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国債店頭取引証拠金

国債店頭取引に係る当初証拠金

JSCCでは、国債店頭取引に係るエクスポージャーをカバーするために、当初証拠金及び変動証拠金の預託を求めています。

<各証拠金の概要に関する説明はこちら>

この内、当初証拠金は、1日に3回(7時、11時及び14時)算出され、①時価変動リスクをカバーするための当初証拠金額(Post Offset Margin Amount、POMA)、②資金決済(Funds Only Settlement、FOS)不履行リスクをカバーするための当初証拠金額、③レポレート変動リスクをカバーするための当初証拠金額及び④市場インパクト・チャージから構成され、それぞれの算出方法は以下のとおりです。なお、それぞれの構成要素について算出時点及びネッティング口座の種類に応じて、採用する要素は異なります。
(※)2024年3月29日現在の全清算参加者の当初証拠金所要額は26,052億円。

①時価変動リスクをカバーするための当初証拠金額(POMA)
POMAは、デルタ法により計算されます。具体的には、当日の計算時点の国債店頭取引のポジションについて、過去の一定期間における価格変動と銘柄間の相関に基づきポジションから生じるリスク額を計算します。計算に用いるパラメータは、参照期間は250日、500日及び1,250日、信頼水準は99%、保有期間は3日としています。また、参照期間におけるデータのほか、過去の大きなストレスイベントにおけるマーケットデータについても考慮しています。これらは、参照期間におけるデータに大きなマーケットデータの変動が加わった場合や除外された場合であっても、当初証拠金所要額が急増又は急減しないことを目的としています。

物価連動国債に係るリスク額については、時価の変動リスクに加えて、連動係数の変動リスクも考慮し、計算を行います。

また、日中に国債店頭取引のDVP決済が進捗することによるポジション量の変化を反映させるため、同様の計算により日中の決済完了時点のPOMAを計算し、これを調整POMAと呼んでいます。
さらに、過去の大きな相場変動やポジション変動を反映するため、過去の一定期間において算出したPOMAの上位一定割合の平均値を計算し、これを平均POMAと呼んでいます。
また、POMAの計算には銘柄間の相関を用いていますが、過剰な相殺を防止するため、相殺前のリスク額の一定割合を、下限額として計算しています。
時価変動リスクをカバーするための当初証拠金額の決定には、これらの、POMA、調整POMA、平均POMA、又は下限額のうち、最大の値を採用します。
②資金決済(FOS)不履行リスクをカバーするための当初証拠金額
FOS不履行リスクをカバーするための当初証拠金額は、清算参加者が破綻した場合に変動証拠金や受渡調整金の授受を含むFOSが履行されないことにより生じる損失をカバーするための額として算定されます。具体的には、売買及び銘柄先決めレポ取引については、過去の一定期間における資金決済金額の上位一定割合の平均値を算定します。

銘柄後決めレポ取引については、当初証拠金の算出時点における変動証拠金の預託額相当額及び受渡調整金の支払額相当額に基づき計算されます。
③レポレート変動リスクをカバーするための当初証拠金額
レポレート変動リスクをカバーするための当初証拠金額は、破綻した清算参加者のポジション処理においてレポ取引を約定することで発生するレポコストをカバーするための額として算定されます。具体的には、国債店頭取引のポジションを再構築するためのレポ取引の金額に、JSCCが想定するレポレート変動幅を乗じたリスク額に基づいて算定されます。また、当該リスク額はポジションの受渡しを考慮して相殺を行っていますが、過剰な相殺を防止するため、相殺前のリスク額の一定割合を、下限額として計算しています。実際のレポレート変動リスクをカバーするための当初証拠金額の決定には、時価変動リスクをカバーするための当初証拠金額と同様に、上記リスク額、上記のリスク額の過去の一定期間の上位一定割合の平均値、又は下限額のうちの最大の値を採用することとしています。

銘柄後決めレポ取引については、銘柄割当て前のバスケットポジションを対象とし、当該ポジションに係るリスク額は受渡金額とします。
④市場インパクト・チャージ
市場インパクト・チャージは、破綻した清算参加者のポジション処理において発生する市場流動性リスクをカバーするための額として算定します。具体的には、国債証券の種別、発行年限、残存年限の区分ごとに、清算参加者へのマーケットサーベイに基づいて設定されるアスク・ビッド幅を設定し、これにポジションの金利感応度を乗じて算定します。実際の市場インパクト・チャージの額の決定にあたっては、算出日以降に決済が行われるポジションに基づくチャージ額、日中のDVP決済の進捗による変化を反映したポジションに基づくチャージ額、又は過去の一定期間の各日における日中のDVP決済が完了した時点でのポジションに基づくチャージ額の上位一定割合の平均値のうち、最大の値を採用することとしています。

<計算に使用するマーケットデータ>

当初証拠金と変動証拠金の算出に用いる時価(マーケットデータ)は原則として、計算日の翌日(休業日に当たるときは順次繰り下げます。)付で日本証券業協会が発表する売買参考統計値に基づき決定します。

<当初証拠金の割増制度>

  • 緊急当初証拠金による割増
    通常、国債店頭取引清算業務の証拠金は一日に3回(7:00、11:00、14:00)の各時点のポジションに基づいて計算された所要額がそれぞれの時限(10:00、14:00、16:30)までに預託されますが、大きく相場が変動した場合は11:00と14:00に算出する所要額が割り増されることがあります。
発動基準 所要額
長期国債先物取引(中心限月)の午前立会終了時の約定値段と前日の午後立会終了時の約定値段との差が利付国債の相殺クラスD(残存年数7-10年)の時価変動リスクファクター*1を超えた場合 11:00及び14:00に算出する所要額は、次の計算式により算出された額とする。
当初証拠金所要額 = (時価変動リスクをカバーするための当初証拠金額 + 資金決済(FOS)不履行リスクをカバーするための当初証拠金額) × 割増率 + レポレート変動リスクをカバーするための当初証拠金額 + 市場インパクト・チャージ
 
割増率は長期国債先物取引の変動の程度に応じて1.1倍から2倍まで(10段階)*2を設定する。

*1 当初証拠金におけるPOMAの計算に用いるパラメーターであり、参照期間250日、500日及び1,250日(加えてストレスイベントを考慮)、信頼水準99%、保有期間3日として算出したもの。
*2 発動基準である長期国債先物の値段差を時価変動リスクファクターで除した値(小数点以下第2位を切り捨て0.1を加える)。

  • 信用状況に応じた割増し
    JSCCは、国債店頭取引清算参加者の信用状況に鑑みJSCCが必要と認める場合には、信用状況に応じて当初証拠金の割増しを行うことができます。

    詳細については、『国債店頭取引清算業務に関する業務方法書』第29条の2及び『国債店頭取引に係る当初証拠金所要額の割増について』を参照ください。
<国債店頭取引清算業務に関する規則>