機関投資家のESG投資

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)

GPIFとは

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、厚生年金保険と国民年金の給付の財源となる年金積立金をお預かりして管理・運用を行い、その収益を国に納めることにより、年金事業の運営の安定に貢献します。

日本の年金制度は現役世代が納める保険料で、その時々の高齢者世代に年金を給付する「賦課方式」を採用しています。もっとも、日本では少子高齢化が急速に進んでいるため、将来世代の負担が大きくなりすぎないよう、年金保険料のうち支払いに充てられなかったものを年金積立金として積み立てて、将来にわたって安定的に年金給付ができるよう財政運営がなされています。

GPIFはこの積立金を国内外の資本市場で運用して増やしています。年金積立金の運用収益や元本は概ね100年の年金の財政計画のなかで、将来世代の年金給付を補うために使われます。年金財源全体のうち、積立金から賄われるのは1割程度です。年金給付に必要な積立金は十分に保有しており、ある特定年度に評価益又は評価損が発生したとしても、それが翌年度の年金給付額に反映されることはありません。


公的年金財源の内訳(2019年財政検証)

公的年金財源の内訳(2019年財政検証)


GPIFの運用実績

GPIFの運用実績


運用資産別の構成割合

運用資産別の構成割合

スチュワードシップ責任に関する取組

「ユニバーサル・オーナー」かつ「超長期投資家」であるGPIFにとって、企業の長期的な成長を阻害する活動を防ぎ、市場全体が持続的に成長することが不可欠です。

GPIF自身は一部の資産を除き、運用受託機関を通じて日々の売買や株式における議決権行使を実施しているため、運用受託機関と投資先との間で、持続的な成長に資するESGも考慮に入れた「建設的な対話」(エンゲージメント)を促進することで、「長期的な企業価値向上」が「経済全体の成長」に繋がり、最終的に「長期的なリターン向上」というインベストメントチェーンにおけるWin-Win環境の構築を目指すことにより、スチュワードシップ責任を果たしていきます。

スチュワードシップ責任に関する取組

GPIFがスチュワードシップ活動、ESGに取り組むのは

ユニバーサル・オーナー、超長期投資家

負の外部性(環境・社会問題)を最小化し、市場全体、さらにはその背後にある社会が持続的かつ安定的(サステナブル)に成長することが不可欠です。

運用受託機関に対して「建設的な対話」を促し、最終的に「長期的なリターンの向上」というインベストメント・チェーンにおけるWin-Win環境の構築を目指すことにより、スチュワードシップ責任を果たしていきます。


GPIFの株式保有状況(2020年3月末時点)

GPIFの株式保有状況(2020年3月末時点)

グローバルなイニシアティブへの参加状況

GPIFは、2015年9月にPRIに署名したのを皮切りに、以下の国際的なイニシアティブに参加しています。

グローバルなイニシアティブへの参加状況

ESGに関する取組

GPIFが採用しているESG指数

「長期的な投資収益の拡大には、投資先及び市場全体の持続的成長が必要」との投資原則の考え方に沿って、GPIFは、その運用プロセス全体を通じ、ESGを考慮した投資を推進しています。このうち狭義のESG投資ともいえる、ESG指数に基づく運用資産額は約5.7兆円となっています。

GPIFが採用しているESG指数

ESG活動報告

ESG投資の「PDCA(計画→実行→評価→改善)サイクル」を適切に回すためには、ESG評価の向上や企業のESG対応の強化につながっているのか、ESG評価の向上や企業のESG対応の強化が金融市場の持続可能性向上やリスク調整後のリターンの向上につながっているのかを正しく評価する必要があります。

ESG投資が期待通り、ESG評価の向上や企業のESG対応の強化につながっているのかを中心に分析し、ESG活動報告で、毎年開示を行っています。

2019年からはTCFDに沿った開示も行い、2020年には、別冊として「GPIFポートフォリオの気候変動リスク・機会分析」も公表しました。

ESG活動報告
 

運用受託機関と企業の対話の促進に向けた取組例

GPIFの運用受託機関が考える重大なESG課題の公表

以下は、各運用手法において、5割超の運用受託機関(※)が「重大なESG課題」として挙げた課題です。GPIFのスチュワードシップ活動原則では、運用受託機関に対して、重大なESG課題について積極的な対話を求めています。なお、国内株式については、アクティブとパッシブ両方を受託している運用機関の場合、GPIFの委託額の多いマンデートでカウントしています。

  • 以下表の%は各運用手法の運用受託機関数を分母に当該課題を選んだ機関数の比率。
GPIFの運用受託機関が考える重大なESG課題の公表
GPIF 2019/20年 スチュワードシップ活動報告icon-block

企業向けアンケートの実施

2016年1月に、GPIFの運用受託機関のスチュワードシップ活動に関する評価と「目的を持った対話」(エンゲージメント)の実態把握を目的として、JPX日経400インデックス採用企業向けに初めてアンケートを実施し、第3回アンケート(2019年実施)から、より多くの企業の生の声を集めるため、対象を東証一部上場企業に拡大しました。毎年1月に実施しておりますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

<第5回アンケート概要>
対象:
東証1部上場企業 2,160社(2019年12月30日現在)
アンケート回答社数 662社(前年604社)
回答率 30.6%  
回答期間 2020年1月10日~3月13日

第5回アンケート概要

(以下アンケート結果より抜粋)

アンケート結果icon-block
  • 質問6:統合報告書の機関投資家による活用は進んでいますか?(作成企業のみ)
質問6:統合報告書の機関投資家による活用は進んでいますか?(作成企業のみ)
  • 質問11:貴社のESG活動における主要テーマを最大5つお教えください。
質問11:貴社のESG活動における主要テーマを最大5つお教えください。

上場会社へのメッセージ

GPIFは、法律で株式のインハウス運用が許されていないため、運用受託機関を通じて、投資や議決権行使を実施しています。そのため、運用受託機関と投資先との間での対話を促進しています。対話を効率的に進めるにあたって、情報開示は双方にとって重要なものと考えています。特にESG情報の開示は非財務の重要性が高まるにつれ、今後、その重要性がより増していくと思われます。

運用受託機関に対しては、重大なESG課題や優れた統合報告や改善度の高い統合報告をアンケートで確認し、公表しております。また、東証一部上場企業の皆様を対象として、「機関投資家のスチュワードシップ活動に関するアンケート」(企業向けアンケート)を実施し、運用受託機関のスチュワードシップ活動に関する評価とエンゲージメントの実態等をお聞きしています。こうした双方向の活動を通じて、ESGも考慮に入れた建設的な対話(エンゲージメント)が進むよう、アセットオーナーとして努めてまいります。

企業向けアンケートは毎年1月頃に実施しており、GPIFにとって、企業の皆様の生の声を伺える貴重な機会となっておりますので、ぜひご回答をお願いできればと存じます。