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兜町商業学校の校旗

兜町商業学校の校旗

兜町商業学校の様子

右の旗は、昭和6年3月20日に、証券関係従業員の教育機関として設立された(財)兜町商業学校(通称「兜商」)の校旗です。平成2年5月、同校の同窓会が都内のホテルで開催されたときに、同校校友会の方々が保管していたこの校旗を、より公共性の高い機関で保管するのが好ましいとのことから、同校とゆかりの深い東京証券取引所に寄贈されました。また、左下の写真は、授業風景(昭和6年当時)を撮影したものです。

兜商は、東京株式取引所(東株)創立50年記念事業の一環として、東株などからの寄付金(7万円)を基に、「主として本所及び取引員店の年少從業員を收容し商業上必要なる實務的教育を施し、併せて證券取引所に關する知識を授くると共に質實眞摯なる人物を養成」(東京株式取引所史第二巻)するために設立された3年制の夜間学校で、昭和6年4月6日に開校しました。開校当初、同校は東株近辺の建物内(現在の日証館)にありましたが、その後、同取引所新本館の竣工(昭和6年9月)とともに、その5階に教室を移し、昭和19年まで開校されていました。

兜商の校長以下役員はすべて業界関係者で構成され、日常業務については取引所員がお世話をしていたとのことです。生徒数は、定員が300人のところ、多いときには500人近く収容したこともあり、充実した学校であったといいます。また、授業には「取引所」という兜商ならではの科目があったほか、「教練」の時間には、専任教官のほか証券在郷軍人会「つわもの会」の有志の協力により、時には遠く野外演習に出掛けることもあったと伝えられています。

生徒たちは、例外なく証券関係などへの就職が確保されていたこともあり、教職員などの熱心な指導の下、専心勉励し、良好な成績を修めたとのことです。戦前にこのような教育機関を運営していた証券界の方々の熱意にはまったく感心します。それにしても、写真の生徒たちの“いがぐり頭”には、時代を感じさせるものがあります。