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マーケットニュース

2025/06/20 東証OSE 立花証券株式会社に対する処分等について

 

立花証券株式会社(以下「同社」という。)に対して、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」という。)及び株式会社大阪取引所(以下「大阪取引所」という。)が、下記のとおり処分を行うとともに、業務改善報告書の提出を請求しましたので、お知らせいたします。
なお、本件は、日本取引所自主規制法人の審議結果に基づき決定したものです。

1.内容

東京証券取引所における処分

  • 戒告

大阪取引所における処分

  • 戒告

2.理由

同社は、幅広い投資家のための「株の専門店」を標榜し、営業員による国内株式の対面営業を中心に全11部支店において営業を行っている。
関東財務局による同社に対する検査において、2022年4月から2024年8月までの間(以下「検証期間」という。)の高齢顧客(75歳以上)に対する国内株式の勧誘状況等を検証したところ、以下の問題が認められた(以下、下記(1)及び(2)の行為を総称して「不適正な投資勧誘」という。)。

(1)国内株式取引の勧誘に関し、顧客に対し虚偽のことを告げる行為及び重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為

同社営業員は、31顧客に対し、保有銘柄の売却や他の銘柄への乗換取引による手数料獲得を目的として、売却銘柄の損益に関して虚偽のことを告げる行為(以下「虚偽告知」という。)及び重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為(以下「誤解表示」という。)を繰り返し行っていた(計58件:10部支店、24営業員)。

(2)国内株式取引に係る不適切な投資勧誘行為

同社は、2023年に行われた自主規制機関の検査において、国内株式取引の不適切な投資勧誘として、以下の①から③と同様の事例について指摘を受けていたにもかかわらず、十分な改善がなされておらず、引き続き、手数料獲得を優先してこれらの不適切な投資勧誘行為を34顧客に対し繰り返し行っていた。

① 顧客の投資判断において重要な事項である損失額について正確に説明しないまま、営業員からの一方的な説明に終始して売却注文を受託している事例(79件:8部支店、15営業員)
② 年間損益が見通せない時期(主に1月から10月)において、損益通算による節税メリットを強調した損切り乗換勧誘を行っている事例(31件:8部支店、14営業員)
③ 営業員が短時間で一方的に売買取引の勧誘を行い、顧客から受動的な承諾のみを得て繰り返し売買を受注している事例(11件:6部支店、10営業員)

(3)過当な取引により過度な手数料を負担させている状況

上記(1)及び(2)のとおり、高齢顧客に対する不適正な投資勧誘が認められるところ、これらの不適正な投資勧誘を受けた顧客に係る年次売買回転率及び約定件数の平均値は非常に高い状況となっている。また、これらの不適正な投資勧誘を受けた顧客に係る手数料割合の平均値も非常に高い状況となっており、検証期間における手数料累計額が2024年8月末時点の評価損益を加味した損益額を上回る顧客が多数存在している。このように、同社営業員が顧客利益よりも手数料獲得を優先して不適正な投資勧誘行為を繰り返していることにより、顧客の過当な取引に繋がり、その結果としてこれら顧客に過度な手数料を負担させている状況となっている。

(4)内部管理態勢及び経営管理態勢が不十分な状況

同社では、第1線である営業部門の部支店長及び内部管理責任者においては、取引モニタリングや電話録音記録の確認を行っておらず、営業員の不適正な投資勧誘行為を未然に抑止するためのけん制機能を全く発揮していない、第2線である内部管理部門においては、過去の類似事案や自主規制機関の検査での指摘事例を受けて営業部門への適切な指導を行っておらず、けん制が不十分であったほか、取引モニタリングに不備があり実効性がない、第3線である内部監査部門においては、人員不足等を理由に実効性のある社内監査を行っていない等の不備がそれぞれ認められているなど、実効性のある内部管理態勢が構築されていなかった。
また、同社の経営陣は、2023年の自主規制機関の検査における指摘事項についても、経営陣で議論することなく改善対応を内部管理部門に任せきりにし、加えて、自主規制機関の検査後においても、指摘事項と同様の勧誘行為について内部管理部門が営業員を注意している事案の報告を受けていながら、これらを重く受け止めることなく、適切な調査指示や改善策の策定を怠り、内部管理部門に任せきりにするなど、同社の経営管理態勢は不十分な状況であると認められる。

上記(1)~(4)の背景として、同社においては、
・営業員の業績評価基準や褒賞金等の算出方法のほとんどが手数料実績をベースとして評価・算出する仕組みとなっており、手数料実績に大きく偏重したインセンティブ制度となっていた。
・経営陣が、手数料実績に大きく偏重したインセンティブ制度を継続する一方で、第1線から第3線までによる管理など実効性ある法令等遵守態勢の整備を行わないまま、長年にわたって営業優先の企業風土を醸成してきた。
などの状況が認められた。

同社が行った上記(1)の行為のうち、虚偽告知については、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第38条第1号に掲げる「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為」に該当するほか、誤解表示については、金商法第38条第9号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第2号に掲げる「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為」に該当するものと認められる。
上記(1)~(4)の状況は、同社の内部管理態勢及び経営管理態勢が不十分な状況に起因して、営業員が顧客利益よりも手数料獲得を優先して不適正な投資勧誘を繰り返すことにより、高齢顧客に過当な取引を行わせており、こうした状況は自主規制機関の検査指摘以降も改善されていない。このような同社の業務運営の状況は、金商法第51条に規定する「業務の運営に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる。

お問合せ

株式会社東京証券取引所 株式部取引参加者室
電話:03-3666-0141(代表)


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