機関投資家のESG投資
ニッセイアセットマネジメント株式会社
ニッセイアセットマネジメントのサステナブル投資の歩み
当社は、「企業価値の向上」「持続可能な社会の実現」「資本市場の健全な発展」に向けて、責任ある投資家としての社会的使命を全うすることがお客様の利益に資するという考えのもと、15年以上にわたるサステナブル投資に関する取り組みを継続し、実績を積み上げてきました。
2006年には、国連が提唱した責任投資原則(PRI)に署名し、2008年以降、ESG 評価を国内外の株式や債券に組み込み、長期投資の軸を明確にしてきました。また、議決権行使を含めた投資先企業との対話も積極的に推進し、2014年5月に日本版スチュワードシップ・コードを受け入れて以降、継続的に質の向上に取り組んでいます。
2023年には、グローバル・インパクト投資ネットワーク(GIIN)に加入し、インパクト投資への取り組みも強化しています。
ESGインテグレーションの考え方・対話との関係
当社におけるESGインテグレーションは、将来の財務価値に影響を及ぼす重要なESG要素が、現在の資産価格には十分に反映されていない場合があるとの考えに基づいて、ESG分析を投資分析に組み込み、投資の意思決定を行うことです。
特に株式運用においては、株式アナリストが、ESG分析を行うことによって、その企業にとって重要なESG 要素を特定し、その財務への影響を中長期の業績予想に反映させることを通じて、企業価値への影響を見極めています。債券運用では、ESG 要素の財務への影響を信用力評価に反映させています。
こうした一連のプロセスを、当社ではESG評価と呼んでおり、当社が独自に開発したESG分析シートを用いて、ESG 要素の業績予想への反映に関する分析結果や、将来影響を与えうるサステナビリティ関連のリスク・機会に関する分析結果を、シートに記述するとともに、ESGレーティングを付与することによって、企業価値への影響度の評価を可視化しています。
日本における企業のサステナビリティ情報開示を巡っては、SSBJ 基準に沿った開示が義務化される見込みとなっており、当社におけるESGインテグレーションも、ますます不可欠なものになっていくと考えています。
(出所)『サステナビリティレポート2026』 P12
企業との対話は、ESGインテグレーションにおける重要なプロセスの一部です。アナリストは対話を通じて投資先企業に対する理解を深め、それも踏まえてESG分析を行うことで、質の高い中長期の業績予想や信用力評価を目指しています。さらに、対話を通じて企業に変化が生じた場合にも、ESG分析を通じて、中長期の業績予想、信用力評価を継続的に見直していきます(ESGレーティングも継続的に見直していきます)。
このように、ESG分析と対話は相互に関連する活動であり、別々のものではありませんので、アナリストが一体的に取り組むことが重要だと考えています。
中長期の企業価値向上を目指す対話活動
当社の理想とする対話は、投資先企業との相互信頼関係の下で建設的な議論を行い、企業成長の実現を下支えするような意識を持って取り組む活動です。
経営陣やIR 担当者との日頃の議論を通じて、足元の事業課題や、将来のビジネス展開を見据えた経営課題等が浮かび上がってきます。成長を志す企業の多くは、こうした課題の把握に余念がありませんが、ここでの投資家の重要な役割は、企業が抱えている弱みや課題解決の糸口につながる「俯瞰的視点の提供」です。
第三者としての意見発信や、他業界での解決事例の紹介などを織り交ぜつつ、改善行動への気づきにつながるサポートを意識してアナリスト活動に取り組んでいます。
(出所)『サステナビリティレポート2026』 P15
当社が目指す対話を進めるには、企業についての深い理解が欠かせません。当社のアナリストは、ESG分析を行い、中長期業績予想を経て企業価値分析に至る一連のESGインテグレーションのプロセスを通じて、企業への理解を深めています。
その上で、投資先企業の経営陣等との対話を通じて相互信頼感の醸成を図るとともに、企業の本質を把握することに取り組んでいます。これはESG 評価を踏まえた中長期の業績予想の確信度を高めることにもつながります。
このような対話活動を踏まえて、対話による企業価値向上の可能性があり、かつ企業の経営陣等との対話を行うことが可能な企業を「重点対話企業」として設定しています。
もちろん、企業には多様な課題があり、利害関係の異なるステークホルダーや、企業価値向上に対する時間軸の視点が異なる投資家からの意見もあり、優先順位付けに悩みを抱えていることも多い印象です。
対話活動においても同様で、長期的な企業価値に影響を与える要素を踏まえ、優先順位を持って絞り込みを行った上で継続的に議論する必要があります。
そのため、当社における対話アジェンダの達成基準は、ROE目標や営業利益率目標といった成果基準ではなく、企業が取るべき具体的な経営行動に関する基準を設定した上で、企業価値向上を目指しています。このような枠組みで進捗管理を行うことで、改善行動を支える黒子的存在として企業との関わりを継続したいと考えています。
(出所)『サステナビリティレポート2026』 P60
サステナビリティ課題とサステナブル投資
地球環境や社会経済システムのサステナビリティを巡る諸課題(サステナビリティ課題)は、企業活動に大きく関わっています。とりわけ、気候変動問題や自然毀損の問題といった地球規模の諸課題は、企業活動の基盤を大きく揺るがしかねない深刻な問題であることが、科学的研究の蓄積によって明らかにされています。
当社は、幅広い企業に投資する資産運用会社として、こうした問題を看過することはできないと考えています。もちろん、企業の中には、気候変動問題や自然毀損の問題を新たなビジネスチャンスと捉える企業も出てきていますが、全体としてみると、こうした問題の深刻化は企業活動に悪影響を及ぼすことが懸念されています。
当社は資産運用会社として、サステナビリティ課題による企業ごとの影響を見極める必要があると考えており、個別企業のESG分析を通じて、サステナビリティ課題にかかるリスク・機会や、財務影響を考察しています。
さらに、当該企業の企業価値の維持や向上にとって重要と判断する場合には、投資先企業との間で、サステナビリティ課題への対応を促す対話も行っています。さらに、投資先企業を取り巻く外部環境の改善に資すると判断する場合には、加入する外部イニシアチブ等を通じて政策担当者との対話などを行うこともあります。
インパクト投資への取り組みにおいても同様で、サステナビリティ課題の解決に向けた貢献に取り組む企業を後押しすることを通じて、企業価値の向上、ひいては高い運用リターンの獲得を目指しています。
当社のサステナブル投資におけるサステナビリティ課題への取り組みは、資産運用会社として、お客様の資産価値の維持・向上に資するか否かという観点から慎重に検討を行った上で実施しています。
(出所)『サステナビリティレポート2026』 P33
インパクト投資への取り組み
当社は、比較的早期の段階からインパクト投資の可能性に着目し、長年にわたり培ってきたサステナブル投資の知見も活用しながら、日本におけるインパクト投資市場の形成と健全な発展への貢献を目指して、様々な取り組みを行ってきました。
具体的には、2019年度に金融庁からの委託に基づき、上場株式にフォーカスしたインパクト投資に関する調査を手掛けて以来、①調査・啓発活動、②政策・業界貢献活動、③投資活動、の3本柱で取り組んできました。2025年度には、GPIFからの委託を受け、「インパクト投資に関する調査研究」を実施し、報告書を執筆しています。
(出所)『サステナビリティレポート2026』 P34
当社が注力しているインパクト投資の一つが、クライメート・トランジションへの貢献を目指すインパクト投資です。2022年6月に国内株式を投資対象とする「国内株式クライメート・トランジション戦略ファンド」を、そして、2024年3月に外国株式を投資対象とする「ニッセイ外国株式クライメート・アンド・ネイチャー・トランジション戦略ファンド」を、それぞれ立ち上げ、運用しています。
これら2つのファンドに共通するのが、気候変動やその原因でもある自然資本の毀損などの観点で課題を抱えているものの、経営陣が課題認識を有するなど、今後の変化が期待できる企業群に投資し、対話を通じて、投資家の立場からその変化の後押しに取り組んでいる点です。
国内株式を投資対象とする前者のファンドは、基本的に当社単独で投資先企業との対話を進めていますが、外国株式を投資対象とする後者のファンドについては、北欧最大級の運用機関であり、サステナブル投資に深い知見を有するノルディア・アセット・マネジメント社と協働で対話に取り組んでいる点も特徴の一つです。
- 当社のサステナブル投資への取り組みや議決権行使などのスチュワードシップ活動について、より詳しくお知りになりたい方は、当社サステナビリティレポートも是非ご参照ください(下記リンクよりアクセスしていただけます)。
サステナビリティレポート
上場会社のESG 情報開示の現状をどうみているか、開示してほしい情報
投資先企業の持続的成長に向けた状況把握には、財務諸表の情報に加え、「サステナビリティ関連財務情報とその他の情報(以下、サステナビリティ関連財務情報等)」の活用が不可欠と考えています。当社では、財務状況の分析とあわせてサステナビリティ関連財務情報等を積極的に収集し、業界の構造変化などの外部環境等を勘案した上で、中長期の業績予想を行っています。
この考え方は、「IFRSサステナビリティ開示基準」の思想に沿ったものと思料しますが、同基準の強制適用とならない企業におかれましても、本基準に沿った自主的な開示を期待しております。
なお、基準への準拠自体が目的となってしまう「開示のための開示」に陥らないよう、取締役会も巻き込みながら、開示プロセスを通じて識別したサステナビリティの機会とリスクを実際の企業価値向上へつなげていただくことを期待しています。このような意識のもとに取り組んでいただくことで、より有用な情報開示に結びつくものと考えております。
上場会社へのメッセージ
当社では、ESG分析等において認識した中長期の持続可能性に向けての課題を企業と共有し、建設的対話をすることでともに乗り越えていければと願っています。そして実りある対話は、企業の市場評価および企業価値の向上につながり、結果的に受益者と投資先企業の共創が果たされるものと確信しています。このように企業と中長期視点での課題について議論させていただく上で、マネジメント層との対話が重要と考えております。そのため、アナリストとの対話の場にマネジメント層が積極的にご参加いただくことを期待しています。
ご留意いただきたい事項
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- 市場見通し等は、お客様の運用方針や投資判断等の参考となる情報の提供を目的としたものです。実際の投資等に係る最終的な決定は、お客様ご自身のご判断で行っていただきますようお願い申し上げます。
ニッセイアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第369号
加入協会:一般社団法人資産運用業協会
審査確認番号:2026-法企208