約定取消しルール

約定取り消しルールの流れ

約定取り消しルールの流れ
 

誤発注の発生

上場株式数の5%超30%以下の注文を発見した場合、発注した取引参加者に当該注文の内容について確認を行います。

  • 東京証券取引所(以下「東証」という。)の売買システム(arrowhead)では、上場株式数の30%を超える注文を受け付けない仕様となっております。
 

付合せの一時留保

当該注文が誤注文であることが確認された場合で、売買が成立する可能性が高いときや、誤発注を行った取引参加者(以下「発注取引参加者」という。)から要請を受けたときは、誤注文が発生した当該銘柄の付合せ(特別気配の表示を含みます。)を一時留保し、発注取引参加者に当該注文の取消しを要請します。

 

売買停止

誤発注により、上場株式数の10%を超える売買が成立した場合には、約定取消しの可能性を周知するため、売買停止を行います。

  • 上記基準を満たさない場合であっても、東証が特に必要と認める場合においては、約定取消しの可能性を周知するため、売買停止を行うことがあります。
  • 外国株券(重複上場銘柄)及び転換社債型新株予約権付社債券(以下「CB」という。)については、それぞれ、2万単位、20億円を超える売買が成立した場合に売買停止を行います。
 

誤注文に係る情報の開示

誤注文により、市場において混乱が生じることを回避する観点から、次のいずれかに該当する場合には、当該誤注文について発注取引参加者に確認等を行った後、東証が緊急市場情報として遅滞なく開示を行います。

  • 誤注文についての付合せの一時留保を行った場合
  • 誤発注による市場への影響が大きいと認められる場合(注)
  • 具体的には、上場株式数の5%を超える誤注文が発注された場合でかつ、誤注文により成立した売買高が上場株式数の5%を超えたとき又は原則として当該誤注文が直前約定価格から7%を超える価格で売買が成立したときをいいます。

東証では、緊急市場情報として、以下の情報をウェブサイト等に掲載します。

【誤注文について東証が開示する緊急市場情報】

  1. 銘柄名
  2. 誤注文の内容(売り・買いの別、値段、株式数)
  3. 経過(発注時間、取消し等の時間)
  4. 発注取引参加者名

なお、発注取引参加者についても、東証が緊急市場情報の開示を行った後遅滞なく誤注文の内容等について情報開示を行うこととしています。

 

約定取消し申請

発注取引参加者は、約定取消しを行う可能性があることを周知するための売買停止が行われた時等から原則として60分以内に限り、約定取消し申請を行うことができます。

約定取消し申請を行うことができるのは、原則として、上場株式数の20%を超える売買が成立し、当該売買の決済が極めて困難である場合です。

  • 外国株券(重複上場銘柄)及びCBについては、それぞれ、2万単位、20億円を超える売買が成立した場合に限ります。
  • 約定取消し申請を受けた場合又は約定取消しを行わない旨の申告を発注取引参加者から受けた場合は、東証は速やかにその内容を公表します。また、約定取消しを行う可能性があることを周知するための売買停止が行われた時等から60分経過しても発注取引参加者から申請等がなかった場合にも、東証はその旨を公表します。
  • 売買の決済を特に困難とする状況が認められる場合には、上場株式数の10%超20%以下の売買が成立した場合であっても、約定取消し申請を行うことができることがあります。
 

約定取消しの検討

約定取消し申請を受けた場合、発注取引参加者に対して、決済資金や決済物件の調達の可能性等に関するヒアリングを行い、決済不履行の可能性について検討します。

  • ヒアリングにおいては、取引参加者や関係会社の保有ポジション、大株主等との借株に係る交渉の経緯と見通し、金融機関等との資金調達に係る交渉の経緯と見通し、市場取引等による調達の見通し等について確認し、決済不履行の可能性を検討します。
 

約定取消しの有無の決定

約定取消しの有無の決定

約定取消しの検討の結果、東証が決済不履行の可能性が高いと判断した場合に限り、約定取消しを行うことを決定します。

誤発注による売買が上場株式数の20%超成立していない場合には、さらに、当該銘柄が特殊な状況にあると認められる場合(注)に限り、約定取消しを行うことを決定します。

  • 発注取引参加者から約定取消し申請がなかった場合においても、誤注文により成立した売買の決済が極めて困難であり、東証の市場の混乱を回避するために必要と認めるときは、発注取引参加者に対して調達の可能性等に関するヒアリング等を行った上で、約定取消しを決定することがあります。
  • 例えば、公開買付けが実施されており、流通する株式が極端に少ないうえに大株主からの借株による調達も困難である場合など。
 

約定取消しの有無の公表

約定取消しを行うことを決定した場合、速やかにその内容を公表します。公表する内容は以下のとおりです。

【約定取消しについて東証が公表する内容】

  1. 銘柄名
  2. 誤発注により決済の履行が極めて困難であるため約定取消しとなる旨
  3. 約定取消しとなる取引(約定時刻、約定数量、約定番号等)

なお、約定取消しを行う可能性があることを周知するための売買停止が行われた場合であって、誤発注による決済の履行が極めて困難であるとは認められないために約定取消しを行わないことを決定したときは、速やかにその旨を公表します。

 

約定取消しの範囲及び効果等

約定取消しにより取り消される売買は、誤注文に係る売買が最初に成立した時から、約定取消しを行う可能性があることを周知するための売買停止が行われた時までの間に成立したすべての売買とします。

なお、約定取消しにより取り消された売買は、初めから成立しなかったものとみなされます。また、取り消された売買に係る顧客と取引参加者との間の権利及び義務は、初めから発生しなかったものとみなされます。

 

約定取消しの有無の決定・公表後の売買

約定取消しを行うことを決定・公表した場合

当該銘柄は終日売買停止とし、翌日売買を再開します。売買再開時の基準値段は、誤発注による約定が最初に成立する直前の約定値段(特別気配値段及び当日基準値段を含みます。)とします。

約定取消しを行わないことを決定・公表した場合

約定取消しを行わない旨の公表を行ってから15分経過後に売買を再開します。

  • 売買再開後の売買の状況に異常があると認められる場合又はそのおそれがあると認められる場合には、売買に係る規制措置を実施することがあります。
 

復活のための売買

約定取消しが行われた場合、売買が取り消された投資者を救済する観点から、取り消された売買の復活を希望する場合の特別措置として、復活のための売買を認めることとしています。ただし、復活のための売買は、約定取消しにより一度成立した売買が取り消されたことにより、その後売買停止が行われるまでの間に行われた他の取引の資金決済や決済物件が調達できなくなる場合に限って認めています。

復活を認める取引

取引参加者は、顧客の注文が取り消されたときは、あらかじめ東証の承認を受け、取り消された売買と同じ値段により、発注取引参加者を相手方として、復活のための売買を執行することができます。復活のための売買の承認条件は、以下のとおりです。

【復活のための売買の承認条件】(以下の全てを満たす場合)

  • 誤注文に係る売買が最初に成立した時から、約定取消しを行う可能性があることを周知するための売買停止が行われた時までの間に、「連鎖取引」(注)を行っていること。
  • 取り消された売買が、取引一任契約又は金融商品取引業者の自己の計算に基づき行われたものでないこと。
  • 約定取消しが行われたことにより、連鎖取引の決済を行うことができなくなること。

  • 「連鎖取引」とは、以下のいずれかの売買をいいます。
    取り消された売買に係る注文を委託した取引参加者と同一の取引参加者に委託して行った、当該取り消された売買に係る売付け後の売却代金による買付け又は買付け後の当該買い付けた有価証券の売付け
    信用取引の弁済(弁済の繰延期限にあたる日における弁済に限ります。)のための売買
    株券オプション取引の権利行使により成立する対象株券の売買の決済のための売買
 

復活のための売買の上限数量

復活のための売買は、顧客ごとに以下の数量を上限とします。これを超える部分については、復活の対象としません。

【復活のための売買の上限数量(単位)】

shiki
  • 10売買単位未満は切上げ。

 

復活のための売買の手続

復活のための売買の承認は、取引参加者からの申請に基づき行います。取引参加者は、顧客の取り消された売買のうち、復活のための売買の承認条件に該当すると考えられる売買について、売買成立日翌日の13時までに、東証に対し、復活のための売買の承認申請を行います。

約定取消しにより売買が取り消され、当該売買が復活のための売買の承認条件に該当すると考えられる場合であって、復活のための売買を希望される投資者は、お早めに当該売買に係る注文を委託した取引参加者までお問い合わせください。