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株式会社日本取引所グループは2023年1月、JPX日経インデックス400構成銘柄を対象とした「TCFD提言に沿った情報開示の実態調査(2022年度)」を公表しました。本調査の目的は、日本企業におけるTCFD提言に沿った気候変動関連の情報開示の実態を把握し、上場会社が気候変動関連情報の開示に取り組むうえで参考となる情報を提供するとともに、開示の質と量の充実化に向けた検討の参考とすることです。
なお、2021年11月に公表したTCFD賛同上場会社(259社)を対象にした調査は以下のページからアクセスできます。
TCFDとは「気候変動関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の略称で、G20財務大臣・中央銀行総裁会議の要請を受け、2015年12月に金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示及び気候変動への金融機関の対応を検討するために設立されました。TCFDは、気候変動要因に関する適切な投資判断を促すための一貫性、比較可能性、信頼性、明確性をもつ、効率的な情報開示を促す提言を策定することを目指して議論を重ね、2017年6月に提言を公表しました。この提言への支持を表明する企業・機関は世界中で増加しており、2020年10月末現在で1500を超える企業や金融機関、公的機関等が支持を表明しています。国別でみると日本企業・機関の支持が最も多く、315程度の企業等が支持を表明しています。JPXも2018年10月に支持を表明しています。
TCFDは2017年6月公表の最終提言をはじめ、関連ガイダンス等、複数の刊行物を公表しています。
いわゆる「TCFD提言」と言われるメインレポート。「気候関連のリスク、機会、及び財務的影響」を解説した上で、金融・非金融セクターの両者に共通の「提言とガイダンス」を示しています。また、シナリオ分析について、その必要性と推奨されるアプローチを示しています。
TCFD提言は、企業等に対して、自社のビジネス活動に影響を及ぼす気候変動の「リスク」と「機会」について把握し、下記の項目について開示することを推奨しています。
金融セクター、及び気候変動と低炭素社会への移行により大きく悪影響を受ける可能性のある非金融セクターを対象とした補助ガイダンス。金融セクターは、「銀行」、「保険業」、「アセットオーナー」、「アセットマネージャー」、非金融セクターは、「エネルギー」、「運輸」、「素材と建築物」、「農業・食糧・林業製品」に分類されており、それぞれの業種の特徴を踏まえたより詳細なガイダンス。
なお、当該ガイダンスは2021年10月に更新されました。「指標と目標」について、全セクターに対するガイダンスが更新されたことに加え、金融セクターに対するガイダンス等が追加されました。また、既存の11の推奨開示指標の中から、セクターを問わず開示が求められる指標について新たに特定しています。
TCFD 提言に沿った情報開示の活動を支援するために、「シナリオ分析」の概要や、実施の際の留意点等について取りまとめた技術的な補足レポートです。
TCFDの「リスク管理」に関する提言に向けた活動を支援するために、気候変動に関するリスク管理を既存のリスク管理プロセスに統合する際の留意点等を取りまとめたガイダンスです。
2017年のシナリオ分析に関するレポートに続いて、更に深くシナリオ分析を実施する際の留意点やプロセスを取りまとめたガイダンスです。
TCFDが2021年に実施したステークホルダー調査の結果や市場の最新状況を踏まえて、開示が推奨される指標と目標に関する情報、また、トランジション・プランの作成・開示に関する実践的なポイント等を取りまとめたガイダンスです。
日本国内では、2019年5月に、TCFD提言に基づく企業の効果的な情報開示や、開示された情報を金融機関等の適切な投資判断に繋げるための取組みについて議論する場として、「TCFDコンソーシアム」が設立されました。TCFDコンソーシアムは総会、企画委員会、情報開示ワーキンググループ、情報活用ワーキンググループ及びアウトリーチイベントによって構成されています。
TCFD提言に基づき企業が開示した情報の活用に関する事項について議論する情報活用ワーキンググループでの議論をもとに、2019年10月に「グリーン投資の促進に向けた気候関連情報活用ガイダンス(グリーン投資ガイダンス)」が公表され、2021年10月に改訂版が公表されました。このガイダンスは、投資家がTCFD提言に基づく開示情報を読み解く際の視点について解説しており、企業にとっては、投資家等の視点を理解するのに役立つ内容となっています。
また、TCFD提言に基づく情報開示の具体的な内容等について議論する情報開示ワーキンググループでは、2018年8月に経済産業省が作成・公表した「気候関連財務情報開示に関するガイダンス(TCFDガイダンス)」の改訂作業を引き継ぎ、2020年7月に「TCFDガイダンス2.0」、2022年10月に「TCFDガイダンス3.0」を公表しました。TCFDガイダンスは、事業会社がTCFD提言に沿った情報開示を行うに当たっての解説や参考となる事例の紹介と、業種ごとに事業会社の取組が表れる「視点」の提供を目的としています。
加えて、不動産分野に特化したガイダンスとして、2020年3月に国土交通省が「不動産分野における『気候関連財務情報開示タスクフォースの提言』対応のためのガイダンス(不動産分野TCFD対応ガイダンス)」を公表しました。
この他、環境省は2018年度から、企業がTCFDの報告書に沿ったシナリオ分析を円滑に実践できるようにするために、「TCFDに沿った気候リスク・機会のシナリオ分析支援事業」を実施。2019年3月に、支援事業の事例を取りまとめた「TCFDを活用した経営戦略立案のススメ~気候関連リスク・機会を織り込むシナリオ分析実践ガイド」を公表しています。2020年3月には、①シナリオ分析を進める上でのポイント、②2019年度支援の事例、③参考となる外部データ・ツール集を拡充し、ガイドを改訂しています。