JPXからのお知らせ

2021/01/04 JPX 年頭ご挨拶

 

明けましておめでとうございます。
日本取引所グループの清田でございます。
年頭に当たり、皆様のご健勝を心よりお祝いいたしますと共に、本年も一層のご活躍をお祈り申し上げます。

さて、新年のご挨拶にあたり、最初に、昨年の株式市場について振り返りたいと思います。
昨年は、新型コロナウイルスの感染拡大とその対応に伴い、人々の生活様式やビジネスのあり方が大きな変革を余儀なくされた一年でありました。
我が国株式市場は年初、2万3千円程度で始まりましたが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、2月、3月には世界中で悲観的な見方が広がり、株価は急落いたしました。しかしながら、その後にとられた世界各国の未曽有の金融緩和と大規模な財政出動により、株価はV字回復を見せ、夏場にはコロナ前の水準を回復いたしました。11月に入ると、米国大統領選の結果やワクチン開発成功の報道を受け、ニューヨーク株式市場は一段高となりました。そして史上初の3万ドルを突破し、それを受けて日経平均も年末には30年ぶりの2万7千円台を回復し、バブル後最高値を更新いたしました。
次に株式の新規上場について見てみますと、3月、4月には18社の新規上場の取りやめや延期がありましたが、その後の相場の回復を受けて、年間では102社の新規上場が実現し、13年ぶりの高水準となりました。

次に、JPXの各種の取組みについてご紹介いたします。2022年4月に予定しております新市場区分への移行に向けて、昨年末に、新しい市場区分に係る上場制度の概要を公表いたしました。新しい市場区分は「プライム」「スタンダード」「グロース」となります。特にプライム市場の基準には新しい定義の流通時価総額の概念や本年改訂されるコーポレートガバナンス・コードを反映した基準が導入される見込みです。
また、昨年10月1日に発生いたしましたシステムトラブルによりまして、市場関係者の皆様や多くの国民の皆様に多大なるご迷惑ご心配をおかけいたしましたことにつきまして、改めて深くお詫び申し上げます。現在、再発防止に全力を挙げておりますが、システムの総点検や訓練、売買再開に係るルール整備など、市場関係者の皆様のご協力を頂きながら取り組んでまいりますので、ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。
そして、デリバティブ市場においては、昨年7月に、東京商品取引所から大阪取引所へのコモディティデリバティブの商品移管を行うとともに、その清算機関であるJCCHをJSCCと統合させ、名実ともに総合取引所が実現いたしました。
政府でも国際金融センターへの取組みを推進していただいている中で、JPXとしても、現物・デリバティブ双方で、高い流動性を伴うマーケットを提供し、皆様が安心してご利用いただけるような市場運営に努めてまいります。

最後に、今年のマーケットについて、お話させていただきます。
足元の感染者数の状況を踏まえますと、今年も感染症対策と経済活動の両立という難しい課題への取り組みが求められると思います。そのため、中央銀行の大幅な金融緩和政策や政府による大規模な財政出動は維持されるとの見方から、全体として比較的堅調な相場展開を期待する声が多いと感じております。コロナ禍では人の移動の制限と接触抑制が求められる一方、ビジネスのオンライン化やネット利用のビジネスの急拡大など、新しいビジネスも育っております。また、菅総理が打ち出されました2050年カーボンニュートラル実現のためのグリーンビジネスの進化など、新しい生活様式やビジネス様式の発展も期待されるのではないでしょうか。
今年は、国内では東京オリンピック・パラリンピック、東京都議会選挙、自民党総裁選、そして衆議院総選挙など、大きなイベントが予定されております。
また、米国ではバイデン新政権の発足とその後の政策の方向性にどういった変化が来るのかについて特に注目をされているところでございます。米中関係等についても目が離せないポイントとなると思われます。
今年の干支は丑です。相場の格言では丑は「躓き(つまづき)」とされていますが、丑は英語では「ブル」と申しまして、ブルは強気の象徴でございます。私はこの英語のブルを信じたいと思っております。

皆様にとって、そして我が国金融市場にとって、より良き1年となることをお祈りいたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。


株式会社日本取引所グループ
取締役兼代表執行役グループCEO
清田 瞭

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