環境に関する情報(TCFD開示/移行計画)
JPXの環境理念・環境方針
JPXでは、資源が有限であることを認識し、「経済の発展」と「環境の保全」が両立する持続可能な社会を目指し、環境理念と環境方針を策定しております。
環境理念
日本取引所グループは、環境課題に対する明確な行動計画を作成し、環境負荷の低減に継続的に取り組むことにより、環境と共存可能な資本市場の維持・発展に努めます。
環境方針
1.脱炭素社会への貢献 |
温室効果ガスの100%削減を通じて、脱炭素社会の実現に貢献します。 |
2.循環型社会への貢献 | 資源消費量・廃棄物の削減やグリーン調達の推進により、循環型社会の進展に貢献します。 |
3.環境マネジメント |
環境問題への取組みを重要な経営課題の一つと認識し、関連法令や規則等を遵守することはもとより、環境関連情報の積極的な開示により、ステークホルダーや社会との対話を図ります。 |
4.環境保全活動実践の働きかけ |
環境課題に対する意識を醸成するための啓蒙などを通じて、社会全体の環境保全活動を推進します。 |
グリーン戦略
2022年4月に公表した「中期経営計画2024」で、JPXは日本におけるカーボン・ニュートラル実現に向け、市場運営者として、事業会社として、グリーン戦略を推進していくとし、「2030年に向けて、証券市場の運営(バリューチェーン)に係るカーボン・ニュートラルを目指す」をESGに関する長期目標として設定しました。詳細については中期経営計画2024の13ページをご覧ください。
脱炭素社会への貢献
カーボン・ニュートラルに向けた目標
2021 年度秋 : 東証ビルの使用電力を RE100 に対応したメニューに切替え(達成済)
2024 年度末 : 自己創出を通じたJPX グループ消費電力の100%再エネ化
カーボン・ニュートラル達成
再生可能エネルギー等の利用
JPXは、2021年10月より、東京本社・大阪本社の電力メニュー等を切り替えたほか、各拠点の電力需要に合わせPPA等も活用しながら、2023年度には電力需要の81%を再生可能エネルギー利用としています。
自社保有発電所(グリーンボンド発行)
JPXは、再生可能エネルギー(再エネ)由来の電力を使用するだけでなく、自ら再エネを創出しています。

営農型太陽光発電設備(茨城県、2022年8月運転開始)

営農型太陽光発電設備(千葉県、2022年10月運転開始)
2022年6月に発行したグリーンボンドによる調達資金で、農地における営農と発電を両立する太陽光発電設備、廃食用油を燃料とするバイオマス発電設備等を取得しています。太陽光発電所は2022年夏以降、バイオマス発電所は2023年4月に運転を開始しました。
また、2022年10月には、三菱HCキャピタルエナジーとの間で覚書を締結し、JPXグループの拠点に再生可能エネルギーを供給するための太陽光発電設備の開発・保有・運営について共同検討を行っています。
主に休耕地・耕作放棄地における発電や二次資源(リサイクル原料)を燃料に再生可能エネルギーを発電することを通じて、脱炭素社会・循環型社会に貢献していきます。
JPXのグリーンボンドフレームワークはこちらです。
なお、当フレームワークはR&Iよりセカンドオピニオンを取得しています。
グリーン・デジタル・トラック・ボンド
JPXが2022年6月に発行したグリーンボンドは、公募 STO(セキュリティ・トークン・オファリング)で発行されました。STO とは、発行会社が従来の株式や社債等に代わり、ブロックチェーン等の電子的手段を用いて発行するトークンに株式や社債等を表示する「セキュリティ・トークン」により資金を調達するスキームです。
また、当該グリーン・デジタル・トラック・ボンドによって調達した資金使途の透明性を高めるため、複数のパートナー企業との協力を得て、資金充当した発電設備の発電量を自動的に計測し、CO2 削減量に換算する仕組み「グリーン・トラッキング・ハブ」を2022年8月にローンチしました。
環境マネジメント
TCFD提言に沿った開示
JPXは、Task Force for Climate-related Financial Disclosures(TCFD)の提言に沿って情報を開示をしています。
TCFD開示のページをご覧ください。
CDPへの回答
以下は、最新の2024年の提出回答(英語)及び参考和訳です。2024年のスコアは「B」でした。
Net Zero Financial Service Providers Alliance(NZFSPA)関連情報
JPXは2023年12月にNZFSPAに加盟しました。NZFSPAは、産業革命前からの世界の平均気温上昇を1.5度未満に抑えるため、2050年までに世界の温室効果ガス排出量のネットゼロを実現するという目標への貢献にコミットする金融サービスプロバイダーのグローバルなイニシアティブです。
NZFSPA加盟の取引所は、毎年、そのコミットメントへの進捗に関する情報開示が求められています。JPXの取組みに関する情報は以下のとおりです。
事業会社として
テーマ | NZFSPA目標 | JPXの取組み | 関連情報 |
---|---|---|---|
ガバナンス | 1.NZFSPAコミットメントの策定と実行に対する説明責任と監督を確保するために、適切なガバナンス体制を整備すべきである。 | JPXは、気候変動への対応を重要な経営課題の一つとして認識し、グループCEOを本部長、グループCOOを副本部長とするサステナビリティ推進本部を設置して、関連課題の事業への影響分析し、対応を進めています。気候変動に係る基本方針や目標、施策等については、適宜取締役会に報告し、取締役会の監督が適切に図られる体制を整えています。 <具体的な取組み>
|
有価証券報告書2023年度
(17,55,72~73,88ページ) 中期経営計画2024 (12,16ページ) JPXレポート2024 (57, 71ページ) コーポレート・ガバナンス TCFD開示/移行計画 環境関連の取組み リスク管理への取組み CDP回答2024 (50~60ページ) JPX ESG Knowledge Hub「ESG情報開示実践セミナー」 |
2.自社の関連目標達成に向けた努力を支援するために、関連する方針、手続が整備され、社内研修等が確実に実施されるようにすべきである。 | JPXは、企業理念で掲げる「市場の持続的な発展を図り、豊かな社会の実現に貢献」に向け、我々を取り巻く環境や社会課題、それらとの関係に目を向け、企業価値の向上につながる取組を進めることが重要な経営課題の一つであると認識し、経営方針を定め、経営計画等を策定しています。 <具体的な取組み>
|
JPXレポート2024
(57~59,69ページ) 中期経営計画2024 (12,16ページ) 環境関連の取組み CDP回答2024 (21~22,50ページ) JPX ESG Knowledge Hub「ESG情報開示実践セミナー」 |
|
排出量削減 ・開示 |
1.毎年、移行計画の一環として気候関連の取組みを公表すべきである。 | JPXは、TCFDコンソーシアム策定の「移行計画ガイドブック」等を参照して移行計画を策定し、TCFD提言の枠組に沿って公表しています。 <具体的な取組み>
|
TCFD開示/移行計画 |
2.スコープ1、2、及び(重要な場合は)3のGHG排出量を毎年測定・開示すべきである。 | JPXは、2019年度からスコープ1及びスコープ2、2020年度からスコープ3のGHG排出量を算定し、公表しています。 <具体的な取組み>
|
環境データ JPXレポート2024 (60ページ) CDP回答2024 (115~175ページ) |
|
3.自社のオペレーションにおけるスコープ1、2、及び(重要な場合は)3のGHG排出削減にコミットすべきである。 | JPXは、主な排出要因である電力の調達方法を見直し、2024年度までにJPXグループ全体で消費する電力の100%を再エネに切り替えること、同時期までにJPXグループ全体でのカーボン・ニュートラル(スコープ1、2)を達成することを目指しています。また、その他のCO2排出量(スコープ3)も算出し、バリューチェーン全体の適切な排出量管理を行いつつ、温室効果ガスの排出を抑えるべく取り組みます。加えて、中期経営計画2024においてはESGに関する長期目標として「2030年に向けて、証券市場の運営に係るカーボン・ニュートラルを目指す」を設定しています。 <具体的な取組み>
|
環境データ 環境関連の取組み JPXレポート2024 (60ページ) CDP回答2024 (115~175ページ) |
取引所運営会社として
テーマ | NZFSPA目標 | JPXの取組み | 関連情報 |
---|---|---|---|
透明性・ 教育 |
1.ガイダンス作成やその他気候関連の情報開示を奨励する取組みを実施することで、質の高い気候関連情報の利用可能性向上を積極的に推進すべきである。 | JPXは、国内外の関係者と連携して、上場会社のサステナビリティ取組み・情報開示を促進する取組みを実施しています。 <具体的な取組み>
|
コーポレートガバナンス・コード ESG情報開示のサポート ESG債情報プラットフォーム |
2.少なくとも年に一度は、上場会社に対して気候情報開示の研修を実施すべきである。 | JPXは、TCFD提言に沿った情報の開示を促進するため、上場会社に対してウェビナー等を通じた情報提供に取り組んでいます。 <具体的な取組み>
|
JPX ESG Knowledge Hub「ESG情報開示実践セミナー」 JPX ESG Knowledge Hub:国際会計基準(IFRS)財団「IFRSサステナビリティ開示基準」 CDP回答2024 (103ページ) TCFDコンソーシアム「移行計画ガイドブック」 JPX総研・FTSE Russell 共催ウェブセミナー(2024年10月1日) S&P/JPXカーボン・エフィシェント指数セミナー |
|
製品・ サービス |
1.気候関連製品の認識度を高める努力をすべきである。 | JPXは、機関投資家や個人投資家に対する、気候関連の商品の提供に取り組むとともに、関連商品の認知度向上に努めています。 <具体的な取組み>
|
中期経営計画2024
(12ページ) ESG関連指数・上場商品 東証マネ部!世界共通語「ESG/SDGs」 「ESG債情報プラットフォーム」の公開について 「グリーン・デジタル・トラック・ボンド」、第4回「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」資金調達者部門で特別賞を受賞 電力に係る現物・先物取引の連携サービスの共同提供について カーボン・クレジット市場 CDP回答2024 (104~105ページ) |
2.製品及びサービスの研究・開発プロセスに、気候関連の考慮事項を組み入れるべきである。 | JPXは、子会社である株式会社JPX総研を中心として、ESGを含む社会の諸課題の解決を目指し、多様な指数の提供・普及やESG情報等の発信に係る機能強化の推進に取り組んでいます。 <具体的な取組み>
|
JPXレポート2024
(39ページ) |
|
政策・影響・エンゲージメント | 1.ネットゼロに整合する政策について情報を入手し推進していくため、国内外のポリシーメーカーや基準設定機関と積極的に連携すべきである | JPXは、国内外の関係者と連携して、脱炭素社会への移行を後押ししています。 <具体的な取組み>
|
CDP回答2024
(66~73,111ページ) JPX ESG Knowledge Hub:国際会計基準(IFRS)財団「IFRSサステナビリティ開示基準」 |
2.自らの市場での気候変動の開示義務化に向けて取り組むべきである。 | 日本においては、2023年1月の企業内容等の開示に関する内閣府令等の改正により、有価証券報告書において「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載欄が新設され、気候変動を含むサステナビリティ情報の開示が求められています。また、2024年3月から、金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」(東京証券取引所オブザーバー参加)において、ISSB基準に基づき策定が進められているSSBJ基準の法定開示への取り込みと保証制度について議論が行われています。 <具体的な取組み>
|
JPX ESG Knowledge Hub |
|
3.トレーニングプログラム等を通じて、市場参加者に積極的に働きかけて、ネットゼロ目標設定、トランジションプラン策定を促進するべきである。 | JPXは、国内外の関係者と連携して、脱炭素社会への移行を後押ししています。 <具体的な取組み>
|
CDP回答2024
(66~68,111ページ) カーボン・クレジット市場 経済産業省「GXリーグ基本構想」への賛同について JPXが参加・加盟する取組み |
環境保全活動実践の働きかけ
東証上場の森保全活動
2004年6月、秋田県由利本荘市に約7.3haの「東証上場の森」を設け、樹木の成長に 市場の発展や魅力向上などの願いをこめ、植樹、下刈り、冬囲い等の森林保全活動を継続的に実施しています。2024年には創設20周年を記念し、地元の皆様と一緒に植樹セレモニーや講演会等の記念行事を行いました。
本取組みに関し、秋田県の「秋田の森林づくり 森林整備による二酸化炭素吸収量認証制度」により、CO2吸収量の63.7tが認証されました(2024年度)。
保全活動と併せて、この活動にご協力をいただいている地元の矢島地域と「金融経済 教育」で連携しています。由利本荘市立矢島小学校・同矢島中学校・秋田県立矢 島高等学校で、株式会社の仕組みに関する出前授業を実施しています。また、JPX起業 体験プログラムを自走化するNPO法人も創設され、秋田県立大学・秋田県立西目高校 など“産学官金”連携でのプロジェクトも始動。2019年2月には、中小企業庁の「創業機 運醸成賞」を受賞するなど、地域社会が一丸となった金融経済教育が展開されています。

