北浜博士のデリバティブ教室

デリバティブの意義と役割

リスクヘッジ

株式投資をする人が、自分の投資する株式の価格変動による損失リスクを回避したいと考えるのは当然です。
この「リスク回避=リスクヘッジ」をするために、有効な手段としてデリバティブがあります。

例えば、自分の保有する株式の価格が将来下がりそうだが、その株式を売却したくない(保有し続けていたい)とします。
現状のままでは将来損失が発生することが予想されますが、先物を現在の相場で売る契約をしていれば、将来株価が下がって保有する株式で損失が出ても、先物で利益を得ることができ、損失を抑えることが期待できます。

逆に、将来株式を購入しようと考えているが、購入時までに相場が上昇しそうだと思うのであれば、現在の相場で先物を買う契約をすれば、将来値上がりしても契約した値段で購入することができます。

デリバティブ取引は、契約時点では全額の費用を支払う必要はなく、証拠金と呼ばれる、契約金額より少ない資金で始めることができるため、効率的にリスクヘッジを行うことができます。
このようにデリバティブは資産を守るための保険としての役割を持っています。

更に、リスクヘッジができる環境であれば、投資家も安心して投資をしやすくなるため、経済活動を活発にする効果があると言えます。

リスクヘッジ

市場の流動性補完

また、投資方法のひとつとして、裁定取引というものがあります。
値動きの相関性が高い商品間(例えば、Aという商品の現物と先物)で、割高のものを売って割安のものを買い、その利鞘を稼ぐ取引のことをいいます。
裁定取引を行う投資家は、価格の変化に応じて活発に売買する傾向があり、この裁定取引が行われることで、現物とデリバティブ両市場の流動性が高まるという効果があります。

市場の流動性補完

価格発見機能

更に、取引所取引の場合、デリバティブ市場には、幅広い投資家が参加しています。

参考:3-3_デリバティブの役割-日本のデリバティブ投資家の種類

現物を持っている人・持っていない人、目先の利益を追求しようとしている人・中長期的に利益を得ようとしている人など様々な動機を持つ投資家たちが、資産価格について売買注文という形で自分の意思表示を行い、適正な価格を決定しています。これを「価格発見機能」と言い、デリバティブの重要な役割となっています。

価格形成の過程においては、デリバティブと原資産の間でも相互に影響を与え合って、適正な価格を見つけ出そうとする力が働いています。

価格発見機能