女性の力が活かされやすい「なでしこ銘柄」

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長らく低迷していた日本経済の再生に向けて、「女性」への期待が高まっています。これは、少子高齢化が急速に進む中、社会を支える就業人口を維持するという、量的な側面からだけではなく、企業の経営戦略として女性人材の登用促進することが競争優位に結びつくという質的な側面からも、期待されているものです。

多様な人材を活かす戦略であるダイバーシティ・マネジメントは企業の競争優位を確保するために有効な経営戦略の一つと考えられており、「女性」の活躍を推進することは、ダイバーシティ・マネジメントを進める上での「試金石」として、企業のイノベーション促進、グローバルでの競争力等へ貢献すると考えられています。

そこで今回は、東証一部上場企業の中から、業種ごとに、女性が働き続けるための環境整備を含め、女性人材の活用を積極的に進めている企業をご紹介いたします。

なお、今回のテーマ銘柄選定は、「ダイバーシティ経営企業100選」の実施を始め、経済再生の観点から、女性の活躍推進に取り組んでいる経済産業省との共同企画として実施いたしました。

また、企業の選定に関するスコアリングは、国内外の企業の環境・社会・ガバナンス(ESG)側面の調査・分析を手がける株式会社日本総合研究所により実施されています。

選定企業一覧

コード 企業名 業種
主な取り組み
1334 マルハニチロホールディングス 水産・農林業
マルハニチログループでは、女性比率の拡大を積極的に推進しています。2011年度の女性従業員比率は18%、女性管理職比率は3%となりました(マルハニチロ水産、マルハニチロ食品の原籍正社員)。今後、女性管理職比率の向上に向けて、階層別研修等を通じて社内の意識向上に取り組んでいく方針としています。

女性の活躍を促進するために、家庭や育児との両立支援にも力を入れています。「育児休職制度」や「産前・産後休暇」は従業員に幅広く活用されているほか、生活スタイルに合わせた働き方を可能とする「短時間勤務制度」を整備し、育児を行いながら働くことができる環境を整備しています。
1928 積水ハウス 建設業
積水ハウスでは、住宅の提案には多様な感性が求められるとの認識のもと、多様な人材が力を発揮し、価値を提供できる組織づくりが重要であると考え、「人事基本方針」の大きな柱の一つに「女性の活躍推進」を掲げています。

推進体制の面では、2006年に「女性活躍推進グループ」を設置。女性営業職の積極的な採用を行うとともに、女性営業職員を対象にした交流会やキャリア支援・研修を実施しています。女性の管理職への登用も拡大しており、グループ全体での課長職以上の女性管理職の人数は、2006年が15人だったのに対し、2012年1月末時点では34人にまで拡大しています。

家庭と仕事との両立を支援する「短時間勤務制度」の利用者数も年々拡大しているほか、女性の育児休業取得後の復職率も93.3%と高い水準になっています。
2502 アサヒグループホールディングス 食料品
アサヒグループでは、女性従業員の活躍を促進することが、自社の経営にとって重要であるとの認識のもと、施策を推進しています。

女性従業員の管理職への登用を積極的に推進しており、アサヒビールでは、2011年12月末時点において女性管理職比率は約3.8%となっています。グループ会社においても、2007年にアサヒフィールドマーケティングで女性取締役が誕生したほか、和光堂でも2010年に女性が執行役員に就任しています。

家庭と仕事との両立支援の面では、出産や配偶者の転勤などの理由により退職した従業員の再雇用を認める「ウェルカムバック制度」のほか、各自の記念日に休暇が取得できる「メモリアル休暇制度」などを有し、メリハリのきいた働き方を奨励する風土づくりに取り組んでいます。アサヒビールでは、育児休業を取得した従業員の復帰率もほぼ100%となっているほか、育児休業は男性にも利用されています。
3402 東レ 繊維製品
東レの女性の活躍支援の取組みは長い歴史を有しています。1958年には初めて女性の管理職への登用が行われたほか、1992年の育児休業法施行に先立つ1974年にはいち早く育児休業制度を導入しています。また、2004年からは「女性活躍推進プロジェクト」を立ち上げ、活躍支援の取組みをさらに強化した結果、掛長級以上の職位に就く女性比率は年々増加し、2012年には7.06%に達しています。

家庭と仕事の両立支援については、「再就職希望社員登録制度」や、「フレックスタイム制度」、「ベビーシッター費用補助制度」などの支援策を有しています。さらに、2012年度からは、小学校3年生に到達する年度の3月末日までの子どもを養育する従業員を対象として、「在宅勤務制度」を試行的に開始しています。
4452 花王 化学
花王では、ダイバーシティから生まれる活力が事業の発展を支えるとの認識のもと、多様な人材が活躍できる職場の実現に向けて活動を進めています。国内グループ全体の正社員における女性管理職比率は2011年度に9.6%に達しています。

家庭と仕事との両立支援として、保育所が利用できないことで復職できずにいる社員を支援するために、2011年に社内託児施設「メリーズガーデン」を東京に設置しました。同時に、メンタル面のサポートが重要と考え、子育て中の社員の交流会の定期的な開催や、育児休職からのスムーズな復職を支援する復職前セミナーなどにも力を入れています。男性社員の育児支援にも積極的であり、新たに子どもが生まれた男性社員とその上司に向けて育児支援制度の周知と理解促進を図っています。2011年度に子どもが生まれた男性社員の育児休業取得率は40.5%と、高い水準です。また家族介護を担う社員数の将来予測や実態把握をいち早く実施し、計画的に介護支援強化に取り組んでいます。
5110 住友ゴム工業 ゴム製品
住友ゴムグループでは、「雇用の基本方針」として、「多様な雇用環境づくりと能力開発」、「働きがいのある職場づくり」、「公平な評価と処遇」の3つを掲げています。女性の活躍拡大に向けて、女性総合職の採用拡大を進めており、管理職数も増加傾向となっています。

家庭と仕事との両立支援については、タイヤ業界で初めて「くるみん(次世代認定マーク)」を取得し、育児に配慮した勤務形態の導入や、有給休暇取得の推進などを行っています。育児を行う従業員への理解と協力が得られる風土をつくり、女性の育児休業取得とともに、男性の育児休業取得に関する取組みを推進しています。
5201 旭硝子 ガラス・土石製品
AGC旭硝子では、「ダイバーシティ(多様性)」を活かす職場づくりを実践するために、女性の活躍推進を重要なテーマの一つと位置づけ、「優秀な女性の積極的採用」と「女性従業員の活躍が促進される環境づくり」に取り組んでいます。

採用の面では、2011年度には、専門職の新卒採用のうちの20%を女性とするという目標を設定し、目標をクリアしています。過去に退職した女性従業員からの再雇用の希望を受け付け、優先的に採用する「再雇用希望登録制度」や、女性の先輩社員が後輩をサポートする「女性メンター制度」も有しています。

家庭と仕事との両立支援については、育児のための「短時間勤務制度」や「時間外・休日労働制限」、「フレックスタイム制度」などを有しています。さらに、2012年度には、保育所に空きが見つからない女性従業員のため、外部の託児所と法人契約を行う「託児所利用支援制度」を導入しました。
5471 大同特殊鋼 鉄鋼
大同特殊鋼では、2003年よりポジティブ・アクションの推進活動を行っています。2006年には、人事制度を改定して、専任職(一般職)を総合職に統合し、性別に関係なく活躍できる環境づくりに取り組んでいます。2008年からは、女性社員の活躍支援に向けて、スキルアップを目的とした講座を開始しました。2011年の女性役職者比率は15.6%となっています。

仕事と生活の両立に向けて、小学校3年生までの子どもを養育する従業員を対象として、所定労働時間の短縮を可能としています。また、小学校卒業前の子を養育する従業員を対象とし、法令では子ども1人につき5日までのところを、子どもの数に関わらず1年に10日まで、かつ半日単位で取得することのできる看護休暇も整備しています。
5713 住友金属鉱山 非鉄金属
住友金属鉱山では、結婚や出産を機に仕事を辞めずに、長く職場で活躍できるよう、女性の雇用及び活躍機会の拡大に向けた施策を展開しています。長時間労働の抑制や有給休暇取得の促進、育児短時間勤務制度の拡充やジョブリターン制度等、各種制度の活用および充実を図っています。

2011年10月には、様々なバックグランドを持つ女性従業員8人で構成される「女性活用検討チーム」を結成しました。約半年にわたって、定期的に会合を持ち、最終的には人事部長へ提言を行いました。現在は、「女性活用検討チーム」からの提言をベースとして、女性を含め、多様な従業員がより働きやすい職場になるよう、取組みを進めています。
6367 ダイキン工業 機械
ダイキン工業では、2001年に、総合職・一般職の区分をなくし、女性の仕事領域拡大を図りました。女性の基幹職(管理職)への登用も計画的に進め、2001年度の2名から2011年度は21名となりました。2011年度には、女性活躍推進プロジェクトを立ち上げ、重要施策の1つと位置付けて取り組みを進めています。

仕事と育児を両立させて働き続けられる環境づくりも推進しています。その中の一施策として、2007年6月に育児支援カフェテリアプランを導入し、残業・出張時や子どもの病気時に、ベビーシッターなどの育児支援サービスの費用の一部を会社が補助をしています。

「多様な人材が互いの価値観の違いを認め合い組織力を高め、大きな目標に挑戦していくことが、企業の力になる」という考えに基づき、女性だけでなく障がい者、高齢者も含めたダイバーシティの取り組みを着実に展開しています。
7201 日産自動車 輸送用機器
自動車購入の意思決定の6割以上が女性主体となっていることから、日産自動車では女性の視点での製品やサービスの開発が不可欠と考え、グローバルで、プロジェクトや組織のリーダーを担う女性が活躍できるような環境の整備を進めています。

女性のキャリア形成支援の面では、社内に女性のキャリアアドバイザーを配置し、相談体制を構築したほか、女性従業員を対象とする能力開発研修や、女性同士のネットワーキングのためのイベントを開催するなどの取組みを進めています。国内における女性管理職の比率は、2004年の1.6%から、2012年には6.7%にまで増加しました。

家庭と仕事との両立支援の面では、「就業時間短縮制度」や「在宅勤務制度」などのほか、国内で3カ所目となる事業所内託児所「まーちらんど」をグローバル本社(横浜)にも設置しました。また、育児休職者を対象とする「復職セミナー」を2011年から実施するなど、ソフト面での施策の充実も進めています。
7731 ニコン 精密機器
ニコンでは、女性の活躍促進に向けて、具体的な数値目標を立て、女性の能力開発の促進と女性が活躍できる企業風土の醸成に、積極的に取り組んでいます。

国内グループ会社では、5社を「女性活躍推進モデルカンパニー」と定め、2011年3月期から目標を立てて施策を実施してきました。それぞれの会社の課題や可能性を検討し、人事ローテーションによる女性の職域の拡大や、女性の顧客を意識した女性だけのプロジェクトの立ち上げなど、自社の状況に応じた活動を行っています。

育児休暇は最長2年間まで取得可能とし、育児や介護のための時差勤務と勤務時間の短縮も併用可能としています。2010年6月からは、改正育児・介護休業法の施行に伴い、子どもの看護や親族の介護のための、時間単位の休暇取得を可能にしています。
9005 東京急行電鉄 陸運業
東京急行電鉄では、1988年度から女性総合職の採用を行うなど、従来男女の区別なく採用を行い、配属においても性別に関係なく幅広く行っています。鉄道の駅務などの現業職場においても、2001年度から正社員の採用を行っています。女性の管理職登用も進めており、現在、部長1名を含む11名の女性管理職が各職場で活躍しています。

仕事と家庭との両立支援の面では、2008年7月から、育児(妊娠・出産・育児)や介護を理由に退職した社員が、働くことができる状況になったときに社員として復職できる制度として、カムバック制度を導入しました。
2010年4月からは「育児」を理由として制度を利用する社員が復職できる期間を、従来の「末子が小学校に入学した年の4月30日まで」から、「末子が小学4年生に進級した年の4月30日まで」に延長も行いました。
9433 KDDI 情報・通信業
KDDIでは、「個人の持てる力や個性を十分に発揮できる職場環境の実現」を目的として、女性社員の活躍を推進する社内プロジェクト「Win-k(ウィンク)」の活動を行っています。2009年度から男性社員も加わり、全社員に向けた意識調査やeラーニング、フォーラムなどを実施し、意識啓発や社員同士のネットワークづくりに取り組んでいます。

2011年度のKDDIの女性管理職比率は、3.2%となり、前年度から0.4ポイント増加し、6年連続上昇しています。2015年度に7%の達成を目標に掲げ、取組みを推進しています。

多様な働き方による生産性向上に取り組んでおり、2011年5月からは、1カ月単位の変形労働制を導入。育児・介護短時間勤務者も利用可能とし、限られた就業時間内で状況に合わせた柔軟な働き方を選択できるようにしています。
8015 豊田通商 卸売業
豊田通商では、ダイバーシティ推進グループを中心に、「性別や年齢に関わらず、誰もが力を発揮できる組織となり、新たな価値創造を目指す」をコンセプトに、多様な人材が活躍できる職場づくりを進めています。女性のキャリア開発に関する研修の実施など、さまざまなアプローチから、女性の活躍支援に努めています。

育児休業取得者が職場にスムーズに復帰できるよう、復帰1ヵ月前に人事担当者が取得者とその上司に対して面談を実施するなど、女性のキャリア継続を全面的に支援しています。豊田通商(単体)において、子どもがいる女性社員の比率は、2007年の11.7%から2011年の19.1%まで増加しています。
9983 ファーストリテイリング 小売業
ファーストリテイリンググループでは、働きやすい職場環境の実現と、従業員満足度の継続的な向上を目指し、社員一人ひとりを尊重し、会社と個人がともに成長できるよう、さまざまな環境を整え、グローバルな視点で、革新的な仕事をしていく人材の育成に努めていくことを、基本方針として定めています。

2004年には、ユニクロ店舗で働く女性店長のキャリア開発のための「女性店長プロジェクト」をスタートさせ、女性の活躍支援に向けた取り組みを推進してきました。

女性が長く働き続けられるように、仕事と家庭との両立を支援するため、子どもが小学校4年生に上がる年の3月まで職場復帰後の育児短時間勤務が可能です。2012年度の育児休暇取得従業員数は590名、育児時短制度利用従業員数は156名です。
8316 三井住友フィナンシャルグループ 銀行業
三井住友フィナンシャルグループでは、性別・国籍などを問わず、様々な人材が活躍できる職場づくりに取り組んでいます。2008年4月には、三井住友銀行の人事部内に「ダイバーシティ推進室」を設置し、多様性を強みとする企業風土の醸成に取り組んでいます。2009年度以降は、「ダイバーシティ・レポート」を作成して、多様性を強みとする企業風土の醸成が、三井住友銀行の経営戦略の一環であることを表明しています。

三井住友銀行では、リテール(個人業務)部門に限らず、幅広い部門において女性のポスト登用を積極的に進めています。
若手の抜擢や、ワーキングマザーの登用、事務職からの登用などにより、さまざまな属性の女性管理職が増加しています。

仕事と家庭の両立支援については、三井住友銀行のほか、グループ各社にて育児休業制度看護休暇制度、短時間勤務制度などにおいて、法定を上回る制度を導入しています。
  • 17銘柄、業種順

選定方法等については、こちらのレポートをご覧ください。 PDF

ディスクレーマー

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