JPXからのお知らせ

2017/01/04 JPX 年頭ご挨拶

 
代表執行役グループCEO 清田 瞭 写真

明けましておめでとうございます。
日本取引所グループCEOの清田でございます。
年頭に当たり、皆様のご健勝を心よりお祝いすると共に、本年も一層のご活躍をお祈り申し上げます。

さて、新年のご挨拶に当たり、最初に、簡単に昨年の株式市況を振り返りたいと思います。年初は、「大発会から6営業日連続下落」という戦後初となる波乱の幕開けでございました。
その後も、日銀によるマイナス金利導入や熊本大地震、イギリス国民投票におけるEU離脱決定など、想定外の事態の続発を受け、不安定な相場展開となりました。
しかしながら、7月以降は日銀によるETF買入額の倍増や9月の日銀による金融政策の総括的な検証などもあって落ち着きを取り戻しました。11月のアメリカ大統領選挙の予想外の結果を受け、一瞬乱高下致しましたが、米国市場の落ち着きとトランプ政権の政策に対して、「市場寄りである」という評価から、世界の株式市場は反発し、東京市場も急騰致しました。アメリカ連銀による利上げとトランプノミクスによる景気拡大期待を背景に、円相場も大幅安となり、12月には株式市場は連日年初来高値を更新、年初とは対照的に9連騰を記録するなど、堅調な相場展開となりました。
このように、2016年は予想外、想定外、番狂わせ、など、相場を揺るがす出来事の多い、まさに「申酉騒ぐ」という格言のとおり、動きの激しい1年となりました。

さて、昨年の大発会において、「経営の歴史的な転換点」となると申し上げた「コーポレートガバナンス・コード」ですが、「複数の独立社外取締役」を選任している東証一部上場企業の割合は、8割を超えました。
企業と投資家の建設的な対話が「持続的な成長」と「中長期的な投資リターンの拡大」の好循環を生むという考えのもと、上場企業の経営者の方々に真剣に取り組んでいただいた1年であったと感じております。

続きまして、昨年のJPXの取組みを振り返りますと、3月に第二次中期経営計画を策定し、7月にはデリバティブ取引の基幹システムである大阪取引所のJ-GATEを刷新して、信頼性と処理能力の向上を図りました。
また、新指数「JPX日経中小型株指数」を開発しました。これは「JPX日経400」の基本コンセプトを引き継ぎながら、中小型の優良企業にスポットを当てた画期的な指数であり、大いに期待しております。
また、フィンテックについては、昨年実施した実証実験の2倍以上の参加者を募って実験することを計画しており、日本の金融市場が、フィンテックによって大きく姿を変える可能性を含めて、実験を続けたいと思っております。

最後に、今年のマーケットについて、一言、お話しさせていただきます。冒頭、ご紹介しましたように、「申酉騒ぐ」という相場格言どおりなら、今年も騒ぐということになりますが、今年もいい意味で騒がしい年になれば良いなと思っております。
アメリカでは1月20日にトランプ大統領が誕生、ヨーロッパでは3月にはイギリスのEU離脱の通告が行われます。さらに、オランダ、フランスやドイツでも大統領選挙や国政選挙が行われます。
アジアに目を向けますと、韓国、中国の動向も目が離せませんが、日本は幸いにも、今や、世界で最も政治的、経済的に安定している国と言えるのではないでしょうか。
必ずしも楽観できる状況ではありませんが、昨年末に向けた原油価格の反騰や円安の進行を考えると、デフレ脱却や成長のための舞台装置が整ってきたのではないかと思います。
その意味で、今年は、約1年に亘る調整局面を終えて、アベノミクスが再スタートする重要な年であり、大いに期待しております。

昨年の皆様からの温かいご支援に感謝致しますと共に、本年もよろしくご指導頂きますようお願い申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

2017年1月4日
株式会社日本取引所グループ
代表執行役グループCEO 清田 瞭