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パブリック・コメント

コーポレート・ガバナンス開示制度の導入について(案)

データの取扱いについて

コーポレート・ガバナンス開示制度の導入について(案)pdf

当所は,平成17年12月20日(火)~平成18年1月10日(火)までの間,「コーポレート・ガバナンス開示制度の導入について(案)」に関するパブリック・コメントを募集しました。

御意見を御提出いただいた皆様には,本件につきましての検討に御協力いただきありがとうございました。

本件に関してお寄せいただいた主な御意見及びそれらに対する当所の考え方は以下のとおりです。

なお,本件につきましては原案に沿ったものといたしますが,寄せられた意見を踏まえ,実務面で十分に配慮することといたします。

1.コーポレート・ガバナンス(以下「ガバナンス」という。)に関する開示(全体)

ご意見

(1) 上場会社とのコミュニケーション

  • 今回のガバナンス開示制度の導入は,上場会社にとって企業価値を示す株価を左右しかねない極めて重要なものであると認識している。従って,当該制度の導入に当たっては,上場会社をはじめとする市場関係者の十分な理解を醸成する必要があり,導入プロセスそのものについても,従来にも増して透明性を向上させることが望ましい。また,当該制度導入に向けた今後の対応を積極的に情報提供すべきである。
  • 具体的な記載事項が不明確であり,記載様式の策定に当たっては,上場会社の実務担当者等の意見が十分反映されるような意見交換の機会を設けるべきである。
  • 「独立取締役の有無」等のような「形式」に係る項目があるが,情報の受け手に特定の施策やモデルを採用している方が制度的に優れているかのような印象を与えないよう開示内容及び様式に十分な配慮が必要と考えられるため,開示内容及び様式案ができた時点で,再度,上場会社の実務担当者等を交えた幅広い意見交換の場が設けられることが望まれる。

大証の回答

  • 当所は,今回の制度導入だけでなく,あらゆる制度改正等に関して,パブリック・コメントを広く募集することで,上場会社をはじめとする市場関係者の皆様からもご意見をいただくこととしていますが,ご意見を踏まえ,こうした取組みの充実に努めて参りたいと考えています。また,寄せられたご意見のうち,反映すべきものについては反映するとともに,十分にご理解をいただけるよう必要に応じて説明会を開催するなど対応してまいりますので,よろしくお願いいたします。

ご意見

(2) 取引所間の統一様式

  • 東京証券取引所も同じ方向か。
  • 「当該開示内容は当所所定の様式によるものとし」とあるが,他の証券取引所上場会社との比較可能性を確保し投資家の利便性を高めるため,開示内容及び様式は証券取引所間で調整・統一されることが望ましい。

大証の回答

  • ご指摘のとおり,開示内容や様式が証券取引所間で異なることは,上場会社の事務負担や投資家の比較可能性といった面で望ましくないことから,他の証券取引所との調整を行っています。

ご意見

(3) ガバナンスの実態の反映

  • 形式的な制度の整備のように思われる。上場会社におけるガバナンスの実態に迫るためのアプローチ方法(例えば,証券取引所による実地調査体制整備,あるいは上場会社におけるコンプライアンス違反通報体制を推奨する等)の整備に努めるなど意味のあるガバナンス制度を整備すべきである。

大証の回答

  • 当所は,ガバナンスに関する法制度等が充実する中で,上場会社が自らに適したガバナンス体制を構築することと,これへの投資家の注目が高まることが相俟って,上場会社のガバナンスが向上することが重要であると考えています。
    今回の対応は,こうした考えの下,各社が実態に応じて構築したガバナンス体制に関する情報を分かりやすい形で提供するよう見直すことで,投資家の注目を高めることを目的としており,その高まりとともに投資家による上場会社のガバナンス体制の監視機能の向上が期待されます。そして,こうした監視の強化は,各社による自発的なガバナンス体制の改善や,より良い体制の構築への取組みを促進するものと考えられることから,意義のある施策であると考えます。

ご意見

(4) 開示方法について…取引所間の協調による一覧性のある情報提供

  • 「当所のホームページ掲載予定」とあるが,各証券取引所の各ホームページ内に掲載するのでは投資家の利便性が低い。証券取引所間で調整し,各証券取引所の上場会社の情報を一覧で入手できるようなサービスの提供が望まれる。また,こうしたサービスの提供は,重複上場会社の事務負担の軽減にも貢献するものと考える。

大証の回答

  • 今後,上場会社や投資家などの市場関係者の皆様の利便性を高めるよう努めてまいります。

ご意見

(5) 開示方法について…複数の開示手段

  • 大証のホームページを見ていない株主等も多数いると思われるが,開示は大証のホームページのみでよいのか。

大証の回答

  • 証券取引所のホームページは,インサイダー取引規制の適用除外基準になるなど,幅広い投資家に利用される開示ツールと位置付けられており,最善の開示方法と考えます。もとより,ガバナンスに関する事項を広く開示するうえで,各社のホームページへの掲載も有用と考えられることから,積極的に掲載していただきますようお願いいたします。

ご意見

(6) 取引所による過度な価値判断の回避

  • 「各種委員会の設置の有無」等のように「形式」に係る項目があるが,こうした項目においては,大証が特定の施策やモデルの採用を推奨・誘導するかの印象が拭えない。ガバナンスの実体的規制は会社法が担っていることを踏まえれば,大証が特定の施策を誘導すべきではない。

大証の回答

  • 今回の対応は,各社のガバナンス体制を投資家に分かりやすく開示するとともに,投資家の声を通じて上場会社に自発的な取組みを促進することに主眼を置いており,特定の施策やモデルの採用を推奨・誘導するものではありません。

ご意見

(7) 他の開示との重複の回避

  • 企業への過剰な負担を強いることがないよう,「資本構成」,「企業属性」,「取締役・監査役の略歴」など法定開示情報と重複する項目は排除すべきである。

大証の回答

  • 今回の対応は,各社のガバナンスに関する情報を当所ホームページに一覧掲載することで,投資家が当該内容を比較・分析することを容易にするものであり,他の法定開示等とは利用用途が異なります。したがって,こうした情報も記載していただきたいと考えていますが,上場会社の事務負担も考慮し,記載事項は必要な範囲に止めたいと考えています。

ご意見

(8) 各種委員会の開示のあり方

  • 「各種委員会の概要」の記載内容について,例えば,ガバナンス上,重要と思われる委員会組織を例示しそれらに限定するなど,記載事項は合理的かつ必要と判断されるものに限定すべきである。

大証の回答

  • 組織形態として委員会設置会社を採用している場合には,少なくとも指名・報酬・監査委員会については必須事項として記載いただくことを想定していますが,今後,その他の取組みも含め,上場会社の皆様の過度な負担とならないよう,様式や記載要領において記載のポイントを明確にしたいと考えています。

ご意見

(9) 上場会社による自己評価の仕方

  • 各企業は,常により良いガバナンス体制構築に向けて不断の改革に努めている。ある時点の体制等を「適切である」と判断させる項目は不適切かつ不要であり,各社の自主的な判断に応じて自由に記載できる仕組みとすべきである。

大証の回答

  • 様々な制約から上場会社が望ましいと考えるガバナンス体制が全て実現されているとは限らないと考えられます。こうした点を勘案し,ある時点のガバナンス体制が「適切かどうか」の判断をしていただくのではなく,ガバナンスに関する各社の取組みの現状を投資家に開示していただくことに主眼を置いていきたいと考えています。

2.ガバナンスに対する考え方及び基本情報等に関する開示

ご意見

(1) 各社の個別事情等の開示基準の明確化

  • 「その他コーポレート・ガバナンスに影響を与えうる各社個別事情等」といった項目が,どのような事情を想定しているかが不明確であり,記載基準又は記載例を示すべきである。

大証の回答

  • この項目は,例えばグループ会社を有している場合に,その影響力やグループ経営に対する方針などについて開示していただくことを想定しています。なお,この項目は自由記載を想定していますが,今後,その他の項目も含め,記載要領において記載ポイントを明確にしたいと考えています。

3.会社経営の意思決定,執行及び監督その他のガバナンス体制等の状況に関する開示

ご意見

(1) 取締役及び監査役の独立性に関する開示の仕方

  • 取締役及び監査役の「独立性」のように概念が曖昧で,現時点ではコンセンサスを得られていないものについて,一律に記載を強制するのは時期尚早。議論が未成熟なまま,独立性を各社が主観的に判断・開示することになれば,投資家の混乱を招くおそれや投資家をミスリードする可能性があるため,「社外の人材の活用」について各社の自主的な判断に応じて,自由に記載できる仕組みとすべきである。

大証の回答

  • ご指摘のとおり,取締役及び監査役の「独立性」については多様な議論がなされており,統一的な考え方は存在しませんが,投資家の関心は高いものと考えられ,各社が「独立性」をどのように認識し活用しているかを明らかにしていただくことが有意義であると考えます。これにより,企業経営の実態と有機的に結び付いた形で「独立性」に関する議論が深まるものと期待しています。また,この項目についても,上場会社の皆様の過度な負担とならないよう,様式及び記載要領において記載のポイントを明確にしたいと考えています。

ご意見

(2) 各種委員会の機能の重視及び統治機構の相違に対応した開示

  • 各種委員会の設置は,機能発揮の一手段であり,それ自体は単なる形式にすぎない。ガバナンスに関する項目も,実質的な機能に焦点を当てるべきである。また,法定のガバナンス構造の違いを踏まえ,委員会等設置会社と監査役設置会社とで報告様式を分けるべきである。

大証の回答

  • ご指摘のとおり,ガバナンスは実際に機能することが重要であり,今回の制度の見直しにおいても,こうした観点からの開示に重点を置いています。統治機構の違いについても,これに応じた様式を用意することとします。

4.制度移行

ご意見

(1) 開示時期

  • 当初の報告時期を平成18年5月までとしているが,この時期,3月決算会社は決算事務で繁忙を極め,その中で本報告書を準備することは多大な負担である。また,ガバナンスに関する重要事項は株主総会に付議する項目が多く,株主総会前に開示しても否決された場合,逆に投資家を混乱させることになるため,株主総会後の一定期間内の報告とすべきである。

大証の回答

  • 本件ガバナンスに関する開示は全ての上場会社を対象としたものであり,規則施行予定の平成18年3月1日から5月31日までの3か月間の対応期間を設け,この間に実施して頂きたいと考えています。3月決算会社の繁忙期と重なりますが,こうした対応期間を設けておりますので,ご対応方お願い申し上げる次第です。今回の制度変更に伴い,3月1日以後に終了する事業年度からは,決算短信においてガバナンスの施策等の開示は不要となります。また,本件に関する第1回目の開示は提出時点における各社のガバナンスに関する事項を開示いただくものであり,株主総会の付議事項ではありません。こうしたことから,株主総会前の開示により投資家の混乱を招くようなことはないと考えます。ただし,第1回目の開示の後,所定の手続きを経て,その内容が変更された場合には,速やかに修正開示をしていただく必要があります。
    なお,各社において早期に報告書作成に取り掛かることができるよう,様式及び記載要領を速やかに準備することとします。

ご意見

(2) 決算短信本体の様式変更の要否

  • 平成18年3月期の決算短信から変更する必要があるのか,あるいは任意か。

大証の回答

  • 全ての上場会社について,平成18年3月1日以後に終了する事業年度に係る決算内容の開示から変更していただく必要があります。
    なお,今回の対応は,ガバナンスに関する部分のみを決算短信本体から別途切り出すものであり,その他の部分については変更ありませんので,申し添えます。
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