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2024/03/29 東証 改善報告書及び上場契約違約金の徴求:(株)グッドスピード

 

以下のとおり、改善報告書及び上場契約違約金の徴求を行うことにしましたので、お知らせします。

※本件は、日本取引所自主規制法人の審査結果に基づき決定したものです。

1.会社名 株式会社グッドスピード 株式
(コード:7676、市場区分:グロース市場)
2.改善報告書提出期限
2024年4月26日(金)
  理由
 (関連条項)
開示された情報の内容に虚偽があり、上場規則に違反し、改善の必要性が高いと認められるため
(有価証券上場規程第504条第1項第1号)
3.上場契約違約金金額
960万円
  理由
 (関連条項)
新規上場申請に係る宣誓書において宣誓した事項に違反し、当取引所の市場に対する株主及び投資者の信頼を毀損したと認められるため
(有価証券上場規程第509条第1項第3号)
4.理由の詳細 株式会社グッドスピード(以下「同社」という。)は、2024年1月4日、同社における不適切な会計処理に関する第三者委員会の調査報告書を開示し、同年3月29日に、2021年9月期から2023年9月期第3四半期までの決算短信等の訂正開示を行いました。
これにより、同社及び同社子会社では、営業利益目標の達成等を目的として、同社全体を実質的に統括する立場にあった専務取締役の指示により、多数の役職員の関与・黙認のもと、収益認識の要件を満たさない売上の先行計上(以下「本件不適切会計処理」という。)が全社的に行われていたことが明らかになりました。
その結果、同社は、2021年9月期から2023年9月期第3四半期までの決算短信等において、上場規則に違反して虚偽と認められる開示を行い、それに伴う決算内容の訂正により、2021年9月期の営業利益が3割超減少することなどが判明しました。
また、本件不適切会計処理は、遅くとも同社株式の当取引所マザーズ市場への新規上場(2019年4月25日)以前の2018年9月期から継続的に行われていたところ、本件不適切会計処理を指示していた専務取締役は、日本取引所自主規制法人が行う上場審査におけるヒアリングに参加するなど上場審査対応者の一員であり、同社は当取引所に提出する書類がすべて真実である旨の宣誓書を提出していたにもかかわらず、不実記載に当たる内容を含む新規上場申請書類を提出していたことや、全社的な不正が行われ、業務フローの運用に問題があることを認識しながらそれを隠蔽していたことも明らかになりました。
さらに、2024年3月22日付で監査等委員会による調査結果が開示され、代表取締役社長が取締役管理本部長に指示し、上場後に取締役会への上程なく複数回に亘る利益相反取引を行っていたことが明らかになりました。

こうした背景として、本件では主に以下の点が認められました。
・ 同社は、上場審査時において、同一の役員が営業部門と管理部門を管掌しない組織図を当取引所に対して提出していたにもかかわらず、実際には上場以前より、専務取締役が営業部門と管理部門を管掌し、会社の事業全体を実質的に統括する立場にあったなど、代表取締役社長自身が経営を統括する機能を発揮せずに、特定の役員に権限が集中するガバナンス体制の不備を上場前から認識し、上場後においてもその不備を改善することなく継続してきたこと
・ 本件不適切会計処理は、複数の業務執行取締役や、事業の全拠点、多数の従業員が関与して行われた組織的・全社的な不正が継続されたものであり、専務取締役が営業部門・管理部門を管掌し、他の業務執行取締役の実質的な人事評価の決定権も有するなど、過度に権限が集中する体制となっていたため、業務執行取締役相互の監視・けん制機能が発揮されていなかったこと
・ 同社は、上場審査時に適正な利益相反取引に関する手続きを行うことを表明していたにもかかわらず、上場後、取締役会の決議を行わず適正な手続きを欠く不適切な利益相反取引を代表取締役社長が反復継続しており、著しくコンプライアンス意識が欠如していたこと
・ 同社の予算は、専務取締役によりトップダウンで策定され、達成に相当な困難が伴う水準に設定されていたが、上司からのプレッシャーや予算達成の有無が人事評価に繋がるとの意識により、営業部門は予算達成に強く執着せざるを得ない状況に置かれていたこと
・ 現任の監査等委員は、前任の常勤監査等委員が車両納品確認書の偽造について指摘していることは把握していたものの、継続調査を行わなかったこと。また、前任の常勤監査等委員は、本件不適切会計処理が行われていることを認識し得たものの、内部監査室や監査法人への情報共有を行わなかったこと
・ 多くの従業員が本件不適切会計処理に関与している状況にあるにもかかわらず、不正行為に加担している意識が希薄であり、全社的なコンプライアンス意識が不足していたこと

以上のとおり、本件は、同社の経営陣において財務情報の適正性を確保する意識が不足しており、内部統制システムが無効化された結果、投資者の投資判断に相当な影響を与える虚偽と認められる開示が行われたものであり、同社の適時開示体制等について改善の必要性が高いと認められます。同社は、第三者調査委員会の調査結果及びその提言、また、2024年3月22日付の開示に記載されている関連当事者取引に関する社内調査の結果等を踏まえて、同日に再発防止策を開示しており、既に一定程度進捗がみられる状況にありますが、同社における今後の取組みの徹底を促す観点から、同社に対して、その経緯及び改善措置を記載した報告書の提出を求めることとします。
また、同社が、宣誓書において宣誓した事項に違反して、不実記載に当たる内容を含む新規上場申請書類を提出していたことを踏まえると、当取引所市場に対する株主及び投資者の信頼を毀損したと認められることから、同社に対して、上場契約違約金の支払いを求めることとします。
  • 同社の改善報告書等は、同社からの提出後、下記「改善報告書・改善状況報告書徴求会社一覧」ページに掲載します。
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