北浜博士のデリバティブ教室

取引所取引と相対取引

デリバティブ取引と一言で言っても、どこで取引するかによって大きく2つの種類があります。

取引には、

  • 取引所取引
  • 相対取引

があります。

取引所取引とは、投資家や証券会社自身の注文を取引所にまとめ、時間優先、価格優先のいわゆるオークション方式で売買を行う方式のことです。取引所が定めたルール(商品、取引期間など)に基づいて売買することになります。
相対取引とは、取引所を通さずに売買の当事者同士で売買を行う方法のことです。売り手と買い手とが、お互いの合意によって価格・数量・決済方法を決めて取引し、売買契約を締結します。

取引所取引と相対取引の比較

  取引所取引 相対取引
長所
  • 相手方が破たんしても取引が不履行にならないように保全策が取られている。
  • 多くの投資家が参加することにより、流動性が高まり、適正な値段が付けられる。
  • 取引者間で取引期間、価格、数量、決済方法などの設定が自由にできる。
短所
  • 取引所が定めたルール内での取引に限定される。
  • 相手方が破綻したら損失を被るため、相手方の信用リスクを背負うことになる。
  • 一般的に契約は個別性が強いので、転売できず、価格の透明性にも欠ける。

取引所取引と相対取引のイメージ

取引所取引と相対取引のイメージ

取引所取引と相対取引の取引残高の推移

デリバティブでは相対取引が大きなシェアを占めています。
デリバティブ市場には個人投資家や海外投資家の他、銀行や生命保険会社などの機関投資家も多く参加しています。
機関投資家は、運用期間も個人投資家より相対的に長く、また、ある局面で同じような投資行動をすることが多いために、市場が一方向に振れやすくなったり、こう着状態に陥りやすくなるため、細かな条件設定ができる相対取引の方が需要が多いという見方があります。

取引所取引と相対取引の取引残高の推移

当事者同士で売買を行う相対取引では、どこでどのような取引が行われているかは詳しく知ることができません。一方で取引所取引では、より公正な取引を実現するために情報が広く公開されていて、投資家が簡単に情報を入手することができます。
次は、取引所取引について、詳しく見ていきましょう。