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2025/06/19 東証 宣誓書違反による再審査に係る猶予期間入り及び上場契約違約金の徴求:ダイワ通信(株)
以下のとおり、宣誓書違反による再審査に係る猶予期間に入ることとなり、また、上場契約違約金の徴求を行うことにしましたので、お知らせします。
※本件は、日本取引所自主規制法人の審査結果に基づき決定したものです。
1.銘柄 | ダイワ通信株式会社 株式 (コード:7116、市場区分:スタンダード市場) |
2.再審査に係る猶予期間 | 2025年6月19日(木)から2026年6月19日(金)まで |
理由 (関連条項) |
新規上場申請に係る宣誓書において宣誓した事項に違反し、新規上場に係る基準に適合していなかったと当取引所が認めた場合に該当するため (有価証券上場規程第601条第1項第10号b) |
3.上場契約違約金金額 | 1,440万円 |
理由 (関連条項) |
新規上場申請に係る宣誓書において宣誓した事項に違反し、当取引所の市場に対する株主及び投資者の信頼を毀損したと認められるため (有価証券上場規程第509条第1項第3号) |
4.理由の詳細 | ダイワ通信株式会社(以下「同社」という。)は、2025年4月21日、同社のセキュリティ事業を担う連結子会社(以下「子会社」という。)における不適切な会計処理に関する第三者委員会の調査報告書を開示しました。 これにより、同社マネジメントによる予算達成プレッシャーを受け、子会社取締役主導のもと、子会社営業部門において収益認識の要件を満たさない売上の先行計上及び過大計上(以下「本件不正」という。)が行われていたこと、並びに、同社常務取締役(兼子会社代表取締役)及び同社取締役管理部長は、上場前から本件不正が継続的に行われている状況を認識していたにもかかわらず、解消に向けて十分な是正措置を講じていなかったことが明らかになりました。また、同社管理部員及び内部監査担当者も、本件不正を認識しながら子会社営業部門に対するけん制機能を発揮せず、期末棚卸実査時に在庫を他の倉庫に移動するなどの監査法人からの発見回避行為に関与していたことが判明しました。 さらに、日本取引所自主規制法人から同社に対する照会の結果、同社は2022年12月に当取引所スタンダード市場に上場しており、当取引所に提出する書類がすべて真実である旨の宣誓書を提出していたにもかかわらず、一部の経営陣は本件不正の存在を認識していながら、法令違反の発生状況等について本件不正を申告せずに上場審査に対応し、上場承認を得ていたことも明らかになり、本件不正の解消に向けた十分な是正措置が行われない限り、当取引所スタンダード市場への上場審査における実質基準(コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性の観点)を充足しない事案であったことが認められました。 これらの背景として、本件では主に以下の点が認められました。 ・同社が新規上場申請を行うにあたり、成長事業と位置付けられていたセキュリティ事業に対して、全社的に予算達成のプレッシャーが高まっていたことに加え、全社的な規範意識の欠如が、子会社営業部門による不正に繋がったこと。 ・子会社の取締役は、同社常務取締役(兼子会社代表取締役)を含めて2名のみであり、この2名は子会社の業務執行において上司・部下の関係であったため、相互の監視・けん制機能が発揮されず、また、同社の取締役会においても、予実数値等に内在する重要なリスク兆候の議論や検証が不十分であったため、取締役相互間のけん制・監視機能が十分に発揮されていなかったこと。 ・同社取締役管理部長は、本件不正が継続的に行われている状況を認識していたにもかかわらず、解消に向けて十分な是正措置を講じておらず、また同社管理部員は、本件不正の認識後、監査法人からの発見回避行為に関与しており、同社管理部の子会社営業部門に対するけん制機能が発揮されていなかったこと。 ・同社内部監査担当者は、本件不正の認識後も意図的に同社代表取締役社長に報告を行わず、監査法人からの発見回避行為に関与するなど、機能不全に陥っていたこと。 以上のとおり、新規上場申請時の宣誓書違反及び新規上場基準への不適合が認められること、加えて同社において上記背景の下で本件不正が発生しており、一部の経営陣はそれらを認識しながら上場審査に対応し、宣誓書違反に至った点を踏まえると、同社について当取引所スタンダード市場への新規上場基準に準じた基準に適合しているかどうかの審査の対象とすることとし、同社株式は再審査に係る猶予期間に入ります。 また、同社が、新規上場審査時に宣誓書に違反していながら上場承認を得ていたことは、当取引所市場に対する株主及び投資者の信頼を毀損したと認められることから、同社に対して、上場契約違約金の支払いを求めることとします。 |
- 同社が猶予期間内にスタンダード市場の新規上場基準に準じた基準に適合するかどうかの審査申請を行った場合、当該基準に適合したときは、同社株式の上場が継続されることとなります。当該基準に適合しないときは、上場廃止となります。
- 同社が猶予期間内にプライム市場又はグロース市場への市場区分の変更申請を行った場合、当該市場区分の変更の承認を受けたときは、(注1)にかかわらず、変更後の市場区分において、同社株式の上場が継続されることとなります(その場合は、(注1)の審査は不要になります。)。
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