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復興貯蓄債券売出しポスター

第4回復興貯蓄債券の売出しポスター

復興貯蓄債券

右のレトロ調ポスターは、大正14年、第4回復興貯蓄債券の売出しに使われたものです。

右下の写真は、大正15年に売り出された第6回復興貯蓄債券で、額面は5円、償還は17年半、償還時に抽選による「割増金」付きの債券です。この債券、券面に、「本債券ノ發行ニ依ル収入金ハ、震災地ノ復興及ビ地方産業ノ振興ノ為必要ナル用途ニ之ヲ融通スルモノトス」と書かれています。

大正9年3月より株式市場は金融引締め政策などから空前の暴落に見舞われ、更に、大正12年9月の関東大震災により、東京・横浜の株式取引所が焼失、売買取引が一時不能となるなど、日本経済は不安と動揺に包まれることとなりました。

政府はこの救済策として、支払延期令(モラトリアム)や物資供給を増大させるなど救済策を講じましたが、その後、復興物資の入超による為替の低迷や復興資金が膨大な金額になるにつれ物価上昇が懸念されるようになりました。

そこで、政府は、物価上昇抑制のための購買力吸収策として、この「復興貯蓄債券」を発行する運びとなり、大正13年9月から昭和3年11月の5年にわたり11回発行され、当時のお金にして総額8,400万円の資金が集められたといいます。

この「復興貯蓄債券」、第1回の売出しは、10円額面に対する3千円の割増金が評判を呼び人気を博したそうですが、「休日に行員を総動員して銀座交叉点など市内目貫の場所で現物を示して大宣伝を試み、あるいは東京大阪間の飛行機宣伝をするなど懸命の努力を払った」(日本勧業銀行史)とあり、これら債券の販売には苦労もあったようです。

この「復興貯蓄債券売出しポスター」、当時は街のあちらこちらで見られたことでしょう。