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パブリック・コメント

証券市場を取り巻く環境の変化を踏まえた上場制度の見直し等について(案)

新興市場の定着や会社法制における企業行動の自由度拡大等の上場会社を巡る環境の変化を受け,昨今,市場の信頼性を損なうような上場会社の動向が見受けられることへの対応策として,既存の上場ルールについてより実効性を高める措置を講ずるなど上場制度を見直すこととし,その制度要綱を次のとおり取りまとめました。

つきましては,本件に係るパブリック・コメントを募集しますので,御意見等がございましたら,以下の要領により,当社に御提出下さいますようよろしくお願いいたします。

データの取扱いについて

証券市場を取り巻く環境の変化を踏まえた上場制度の見直し等について(案)pdf

当社は,平成19年7月24日(火)から平成19年8月6日(月)までの間,「証券市場を取り巻く環境の変化を踏まえた上場制度の見直し等について(案)」に関するパブリック・コメントを募集しました。ご意見をご提出いただいた皆様には,本件につきましての検討にご協力いただきありがとうございました。

本件に関してお寄せいただいた主なご意見及びそれらに対する当社の考え方は以下のとおりです。なお,本件につきましては原案通りといたします。

1 望ましい企業行動実現のためのルール整備

(1)企業行動に関する規範の制定

a 構成

(a) 上場会社の機関に係る事項

ご意見

  • 機関(取締役会・監査役会・会計監査人)の設置を求めているが,それぞれの機関の員数のガイドラインはあるのか。

大証の回答

  • 当該規範の制定趣旨は,会社法上,大会社に義務付けられている機関の設置を当社市場の上場会社にも求めるものであり,会社法で定めのある最低限の員数は求めることにはなりますが,それ以上については各社の規模等に応じて各社が判断していただくことが望ましいと考えています。

ご意見

  • 規模が小さい企業にとって監査役会,会計監査人の設置は,経費的な負担が厳しいため,猶予期間をもっと長くして欲しい。

大証の回答

  • 当該規範の制定趣旨に鑑み,施行日から1年経過後に最初に到来する決算期に関する定時株主総会の招集日から起算して1か月目の日までに設置できるよう,コーポレート・ガバナンスの構築に努めていただくようお願いいたします。なお,当該規範の適用に当たっては,人材の問題など各社個別の事情は勘案することとします。

ご意見

  • 規模が小さい企業にとって大企業並みの内部統制システムを設けることは難しいことから,小規模な企業向けの内部統制システムの整備に関するガイドラインを制定するか,猶予期間をもっと長くして欲しい。

大証の回答

  • 当該規範の制定趣旨は,会社法上,大会社に義務付けられている内部統制システムの整備を当社市場の上場会社にも求めるものであり,大企業と同様の内部統制システムの整備を求めるものではありません。施行日から1年経過後に最初に到来する決算期に関する定時株主総会の招集日から起算して1か月目の日までに決定できるよう,各社の規模や人員体制等に応じた内部統制システムの整備に努めいただくようお願いいたします。

ご意見

  • 機関の設置の適用時期に関して,新規上場申請者における経過措置の取扱いはどのようになるのか。
  • 機関の設置に係る規範の適用日前に上場申請を行い,適用日後に上場する会社の場合,機関の設置は上場申請時点から必要なのか,上場時点から必要なのか。
  • 機関の設置に係る適用日後に上場申請する会社の場合,機関の設置は上場申請時点から必要なのか。また,上場審査上,実績も求められるのか。

大証の回答

  • 当該規範は上場会社に適用するものであり,当分の間は申請時点での要件とはしません。ただし,上場後は適用を受ける(勧告や公表措置の対象となる)ことを鑑みると,申請時点から設置している方が好ましく,少なくとも上場後に最初に到来する決算期に関する定時株主総会の招集日から起算して1か月目の日までに監査役会の設置等ができるよう準備しておくことが望ましいと考えています。
(b) 非公開化に係る事項

ご意見

  • 上場後短期間での非公開化を行なわないよう求めているが,上場後短期間とは具体的に何年程度を想定しているのか。
  • 非公開化を実施する場合には,株主の権利を損なわないよう求めているが,ここでいう株主の権利とは具体的に何を想定しているのか。

大証の回答

  • 当該規範の制定趣旨は,上場後短期間で上場廃止となるような事例が見受けられることを踏まえて,安易な上場・上場廃止は望ましくないという当社のスタンスを示させていただいたものであり,何年程度経過すれば非公開化しても問題ないというものではないと考えています。
    また,こうした非公開化は,当該上場会社の成長(将来性)に期待して投資していた株主の当社市場における換金機会を奪うことになると考えられることから,そうした株主に十分に配慮のうえ,非公開化の実施をするよう求めるものです。

b 公表等

ご意見

  • 企業行動規範の違反時の措置だけでなく,各社がより高い行動規範を目指すよう,高い行動規範を実践した企業の評価を定期的に行なってはどうか。

大証の回答

  • 当社市場の上場会社の皆様により高い企業行動を実践していただけるよう,当社としても努力してまいりたいと考えています。

c 上場審査(実質審査)の項目の明確化

ご意見

  • 審査の観点や水準は従前通りで,今回新たに追加される,あるいは重点的に審査されるといったものはないのか。

大証の回答

  • 今回の見直しは,従来,株券上場審査基準の各項目の取扱いに分散されていたコーポレート・ガバナンス等に関する審査の観点を集約するものであり,実質的な審査内容を変更するものではありません。

(2)ヘラクレスにおける反社会的勢力排除に向けた取組み

ご意見

  • 反社会的勢力から介入されるおそれがあるのはヘラクレスだけに限られるものではないと思われる。市場第一部・二部上場会社にも求めてはどうか。

大証の回答

  • 今回,ヘラクレス上場会社については,信頼向上を目的として「反社会的勢力排除に向けた取組み」をコーポレート・ガバナンス報告書に開示することを義務としましたが,当社は上場市場区分にかかわらず,企業行動規範で反社会的勢力排除に向けた社内体制整備に努めるよう求めており,基本的には市場第一部・二部上場会社もコーポレート・ガバナンス報告書に自主的に取組みについて開示いただくことが望ましいと考えています。

2 問題企業・行動への対応

(1)会社情報に係る照会事項の報告・開示制度の充実

ご意見

  • 調査委員会の構成メンバーとなる外部有識者はどのような人を想定し,適切な委員構成はどのような構成を想定しているのか。

大証の回答

  • 明らかに身内の弁護士や公認会計士などから構成されていると認められる場合には,見直しを求めることができるようにしていますが,基本的には上場会社自らが,第三者の客観的かつ厳正な調査による事実解明を行ううえで適切と考える,弁護士や公認会計士などの複数の外部有識者から構成されていることが望ましいと考えています。

(2)不適当な合併等の要件の追加等

ご意見

  • 「実質的な存続会社でない」かどうかの審査について,観点や水準は従前通りと考えて良いか。

大証の回答

  • 今回の見直しは従来の「実質的な存続会社でない」かどうかの審査の観点や水準を変更するものではなく,あくまで不適当な合併等に係る適合審査の適用を逃れることを目的として,企業再編後,しばらく期間を置いて役員を入れ替えるなどの行為に対しても,裏口上場に相当すると考えられる行為に対しては柔軟に対応していくという当社のスタンスを明らかにしたものです。

ご意見

  • 上場会社の主要株主の変更は,どの上場会社でも比較的容易に起こり得る事象であり,不適当な合併等の要件とするとかえって市場の混乱を招くことにつながる懸念はないか。裏口上場に相当する企業再編を防止しようとする目的からすると当該要件は必ずしも適当ではないのではないか。

大証の回答

  • 現行,不適当な合併等に該当するか否かは,経営成績及び財務状態,役員構成及び経営管理組織等も総合的に勘案して判断するとしていますが,主要株主の変更についても同様の取扱いとなります。すなわち,主要株主が変更したことだけをもって不適当な合併等に該当するものではないと考えており,ご指摘のような市場の混乱を招くことはないものと思われますが,該当性の判断に際しては混乱を招くことがないよう十分に留意していく所存です。

3 流通市場の見直し

(1)市場第一部・二部の流動性基準の見直し

a 少数特定者持株比率基準の見直し(浮動株式の定義)

ご意見

  • 浮動株式の定義で,現行制度上,少数特定者にカウントされない者(特に従業員持株会)の扱いはどうなるのか。

大証の回答

  • 少数特定者持株数の算定に際して少数特定者から除外していた明らかに固定的所有でないと認められる者は,浮動株式数の算定に際しても除きます。

ご意見

  • 浮動株式の定義で,信託銀行等が業務のために所有する株式であって,実質的に 10%以上を所有するものでないと認められる株式は上場株式数10%以上所有する株主から除くとしているが,新規上場申請者は,信託銀行等が業務のために所有するかどうかは知り得ない場合もあるが,その場合,浮動株式とは見なされないことになるのか。また,業務のために所有するものという証明は必要か。

大証の回答

  • 現行の少数特定者持株数の算定の場合と取扱いは同じです。上場株式数10%以上所有する株主から除く場合,信託銀行等が業務のために所有するものであるという証明は必要です。従って,信託銀行等から証明を得ることができない場合は,当該株主を除外することはできません。

ご意見

  • 浮動株式の定義と全く同様なものを東京証券取引所では流通株式と称する方向で検討しているか,市場関係者の誤解・混乱等を避けるために証券取引所間で名称を統一できないか。

大証の回答

  • 市場関係者の誤解・混乱等を避けるため,浮動株式の定義は証券取引所間で合わせていますので,呼称の若干の違いはご理解いただきたく存じます。

b 浮動株時価総額の導入

ご意見

  • 浮動株時価総額を算出する際に用いられる株価の算出はどのように行うのか。

大証の回答

  • 上場時価総額算出時に用いている株価と同じ株価を用いて算出します。新規上場審査基準においては,新規上場申請者の株券の公募又は売出しの見込み価格等を,上場廃止基準においては,上場会社の株券の日々の最終価格(特別気配値段を含む。)等を用いて算出することになります。

4 法制度等の状況変化に即した対応

(1)株主の権利の不当な制限に係る上場廃止基準の見直し(種類株式関係)

ご意見

  • 上場している普通株式よりも多い普通株式の発行は上場廃止基準に該当するのか。また,1単元の株式数を小さく設定した種類株式の発行により実質的な多議決権株式の発行を行う場合,その総議決権数が上場している株式の議決権数よりも少なければ,上場廃止基準に該当しないのか。あるいは総議決権数の多寡に関わらず,多議決権種類株を発行すると上場廃止基準に該当することになるのか。

大証の回答

  • 上場株式等より議決権の多い株式の発行が上場廃止基準に該当するか否かは,株主及び投資者の利益を侵害するおそれの大きさを勘案することとしていますので,発行される株式に係る議決権の数は,その大きさの判断を行う際の要素の一つになると考えています。
    当該上場廃止基準に該当するか否かは慎重な判断を要すると考えられますので,上場株式等よりも議決権の多い株式の発行を検討している場合は,その発行決議前に事前相談いただくのが望ましいと考えています。
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