかるよう、情報参照元のリンクを提供しています。FTSE Russellの調査員は、調査対象企業が開示する資料と調査対象企業のWebサイトが各調査項目を満たすのに十分な情報かどうかを確認し、初期調査を実施します。その後、調査対象企業に対して電子メールで初期評価を送付し、4週間の確認期間が与えられます。調査対象企業は、初期調査の内容や方法論についてより詳細に知りたい場合、その4週間の間にFTSE Russellの担当者とコミュニケーションする事ができます。調査対象企業は、追加の開示情報またはWebリンクを企業ポータル上で送信でき、その内容が精査された後に最終評価が決定するという流れになります(図表3)。
出所:FTSE Russell
出所:FTSE Russell
調査対象企業のESGレーティングは年1回評価され、更新後のESGレーティングは6月または12月に公表されます。公表タイミングは、企業による各種情報の公表時期に基づきます(一般的には決算月によります)。たとえば、3月末決算の調査対象企業の多くは、翌年の6月に新しいESGレーティングが公表されます。この場合、通常第1四半期に評価プロセスが開始されます(図表3)。
FTSE RussellのESGレーティングモデルは、ESGリスクに対する企業取組を4段階のステップで評価します(図表4)。
出所:FTSE Russell
なお、(1)において、主要業種以外の複数事業を行う調査対象企業に対しては、複数事業にかかるESGテーマの全てが適用される可能性があります(例えば、製薬事業を展開する食品メーカーには製薬と食品にかかる全ESGテーマが適用されます)。また、複数事業で同一のESGテーマが適用される場合、より高いエクスポージャーレベルが適用されます(図表5)。
出所:FTSE Russell
調査対象企業は、各ESGテーマについて、当該テーマとの影響度に応じて、高、中、低、または適用外(N/A)のエクスポージャーレベルか特定されます。エクスポージャーレベルの特定は、調査対象企業ごとに当該テーマの特徴に合わせてルールベースの方法で実行されます。これらの特徴は次のとおりです。
したがって、上記のルールに基づいて、調査対象企業があるテーマに関連する国またはサブセクターに関与していないと判断された場合、当該テーマは「該当なし」となります。
出所:FTSE Russell
出所:FTSE Russell
はい、調査対象企業はFTSE Russellが調査、分析をおこなった自社のデータを確認し、コメントすることが可能です。具体的には調査対象企業は企業ポータル上で、a)調査された調査項目のリストを閲覧し、b)評価に利用された情報源を確認し、c)FTSE Russellの調査員が再度確認できるように公開情報のリンクを追加で提供することができます。
技術的な問題や、ESGレーティングとその方法論については、FTSE RussellのESGレーティング担当部門(FTSE4GOOD@FTSERussell.com)までご連絡ください。迅速な調査と解決のために、問題についてできるだけ多くの情報をご提供ください。
はい、英語及び日本語に対応しています(日本企業の場合)。
FTSE Russellが利用している情報は公開資料に基づいており、フィードバック提供には時間がかかる可能性があると理解しています。ただし、公平を期すために、調査対象企業の全てが同じ期間に評価を確認できるように努めています。したがって、やむを得ない場合を除き、調査期間を延長することはできません。
企業ポータル上で直接追加情報を提供できますが、すべての情報は既に公開されている必要があります。多くの場合、最も適切な入力情報は、Webリンク、ページ番号(該当する場合)、および検討するべきテキストの抜粋などです。
FTSE Russellは2019年12月、ESGレーティングの評価対象となる日本企業を、小型株に分類される企業まで拡大いたしました。その結果、調査対象となる日本企業は約1,300社となり、従来の約750社から大幅に増加いたしました。これは、小型株までESG調査対象をひろげることで、投資家にとって重要なESG情報を提供するとともに、評価対象企業のESGに対する意識を高め、日本の資本市場全体の底上げにつがるとの考えに基づいています。
日本語で対応できる日本企業専用のコンタクト先(ESG-Japan-CO@ftserussell.com)を用意しています。
今日、サステナブルな社会及び低炭素経済への移行が進行しています。この潮流は、ロンドン証券取引所グループ(LSEG)及びFTSE Russellのあらゆるお客様、発行体、投資家、その他の仲介者に影響を与えるとの認識から、LSEG及びFTSE Russellではその幅広いニーズに対応し、サステナブル投資・取引の基盤となる信頼できる情報、データ、分析ツールを幅広く提供しています。
これまでのESG関連の開示に加え、今後は低炭素経済への取組みを示す企業開示が求められるようになるでしょう。事実、グローバルで気候変動リスクへの認識が高まる中、気候変動関連の開示要件は増加しています。それは、サステナブル投資を進める投資家のみならず、企業開示にも多大な影響を与えることを意味しています。これを受け、FTSE Russellでは、低炭素経済移行に対する取組状況を評価するGreen Revenuesモデルを提供しています。このモデルは、個別企業の売り上げのうち、低炭素経済への移行に関連する「グリーン」な売り上げの比率を分析するもので、さまざまな「グリーン」事業分野を、10セクター、64サブセクター、133マイクロ・セクター(図表8)に分類し、世界の上場企業の時価総額の98.5%にあたる、先進・新興48ヵ国の上場企業16,000社余りをカバーしています。
出所:FTSE Russell
Green Revenuesデータを使用して、日本企業がGreen Revenuesを生成しているセクターを特定(図表9)すると、日本企業は、輸送機器セクターで約1,500億米ドル、エネルギー管理と効率セクターが1,400億米ドルの売り上げを計上していると推定できます。輸送機器セクターには、電動車両およびデバイス(水素駆動を含む)、高度な車両バッテリー、列車(電気/磁気)などのマイクロセクターが含まれます。エネルギー管理と効率セクターには、高効率ライト、電力貯蔵、エネルギー効率の高いビル管理システムなどのマイクロセクターが含まれます。これらは、日本企業がエネルギー効率の高い技術や製品を開発し、世界に提供しているというイメージと一致しています。また、Green Revenuesモデルは、企業のグリーン製品やサービスを分類する包括的な枠組みであり、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の開示要件やEUタクソノミーに基づく気候変動パフォーマンスなどに対応するものとなっています。このモデルを用いることで、サステナブル要素を統合する投資家のポートフォリオにおける開示を充実させることができます。今後、Green Revenuesは、データ単体やインデックスを構成する要素してのニーズが高まるでしょう。
出所:FTSE Russell
FTSE Russellは引き続きグローバルでのサステナブル投資の動向や知見を通じて、日本企業が最新知識の獲得や、それを利用したESG取組水準の向上に貢献できるように努めて参ります。