パブリック・コメント
株価指数先物取引等に係る呼値の制限値幅の拡大等について(案)
当所は,「株価指数先物取引等に係る呼値の制限値幅の拡大等について(案)」について,平成16年9月21日(火)から平成16年10月12日(火)までの間,当所がパブリック・コメントを募集したところ,本件に関して複数の御意見が寄せられました。
お寄せいただいた主な御意見に対する当所の考え方は以下のとおりであり,この考え方に基づき,本件につきましては,原案どおりとすることといたします。
御意見を御提出いただいた皆様におかれましては,本件の検討に御協力いただきありがとうごさいました。
ご意見
- 現物市場の相場の下落が先物取引に誘発されている現在の状況を見ると,本件を実施することにより,現物市場の相場の下げ幅及びスピードが拡大することになる。リスクヘッジの場の提供どころか,リスクの拡大にしかならないことから,同措置の実施には反対である。
大証の回答
- 当所は,以下に説明するとおり,先物価格の下落が必ずしも現物市場の相場の下落を誘発しているわけではないと考えている。
- 確かに,市場全体にインパクトを与える情報等が伝達された場合,先物取引の価格が現物指数に先行して変化することは,価格の上昇・下落を問わず,日々の市況変動において多く見られる現象である。
- しかしながら,先物価格が現物指数よりも早く情報に反応し変動するという表面的な事象をもって,(価格の下落時に)先物価格が現物相場の下落を誘発するということは,必ずしも両者間の因果関係を意味しない。
- なぜなら,一般に,相場全体に影響を与える情報又はニュースなどが伝達された場合,現物指数はまず個々の株価に当該情報が反映され,当該価格変化が現物指数の変動に反映されるというプロセスを経るのに対し,先物取引は価格そのものが情報に対して反応するという違いがあるからである。さらに,現物指数の場合,構成銘柄毎に取引の流動性が異なることから,流動性の低い銘柄の価格情報が指数に反映される速度が,流動性の高い銘柄に比して遅くなることから,その結果として,現物指数が先物価格の変化によりも遅行して見えることとなる。
- このように,情報が価格に織り込まれる経路の違いとその結果としての価格変動の速度が異なることは,「先物が現物指数を変動させる」といった両者間の因果関係を意味するものではない。むしろ,先物価格は現物指数に比して「情報を織り込む速度が速い」という点にこそ,先物市場におけるヘッジ機能の有効性が示されていると言える。