パブリック・コメント

日経平均株価を対象とした先物・オプション取引の銘柄拡充について(案)

市場参加者の利便性向上を図る観点から,日経平均株価を対象とした先物・オプション取引について,限月取引及び権利行使価格を拡充することとし,今般,制度要綱を取りまとめました。

つきましては,本件に係るパブリック・コメントを募集しますので,ご意見等がございましたら,以下の要領により,当社にご提出下さいますようよろしくお願いいたします。


当社は,平成25年1月31日(木)から3月1日(金)までの間,「日経平均株価を対象とした先物・オプション取引の銘柄拡充について(案)」に関するパブリック・コメントを募集しました。ご意見をご提出いただいた皆様には,本件につきましての検討にご協力いただきありがとうございました。 本件に関して寄せられた主なご意見及びそれに対する当社の考え方につきましては,以下をご覧ください。なお,本件につきましては原案どおりといたします。

1 権利行使価格設定方法の変更についての賛成意見及びその他要望等

ご意見

  • 権利行使価格の縮小について非常に賛成。直近3限月の250円刻みから125円刻みへの縮小及びその他の限月の500円刻みから250円刻みへの縮小により,より精緻な取引が可能となる。権利行使価格の縮小により,グリークスの値が異なってくるため,取引可能な新たな組合せを生む。一般的に,これには多くの利点がある。投資家はより正確にヘッジすることが可能になり,個々の市場参加者のリスクを減少させることになる。同様に,投資家は自身の市場に対する見通しに対して求めている価格特性に非常に近い銘柄を見つけ,より精緻にエクスポージャーを取ることができる。一般的に,異なる価格特性を持つより多くの銘柄ができるので,市場参加者によって注文する価格水準が交錯することになり,より多くの取引が成立し,さらに活発で流動性のある市場につながる。さらにこれを根拠に,私たちは,大証がさらに権利行使価格の縮小を考えることを勧める(例えば,満期の1週間前に50円刻みの権利行使価格を設定)。ヨーロッパの多くの取引所はこのようなアプローチを実施しているし,それが投資家需要とのギャップを埋めることが証明されている。同様に,より多くの限月を導入することにも賛成する。権利行使価格の刻みの縮小と同じ論理が成り立つ。つまり,投資家はより精緻にエクスポージャーを取る又はヘッジすることが可能になるので,よりきめ細かなヘッジや注文価格のクロスが発生し,より活発で流動性のある市場として,取引量の増加につながる。
    【法人】
  • 新しい権利行使価格を追加することはよい施策で,投資業界全体の利益となると思う。
    【法人】
  • 以下のとおり意見する。
    • (1) かねてより,オプションの権利価格について,少なくとも期近のいくつかの限月においては125円刻みとすべきだと考えていたため,本案について概ね賛同する。250円刻みの現状では,オプションの売り買いを細かく組み合わせる戦略を立てづらい。
    • (2) ただし,現状,とりわけ夜間取引の時間帯において,オプション取引の流動性が低いため,オプション手数料率の低減や業者への流動性提供にかかるインセンティブの供与など,オプション取引の流動性向上に資する抜本的な施策を期待する。かかる施策がない場合,権利価格の刻みを細かくすることに伴う流動性の低下が懸念される。
    • (3) さらに,オプションと先物の裁定取引を活発化させオプション取引の流動性を向上させるためにも,かねてから検討課題である先物の呼値の縮小が必要不可欠である。最近,先物ラージの流動性(単に売買枚数ではなく,約定件数)の低下が目に付く。しかるに,約定件数の点では流動性の優る先物ミニでは大口の売買枚数を消化できない。そこで,呼値を以下の通り改定することを強く要望する。
      ・ 先物ラージ 呼値10円→5円
      ・ 先物ミニ 呼値5円→2.5円
      上記呼値の設定は,今や世界的に見れば標準的なものであり,CMEやSGXでの日経平均先物やその他先物(S&P500など)の呼値を鑑みたとき,現状以上に海外市場との裁定取引が活発化し,流動性向上および円滑な価格形成に資するものと思料する。
    • (4) 加えて,流動性および取引リスクの制御可能性を向上させるため,取引時間の更なる延長をこれまた強く要望する。少なくとも,午前3時以降の時間帯におけるCME日経平均先物のボラティリティが相当のものであることを鑑みれば,アメリカ市場のオープンしている日本時間午前6時ごろまでは取引時間が延長されてしかるべきである。

【法人】

大証の回答

  • 本件は,より精緻な取引が可能となるなど市場参加者の利便性向上に資するとともに,市場全体の流動性向上に寄与すると考えられることから,原案どおり実施することとします。
  • なお,今回寄せられた権利行使価格の刻みの更なる縮小などのご提案につきましては,市場ニーズや海外の状況等を注視しつつ,制度変更のメリットと市場全体の対応コスト等のデメリットを総合的に勘案しながら,引き続き検討してまいります。

2 権利行使価格設定方法の変更についての反対意見等

ご意見

  • 以下の理由から権利行使価格の刻みの縮小に反対。
    • (1) 銘柄が増えると自作プログラムの修正やPC画面への銘柄一覧表示が大変になる。
    • (2) 取引データの量が増大し,システムに負荷がかかる。
    • (3) 権利行使価格の刻みの縮小よりも,呼値の刻みの縮小を実施して欲しい。
    • (4) 125円の刻みは細かくなりすぎ,1日の変動幅でこれを超えてしまうので,現行の250円刻みで十分。
    • (5) 権利行使価格を細かくすることによって1銘柄あたりの取引高が減少し,ザラバ板が希薄化する。
    • (6) 第3限月とのスプレッド化に必要なので,第4限月の250円刻みの銘柄を1か月早く取引開始できるようにしてほしい。

【複数の個人,法人】

大証の回答

  • 今回の権利行使価格の刻みの縮小につきましては,個人投資家を含め市場参加者の皆様から当社にお寄せいただいているご意見も参考に,よりきめ細やかな取引のニーズに対応することを目的として実施するものであり,今回の銘柄拡充によって,市場全体の使い勝手・流動性は向上するものと期待していますので,ご理解いただきますよう宜しくお願いします。
  • その他,今回御要望をいただきました呼値の単位の縮小や流動性向上策等については,予想される注文データ量の増加やそれに伴う当社及び投資家サイドのシステム・インパクト,その他市場環境等を勘案しながら,今後検討を行っていきます。

3 その他

ご意見

賛否は特にないが,もし125円刻みが実施されるなら,手口公表を現在の5本から9本にするか,ATMからOTMにかけて5本に変更して欲しい。前回,500円刻みから250円刻みにした時にそのままだったので投資の参考にしていた遠い手口が見えなくなり,残念な思いをした。

【個人】

大証の回答

手口の公表対象は現状どおりATMを中心に5本としますが,銘柄拡充後の取引状況等によっては再検討することといたします。

本件に係る関連諸規則の一部改正については,以下のページをご覧ください。