パブリック・コメント

株価指数先物・オプション取引に係る取引時間の延長等について(案)

当社は,投資家の利便性向上の観点から,株価指数先物・オプション取引に係るイブニング・セッションの取引時間を午後11時30分まで延長するとともに,価格形成の円滑化の観点から,日経225先物取引及び日経225オプション取引の一部プレミアム水準における呼値の単位を縮小することとし,その制度要綱を次のとおり取りまとめました。

つきましては,本件に係るパブリック・コメントを募集しますので,ご意見等がございましたら,以下の要領により,当社にご提出下さいますようよろしくお願いいたします。

データの取扱いについて

株価指数先物・オプション取引に係る取引時間の延長等について(案)pdf

当社は,平成21年12月15日(火)から平成22年1月5日(火)まで,「株価指数先物・オプション取引に係る取引時間の延長等について(案)」に関してパブリック・コメントを募集していましたが,その結果,お寄せいただいたご意見を踏まえまして,以下のとおりとすることといたしましたので,お知らせします。

1.取引時間の延長

原案どおり実施することとする。ただし,実施時期については,春頃を目途から7月20日に変更するものとする。

2.呼値の単位の縮小

当分の間,実施を見合わせることとし,現在開発中の新デリバティブ売買システムの稼働以降,必要に応じて再度検討することとする。

本件に関して寄せられた主なご意見及びそれに対する当社の考え方につきましては,以下のとおりです。

ご意見をご提出いただいた皆様におかれましては,本件の検討にご協力いただきありがとうございました。

1.取引時間の延長の是非

ご意見

  • 是非とも実現してほしい。【個人】
  • 取引時間延長には反対する。【個人】
  • 取引時間延長に反対する。既にChicago Mercantile Exchange(以下「CME」といいます。)において日本時間早朝まで取引可能である。機関投資家の夜間・早朝取引ニーズは見込めず,海外投資家は CMEを中心に取引することが見込まれ,複数のネット証券がCME日経225先物を扱っていることから,大証への発注はあまり期待できないため投資コストを回収できない。まずはCMEとの提携を深め,建玉の相互決済を実現することを優先すべきである。【証券会社】
  • 取引所側のサポート体制が心配。また市場ニーズがあるか不透明なため,費用対効果面での懸念がある。これらを踏まえ,取引時間延長実施を再考すべき。【証券会社】

大証の回答

  • 一般投資家や一般投資家のオンライン取引を仲介する証券会社(CME日経225先物を取り扱っている先を含む。)の要望等から,取引時間の延長は個人を中心に投資家ニーズが非常に大きいことを確認していることに加え,いずれの時間帯であっても母国株式市場の指標である株価指数先物取引は母国市場で取引・監理されることが我が国証券市場の信頼性確保の観点から望ましいとの考えにより,原案どおり実施することとします。
  • また,取引時間を延長しても,当社側のサポート水準が実質的に低下しないように体制を構築いたします。

2.具体的な取引時間

ご意見

  • 1日も早く24時間取引を実現することを望む。【個人】
  • 米国冬時間におけるニューヨーク証券取引所の取引開始時刻が日本時間で午後11時30分なので,中途半端。午前0時まで延長してほしい(その他,午前1時,ニューヨーク証券取引所取引終了時まで,中断時間を設定してほしいという意見もいただきました。)。【個人】
  • 延長の際には中断時間(例えば20時から21時)を設けてほしい。休憩時間なしは辛い。【個人】

大証の回答

  • さらに長い取引時間の延長を望まれるご意見を頂戴しましたが,当社の現在のシステムではシステム処理上の制約により午後11時30分までの取引時間延長が限界ですので,恐れ入りますが,今回は午後11時30分までの延長とさせて頂きたいと思います。
  • こうした制約が緩和されるデリバティブ向け次期売買システムの稼働以降に,さらなる取引時間延長を検討することといたします。
  • 現在のところ,中断を望むご意見が少ないことや大きな経済事象が発生した際にヘッジ取引等を直ちに行うことができるよう,可能な限り常に市場を開いておくことが重要と考えられることから,中断時間は設けないこととします。

3.その他取引時間について

ご意見

  • 大証もSGXと同じく午前8時45分から取引を開始してほしい。【個人】
  • 日本が祝日でも取引できるようにしてほしい。【個人】
  • 昼休みをなくしてほしい。【個人】
  • 東京工業品取引所の取引時間は午前9時から午後3時30分,午後5時から午後11時なので,合わせてほしい。【個人】

大証の回答

  • その他取引時間延長につきましては,多種多様な市場参加者の皆様のニーズがございますが,市場の流動性・利便性の向上を図ることができるものであれば,今回頂戴したご意見も参考にしながら,積極的に検討してまいります。

4.呼値の単位の縮小について

ご意見

  • 日経平均株価を対象とする先物は大証以外にSGX,CMEでも取引されており日経225mini(以下「ミニ」といいます。)と同じ呼値の単位となるため宜しいことである。【個人】
  • ラージ(日経225先物に係るlarge取引をいいます。以下同じ。)の手数料が往復2,100円程度であるため,呼値の単位を2.5円にすれば1ティックで手数料がカバーできることになるので,2.5円に縮小してほしい。【個人】
  • 先物の大口プレーヤーである顧客がネガティブな反応を示している。【証券会社】
  • ラージとミニの呼値の単位を同じにしてしまうと,ミニの流動性が低くなると考えられる。また,SGXやCMEとの裁定取引による収益の減少につながるため,結果的に日経225先物(ラージ,ミニ)の流動性も低くなることが予想される。【個人,証券会社,海外投資家】
  • 呼値の単位を縮小すると,大証の流動性は大きく減少するおそれがある。特に大証は次期システムの準備中であり,これに対応するためのコスト負担が発生する一方,裁定取引の利益が縮小することで,裁定取引プレーヤーが日経225先物市場から撤退するおそれが強い。【証券会社,海外投資家】
  • オプション・トレーダーや現物との裁定トレーダー,少数のスーパークォンツ系などは賛成するかもしれないが,裁定取引プレーヤーの取引が減ることで,却ってコスト増になるおそれがある。また,彼らの取引増で裁定取引の減少分は補えないのではないか。【海外投資家】
  • ラージの流動性減少を相殺するために,裁定取引プレーヤー等にインセンティブを与えつつ,同時にミニの呼値の単位を1円に縮小すべきではないか。また,夜間取引の実現と夜間の注文を日中に継続できるGTC注文の採用も対策として検討してみてはどうか。【証券会社】

大証の回答

  • まず,本件を検討するに至った契機としましては,パブリック・コメント募集の説明でも申し上げましたとおり,呼値の単位の縮小により価格形成の円滑化を図ることができるということが挙げられます。また,ミニでは規模が小さくて執行しがたかったオプション取引に係るデルタヘッジ取引やオプション・現物との裁定取引が他市場よりラージで執行されやすくなるものと期待できます。こうした立場を支持する見地から,賛成意見が寄せられたものと考えます。
  • 一方,反対意見としましては,ラージ・ミニ・SGX日経225先物間の価格差がなくなることで裁定取引が(呼値の単位の縮小のプラス要因では補うことができないほど)大きく減少し,引いては流動性の大幅減少につながるといった主旨のご意見が多数寄せられました。
  • このように,皆様からは相対立するご意見を頂戴いたしましたが,当社としましては,以下の点を考慮し,本件については,本年6月の実施は見送ることとし,デリバティブ向け次期売買システムの稼働後に必要に応じて再度検討するものとします。
    • 取引規模の大きい先から強い反対意見が多く寄せられたこと。
    • 来年第一四半期の導入を目指している当社の次期デリバティブ売買システムへのご対応により多くの市場参加者に多大なご負担をおかけすることとなる中で,更なる負担をおかけすることは慎重であるべきこと。
  • 賛成のご意見を寄せられた皆様におきましても,こうした結論に至りましたことにご理解を賜りますよう,お願い申し上げます。
  • ただし,呼値の単位の縮小は国際的な流れであって,ヘッジ取引等の取引コスト減少に基本的にはつながるものであるため,今後の市場動向次第では,呼値の単位の縮小を実施する必要性が出てくることも考えられます。その際には,呼値の単位について,改めて市場参加者の皆様のご意見を頂戴した上で,かつ十分な周知期間を設けたうえで実施することとしたいと思います。