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東京証券取引所冩真帳

下の写真は、東京証券取引所(東証)が再開して間もない昭和25年ごろの立会場などの写真を収めた『東京証券取引所冩真帳』です。また、写真以外にも、現在、東証記者倶楽部(兜倶楽部)に所属している時事通信社が発行した『週刊時事通信グラフ教室』(第61号)が収められており、当時の立会場や記者クラブの様子を知ることができます。

東京証券取引所冩真帳
東京証券取引所冩真帳

この写真帳を開いてみますと、立会場には、業種別に分かれた馬蹄形のポストに証券会社職員が取り巻き、その内側で才取人が取引をまとめ、その中央では取引所職員が働いていた様子が分かります。また、立会場では床が見えないほどの人が働いており、取引の熱気が伝わってくるようです。

また、刻々と変わる株式相場等を全国の人々に知らせる新聞社や通信社の人たちは、当時、2階にあった記者クラブに詰めて報道を行っていましたが、その報道手順も現在の方法と随分異なっていたようです。

まず、記者クラブでは時事通信社が代表(後に日本短波放送)となって立会場の特定ポスト(高台)に入り、時事通信社員自らが立会場両側にある相場を書く黒板(ボールド)の数字を双眼鏡などで読み取ります。そして、その数字は、電話で記者クラブのボールドのある場所(1階)に連絡され、記者はそのボールドに書かれた数字を見ながら電話で本社へ連絡し、株価などが報道されるという仕組みとなっており、報道に携わった記者の苦労がひしひしと伝わってきます。

現在、東証Arrows内には、民放各社やNHKなど報道専用のスタジオが設けられているメディアセンターがありますが、姿は変わったとはいえ、マーケット情報をいつも早く正確に伝えるマスメディアの役割は今も昔も変わりないようです。