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立会開始の鐘

写真左と中央は、昭和3年(1928年)に東京株式取引所(東株)の市場館塔屋に設けられた立会開始を告げる鐘で、写真中央は実際に設置されているところを撮影したものです。東株の年史には“立会開始電鈴”として「屋上大電鈴一個」とあり、この鐘は電動式でした。当時の市場関係者は、毎日、立会開始の合図としてこの鐘の音を耳にしていたわけですが、この鐘は昭和10年ごろまで使われ、その後は、写真右のハンドベル(振鈴)が使われた時期もありました。

立会開始の鐘イメージ1(写真左)、立会開始の鐘イメージ2(写真中央)、立会開始の鐘イメージ3(写真右)

ところで、立会開始時に鐘を鳴らすのは、我が国独自の慣行ではないようです。ニューヨーク証券取引所では、今でも、立会開始と終了の合図として鐘を鳴らしています。同取引所での鐘の使用は1870年代にさかのぼり、最初に使用されたのはなんと“Chinese gong”、つまり“ドラ”だっそうで、その後、1903年に電動式のブラス・ベルが導入されて1980年代まで使用されました。

話を我が国に戻しますと、昭和53年5月、証券取引所開設100年を記念する式典が東証の旧市場館立会場で盛大に催されましたが、その式典の中で、実際にこの鐘が使用されたことがあります。特定ポスト高台に特設されたこの鐘は、東証初代理事長の故小林光次郎氏の手により打ち鳴らされ、列席した証券市場関係者は、しばし“証券市場第2世紀の幕開け”を告げる音色に耳を澄ましたといいます。

左の鐘ですが、現在は東証Arrows内のVIPテラスに移設され、上場セレモニーで新規上場会社の方々に打鐘していただいております。