機関投資家のESG投資

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

三井住友DSアセットマネジメントとは

当社は、2019年4月に機関投資家2社の合併により誕生した会社で、旧社が長年培った運用ノウハウや経験豊富な人材等を受け継ぎ、責任ある機関投資家の一角に位置しています。運用資産は投資顧問 6.6 兆円、投資信託 8.0兆円(いずれも2020年3月末現在)、国内外に 300名超の運用プロフェッショナルを擁し、資産運用のプロ集団として市場環境の変化に対応し、新しい運用技術を取り入れ、サステナビリティの考慮等を踏まえ、中長期的かつ安定的に良質な投資リターンのご提供に努めます。
当社は“Quality of Life (QOL) に貢献する最高の資産運用会社へ。”というビジョンの実現に向け、顧客本位の業務運営を行い機関投資家としての高い倫理観とプロフェッショナリズムをもって運用責任を全うするとともに、当社の投資行動がサステナブルな社会づくりに繋がっていることを自覚し、スチュワードシップ活動やESG投資に取り組みます。

ESG投資の方針・体制

当社は投資に際し、財務情報のみならず環境・社会・ガバナンス(ESG)を含む非財務情報が、グローバルな環境変化を背景に、持続可能な開発目標(SDGs)等を踏まえた、投資先企業等の安定性・持続性や、中長期的な価値向上もしくは毀損回避を洞察する上で重要な要素と考え、以下の対応を積極的に行います。

  1. ESGを含む非財務情報の分析・評価を行い、プロダクト毎の特性に応じて運用プロセスに組み込み投資判断に際して考慮することで、幅広い投資資産におけるESG投資のフロントランナーを目指します。
  2. 議決権行使において、投資先企業等とのESG関連事項の対話内容を考慮します。
  3. 投資先企業等との対話で当社の視点を伝え、中長期的な投資先企業等の価値向上もしくは毀損回避のために解決すべき ESG課題を論点として共有した上で、より適切な行動を促すなど、投資先企業等の価値への貢献を目指します。
  4. 投資先企業等のESG関連事項の考え方や行動について情報開示強化を促し、資本市場における評価向上への貢献を目指します。
ESG投資の基本方針と取り組みicon-block

スチュワードシップ方針・体制

当社は責任投資(スチュワードシップ活動および ESG活動)への取組みを通じて、お客さま・最終受益者の皆さまに良質な投資リターンをご提供するという受託者責任、ならびにインベストメント・チェーンの好循環に資することで日本の資本市場の健全な発展と経済拡大に貢献し、責任ある機関投資家としての社会的使命を果たします。
当社は「『責任ある機関投資家』の諸原則《日本版スチュワードシップ・コード»」へ賛同し、その受入れを表明しています。 また、投資先企業等のサステナビリティをはじめとする中長期視点に立った評価/分析に基づき、投資哲学に応じた運用プロセスへの当該評価/分析の組み込みや、投資先企業等に対する適切なエンゲージメント等のスチュワードシップ活動を行います。このためにアナリストおよびファンドマネージャー等を中心とした体制の整備・強化やノウハウ蓄積に努め、お客さま・最終受益者の皆さまの中長期的な投資リターン拡大を実現する能力の向上に継続的に取組みます。

日本版スチュワードシップ・コードの受入れについてicon-block
 

議決権行使の方針

当社は、スチュワードシップ責任を果たす上で、お客さま・最終受益者の皆さまの利益のため、投資先企業等の価値向上もしくは毀損回避を目的に議決権を行使します。
議決権は、その具体的な行使方法によって、企業経営等にインパクトを与え、投資先企業等の価値を変動させ得る重要な権利です。経営者等が株主(もしくは投資主)利益を損なうことを防ぐよう、および経営者等が企業内等における 資源の有効活用を図り、最大の価値を生み出す動機付けとなるよう議決権行使に努めます。
特に、経営を監督・監視する機能を適切に備えた取締役会等役員会の存在が重要であると認識し、取締役会等役員会の構成、報酬・インセンティブ、経営トップの育成/選抜/交代プランの策定や、ESGリスクの適切なコントロール、不祥事等を防止する内部統制等に関する対話を行い、その結果を議決権行使に適切に反映します。
また、議案分類毎の集計結果とともに、行使した全議案の賛否等を当社ホームページにおいて公表します。判断理由を含めた行使結果については、3、6、9、12月末を基準日として3ヵ月毎に取り纏め、それぞれの月末から2ヵ月前後を目処に公表します。

議決権行使に関する基本方針icon-block
 

どのような ESG 情報をどのように投資判断に活用しているか

  1. 投資判断に利用している ESG 情報の種類、入手方法など
    当社は、財務要素のみならず ESGを含む非財務要素を考慮したサステナビリティを評価することが、投資リスク軽減と中長期的な投資先企業等の価値向上もしくは毀損回避を目指す上で重要であり、最終的な投資リターン獲得につながると考えます。当社のESG評価は、外部ESG評価機関の第三者情報と投資先企業等から公表される公開情報に基づく評価、および独自の収集情報・分析や対話等を通じて得た定性情報をベースにアナリストが行う評価の2軸で構成されます。
  2. 投資判断のどの段階で、ESG情報をどのように利用しているかなど
    当社は、ESG評価を「安定性・持続性の優位を背景とした資本コスト水準の低さ」、および「中長期的な投資先 企業等の価値向上」の発見に結び付く、重要な評価と考えます。
    1. 公開情報に基づく評価は、投資先企業等が既に公表し資本市場で幅広く共有された情報に基づくため、安定性・持続性の評価に関連付けられ、その優位性は外部環境変化への耐性や変化対応力の高さ、ひいては 資本コスト水準の低さを示唆する要素になると考えます。
    2. アナリストによる評価は、公開情報に加え、アナリストが対話等で得た情報に基づく将来変化の可能性の項目も含むことで、アナリスト独自の付加価値の高い知見が織り込まれ、投資先企業等の価値向上の示唆に結び 付く要素となると考えます。
  3. 可能であれば実例を基にしたケースステディ
    (環境)地球温暖化、廃プラスチック等への対応策に関するエンゲージメント(不動産業)近年の激甚災害の発生頻度の上昇やESGに対する社会的ニーズの高まりを問題提起。会社側から、
    1. 経営陣・事業部と環境部門のESGリスクに関する議論を深化させること、
    2. 傘下には様々な事業会社があるので、気候変動の影響の大きい部門を特定(都市開発、リゾート開発)し、物理リスク・移行リスクに分けた分析を実施すること、
    3. 喫緊の課題として、非常時電源システムを上層階に移すなどの物理リスク対応を優先して実行するとのこと等の回答を得ました。

企業とのエンゲージメントの方法、トピック、頻度など

当社では幅広い投資先企業等を対話の対象としますが、エンゲージメントにより価値向上もしくは毀損回避、あるいは行動変化が見込める、または不祥事等があった場合等は、特に継続的な対話に努めます。
テーマについては、中長期的な視点から、グローバルな経営環境、産業界全体、特定業種、あるいは個別に抱える課題 を踏まえた適切な戦略・ビジョンの策定・実行、および情報開示等において投資先企業等に行動を促すエンゲージメントを行い、価値向上もしくは毀損回避への貢献に努めます。
また、議決権行使に関する課題や、気候変動リスクへの意識の高まり、持続可能な開発目標(SDGs)の浸透等のサ ステナビリティに影響を与えるESG課題等もエンゲージメントの対象とします。

上場会社の ESG 情報開示の現状をどうみているか、開示してほしい情報

ESG投資に対する理解は深まりましたが、長期ビジョンなど中長期的な視点による戦略・ビジョンの策定・実行、および情報開示に一段の改善の余地があると考えます。

上場会社へのメッセージ

当社は投資先企業等との対話で当社の視点を伝え、中長期的な投資先企業等の価値向上もしくは毀損回避のために解決すべきESG課題を論点として共有した上で、より適切な行動を促すなど、投資先企業等価値への貢献を目指します。