パブリック・コメント
株価指数先物・オプション取引に係るイブニング・セッションの新設について(案)
近年,取引のグローバル化の進展を背景に,午後立会時間終了後における経済情勢・海外市場の動向や国内外のOTC市場での現物売買等に対応したヘッジ取引等に対するニーズが高まっています。
そうした状況を踏まえ,当社は派生商品取引(株価指数先物取引及び株価指数オプション取引)について,現在の午後立会の後に,「イブニング・セッション」を設けることとし,その制度要綱を次のとおり取りまとめました。
つきましては,本件についてパブリック・コメントを募集しますので,ご意見等がございましたら,以下の要領により,当社にご提出下さいますようよろしくお願いいたします。
当社は,平成19年3月20日(火)から平成19年4月10日(火)までの間,「株価指数先物・オプション取引に係るイブニング・セッションの新設について(案)」に関するパブリック・コメントを募集しました。
御意見を御提出いただいた皆様には,本件につきましての検討に御協力いただきありがとうございました。
本件に関してお寄せいただいた主な御意見及びそれらに対する当社の考え方は以下のとおりです。
なお,本件につきましては原案どおりといたします。
1 イブニング・セッション新設の是非について
ご意見
- 大賛成である。【個人】
- 是非とも早期に実現していただきたい。【個人】
- 期待している。【個人】
- 大証でイブニング・セッション導入後,イブニング・セッションの出来高が,日中取引の出来高の10分の1に達しない場合は,速やかにイブニング・セッションを廃止していただきたい。【証券会社】
- イブニング・セッションの実施時期について,平成19年9月を目途としているが,同年10月には,東京証券取引所の新派生売買システム稼動が控えており,システム開発時期の集中,プログラムの重複管理が発生してしまい,非常に非効率となってしまう。他取引参加者も同様の状況と考えられるため,当該制度実施時期を延期していただきたい(来年初め目途)。【証券会社】
大証の回答
- 主に投資家の皆様からイブニング・セッションの導入を要望するご意見を多数お寄せいただきました。当社としましては,今後とも,投資家や証券会社などの市場関係者の皆様の利便性を高めるよう努めてまいりますので,御支援の程よろしくお願いいたします。
他方でネガティブな御指摘もいただいておりますが,当社がイブニング・セッションを導入する目的は,取引のグローバル化の進行を背景に,日本株式市場の立会時間終了後の取引ニーズが拡大していることを踏まえ,こうした投資家のニーズに応えて市場機能の向上を図ることにあります。こうしたニーズを適切に受け止めることで,イブニング・セッションの活性化に努めるとともに,日中取引同様に厳格な取引管理を行うことにより,市場の質を一層向上させるべく,努めてまいります。
最後に,制度の実施時期についてですが,当社を含め,各社ともシステム開発面では各種案件を抱えながら対応していることから,新制度の導入等のようにシステム開発が伴う案件においては,各社が十分な準備期間を確保できることを念頭に実施時期を決定する必要があると考えております。これを踏まえ,イブニング・セッションの導入にあたっては,実施予定時期の約半年前の平成19年3月中旬に制度要綱を公表しました。加えて,イブニング・セッションへの参加を希望している他の取引参加者の多くは,イブニング・セッションの実施を勘案したシステム開発スケジュールを立てられております。こうした状況を勘案し,イブニング・セッションは原案どおり平成19年9月を目途に実施することとします。
2 取引時間について
ご意見
- 取引開始時間を午後6時としていただきたい。【証券会社】
- 取引開始時間が午後4時30分となっているが,できれば会社等の終わる時間の多い午後5時以降にしてほしい。帰宅後に取引するには,取引時間を午後5時30分から午後8時とすることが最も望ましい。【個人】
- 注文受付開始(午後4時15分)から立会時間開始(午後4時30分)まで15分間しかありませんが,システム障害等発生した場合のリカバリー時間を考慮して注文受付開始から立会開始までの時間を30分間に変更することについて,御検討ください。【証券会社】
- 今回の案では,個人には参加しにくい取引時間であるため,開設時間を午後6時開始,午後9時終了に変更していただきたい。【個人】
- 世界最大の株式市場であるアメリカ市場が開いていない時間に開場したところで,流動性の確保は難しいことから,イブニング・セッションよりも立会時間午後9時30分~午前0時(あるいは早朝まで)のナイト・セッションの必要性を感じる。【個人】
- 開始時刻はシンガポール取引所(SGX)市場との兼ね合い上,もっと早い時刻に設定頂き,また終了時間に関しても,例えば米国市場が開く時間に合わせる等の配慮を頂けると,より投資家・取引参加者のニーズに即するものと思われる。【証券会社】
- 取引時間が午後7時までとなれば,労働基準法上の問題から,取引参加者各社は,雇用形態,勤務形態の見直しを余儀なくされる。イブニング・セッションの取引時間を当初から,東京証券取引所の国債先物取引と同様に午後3時30分~午後6時と設定していただきたい。【証券会社】
大証の回答
- 当社がイブニング・セッションを導入する目的は,取引のグローバル化の進行を背景に,日本株式市場の立会時間終了後の取引ニーズが拡大していることを踏まえ,こうした投資家のニーズに応えて市場機能の向上を図ることにあります。 取引開始時間(午後4時30分)に関しては,取引参加者に対するヒアリングやシンガポール取引所における取引状況から,欧州の取引開始時間帯(ロンドン市場の取引開始は現地時間:午前8時,日本時間:午後5時※)に一定の取引ニーズが確認されたことを踏まえて決定しました。例えば,これを午後6時として立会開始時間を大幅に遅らせた場合,こうしたニーズに応えられず,結果として市場機能の向上を図れないと考えられます。他方で,午後4時30分よりも早い時刻に取引を開始できないかとの声も頂戴しておりますが,当社では,先物・オプション取引について,午後立会終了後も午後4時までの立会外大口取引を行っていることから,立会外大口取引終了後に一定の時間を設けたうえで,イブニング・セッションを開始することが適当と判断しました。こうした事情を総合的に勘案し,イブニング・セッションに係る注文受付を午後4時15 分に,取引を午後4時30分に開始することとしました。
イブニング・セッションの開始前に障害が発生した場合のリカバリー時間を考慮して注文受付時間を長くして欲しいとの御意見もございましたが,障害が発生した場合のリカバリーについては,各社の対応方針や障害の種類等によっても異なること,また,当日分の立会外大口取引が終了してからイブニング・セッションの取引が開始するまで,30分間の間隔があることから,原案どおり注文受付開始(午後4時15分)から取引開始までの時間は15分間といたします。最後に,終了時刻を深夜にまで延長できないかといった御意見も複数頂戴しておりますが,終了時刻に関しては,延長すればするほど当社だけでなく市場参加者のコストが増加することとなります。そこで,まずは,シンガポール取引所などで実績があり,具体的な取引ニーズが確認されている,欧州の取引時間帯をカバーできる形でスタートすることとし,イブニング・セッションの取引状況や取引参加者等のニーズを勘案しながら,更なる取引時間の延長について今後も検討してまいります。
- ※ サマータイム期間中(3月最終日曜日から11月第一日曜日)の日本時間は午後4時。
3 SPANリスク・パラメーター・ファイルについて
ご意見
- 当社を含め,ほとんどのオンライン証券会社では,大阪証券取引所が大引け後に発表するSPANリスク・パラメーター・ファイルから,顧客の翌取引日用の必要証拠金額を算出したうえで翌取引日の注文受付を開始している。イブニング・セッションでは取引日を翌(営業)日扱いとされているため,イブニング・セッションの注文受付開始の午後4時15分までに翌取引日の必要証拠金額が確定させなければならない。ついては,当社において,イブニング・セッションの注文受付開始までに翌取引日用の必要証拠金額を確定させ,システムの安定稼動を図るために,SPANリスク・パラメーター・ファイル(アーリーファイル)を午後3時30分に御提供いただけるように保証してもらいたい。【証券会社】
大証の回答
- 今般,当社は,イブニング・セッションの開始日までに,SPANリスク・パラメーター・ファイル(アーリーファイル)の配信時間について,特段の外部要因がない限り午後3時30分までの配信※が可能となるようにシステム対応を行います。
- ※現在,通常は午後3時40分前後,SQ日は午後3時55分前後に配信。
4 呼値の制限値幅の基準値段について
ご意見
- 「イブニング・セッション」は翌(営業)日日中取引と同様の取引日となるにもかかわらず,呼値の制限値幅の基準値段としては,当日の基準値段が採用されている。翌日付の注文を受注するにあたり,当日の基準値段(イブニング・セッション向け)と翌日の基準値段(翌営業日日中取引)の2つの値を保持し,注文(イブニング・セッションの注文か翌朝の注文か)により処理を変更することは,システムインパクトが大きい。また,翌日付取引にもかかわらず,当日の値幅を採用する事は矛盾していると考える。ついては,「イブニング・セッション」向けの値幅は翌日値幅と同様とすることについて御検討いただきたい。【証券会社】
大証の回答
- 呼値の制限値幅の基準値段(以下「基準値段」という。)の変更のためには,当社における変更処理を行うとともに,変更情報を取引参加者等の皆様に対してデータとして配信し,当該情報に基づき,各取引参加者等において社内処理等を行っていただく必要があると考えます。現状ではそうした作業は,午後4時に立会外大口取引が終了してから,翌朝当社が注文受付を開始するまでの間に行われておりますが,仮にイブニング・セッションに係る基準値段を日中取引に係る基準値段から変更する場合,作業時間が現状よりも極端に短縮されて対応が困難であると考えます。
つきましては,取引参加者等の業務負荷をできる限り抑える観点から,基準値段変更につきましては,従来どおり,翌営業日の日中取引開始時から行うこととし,各取引参加者等に十分な作業時間を確保していただくこととします。
なお,当社としては投資家の混乱回避のため,イブニング・セッションで取引対象とする商品につきましては,翌朝分の取引に係る注文受付は,イブニング・セッション終了後に開始することが望ましいと考えております。この場合には,イブニング・セッションと翌朝分の注文を同時間帯に受け付けることはないため,注文(イブニング・セッションの注文か翌朝の注文か)により処理を変更するといった仕組みは必要ないと考えられます。
5 アクセス料について
ご意見
- 大阪証券取引所では平成19年2月20日付で「アクセス料に係る料金体系の見直しについて(案)」とするパブリック・コメントの募集をされており,その中で見直しの趣旨として,『当社は,注文件数の増加に対応するため,システムの処理能力向上のための投資を継続的に行っており,当該投資によるコスト負担が大きくなっている。』と記載している。
イブニング・セッションは,日中取引とは別の時間に取引を行う為,注文に関してシステム負担はなくシステムリソースは効率と考えられ,すなわち「イブニング・セッション」の取引に対する「アクセス料」の課金は不要と考える。【証券会社】
大証の回答
- 約定の成立の有無にかかわらず,注文は約定機会の拡大や約定価格の向上等を目的として行われており,注文件数に応じたアクセス料は,取引参加者が受けるそうした便益に係る対価を明確にするために設定したものです。
先般実施したアクセス料体系の変更は,ここ数年の注文件数の急激な増加により,アクセス料体系と発注実態との乖離が生じ,料金の従量性,応益性が損なわれている状況にあったため,それを改善するために実施したものですが,上述の「注文件数に応じて取引参加者が受ける便益の対価」というアクセス料の設定趣旨は体系変更後も変わりありません。
こうしたアクセス料の設定趣旨を踏まえ,日中取引と同様に注文がなされ,それによって取引参加者が便益を受けることとなるイブニング・セッションについても,アクセス料は日中取引と同様とします。他方で,御意見をいただいておりますとおり,イブニング・セッションの取引状況・注文状況によっては,当該取引時間中のシステム負担が極めて低くなる可能性もあり,その場合には取引参加者が注文による便益を十分に得られないことも考えられるため,イブニング・セッション導入後の取引状況・注文状況を注視し,必要に応じて制度変更も検討することとします。
6 その他
ご意見
- 取引報告書等の法定帳簿等について,記載要件を明確にしていただき,取引日基準での作成を可能とすべく措置を講じていただきたい。また,取引報告書の顧客への交付については,取引日基準での作成・発送を可能としていただきたい。【証券会社】
- イブニング・セッション取引で約定した建玉について,ポジションの発生及び消滅に係る会計上の取扱について,評価方法含め明確にしていただきたい。【証券会社】
大証の回答
- 取引報告書等の法定帳簿等及び会計上の取扱いにつきましては,当社が定められるものではございませんが,現在東京証券取引所で行われているイブニング・セッションと同様に取り扱われるものと考えられます。
具体的な取扱いに関しては,関係当局及び関係諸団体と相談のうえ,結論が明らかになり次第,当社から取引参加者の皆様に御通知します。