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2025/01/28 東証 特別注意銘柄の指定及び上場契約違約金の徴求:ピクセルカンパニーズ(株)
以下のとおり、特別注意銘柄の指定及び上場契約違約金の徴求を行うことにしましたので、お知らせします。
※本件は、日本取引所自主規制法人の審査結果に基づき決定したものです。
1.銘柄 | ピクセルカンパニーズ株式会社 株式 (コード:2743、市場区分:スタンダード市場) |
2.特別注意銘柄指定日 | 2025年1月29日(水) |
理由 (関連条項) |
適時開示の規定に違反し、内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められるため (有価証券上場規程第503条第1項第3号) |
3.上場契約違約金金額 | 2,880万円 |
理由 (関連条項) |
適時開示の規定に違反し、当取引所の市場に対する株主及び投資者の信頼を毀損したと認められるため (有価証券上場規程第509条第1項第1号) |
4.理由の詳細 | ピクセルカンパニーズ株式会社(以下「同社」という。)は、2024年11月12日に同社における不適切な会計処理に関する特別調査委員会の調査報告書を受領した旨を開示し、同日に過年度の決算内容の訂正を開示しました。 これらにより、2019年から2023年当時、同社の子会社であったピクセルエステート株式会社(以下「同社子会社」という。)で行われていた太陽光発電事業において、同社前代表取締役社長(以下「前社長」という。)が、同事業における土地や権利等の取得のための前渡金の支出を伴う取引を仮装し、同社子会社の資金を流出させていたこと、また、支出した資金の一部は、前社長の借入金の返済に充てられたこと(以下「本件不正支出」という。)などが判明し、長期間にわたり不適切な会計処理が行われていたことなどが明らかになりました。 その結果、同社は、2019年12月期第2四半期から2024年12月期第1四半期までの決算短信等において、上場規則に違反して虚偽と認められる開示を行い、それに伴う決算内容の訂正により、2020年12月期の親会社株主に帰属する当期純損失が7割以上拡大すること、2022年12月期において債務超過に陥っていたことなどが判明しました。 また、前社長は、2019年から2022年までに行った自身の金銭消費貸借契約締結に際し、同社取締役会の承認を得ずに、同社を代表して連帯保証契約を締結していたことが判明しました。 加えて、2021年12月に日本取引所自主規制法人から同社に行った、有価証券上場規程第415条に基づく本件不正支出に関する取引経緯等の照会に対して、同社からは、本件不正支出に係る取引について実体がある前提で回答が行われ、虚偽の説明を行っていたことが判明しました。 こうした開示等が行われた背景として、本件では主に以下の点が認められました。 ・ 前社長は、内部統制の構築・運用の最高責任者であるにもかかわらず、社外の協力者等との間で自ら取引を仮装し、同社子会社の資金の一部を自身の借入金の返済に供したのみならず、自身の金銭消費貸借契約締結に際し、同社取締役会の承認を得ずに連帯保証を付すなどしたほか、日本取引所自主規制法人からの照会に対して、虚偽の説明・回答を行うなど、経営者のコンプライアンス意識が著しく欠如していたこと ・ 加えて、同社は、過去の複数回にわたり、第三者割当増資を行い、その開示資料上、太陽光発電事業を使途として開示していたものの、実際は前社長の借入の返済等に流用するなど、虚偽の説明を繰り返し、また、日本取引所自主規制法人からの照会に対しても虚偽の説明・回答を行っており、全社的にコンプライアンス意識が欠如していたこと ・ 同社の取締役会や各取締役は、会社規模に比して過大な前渡金の支出を伴う取引について、その経緯や詳細、進捗状況などの確認を行わずに取締役会決議を行うなど、取締役会の監督機能や、取締役相互間のけん制・監視機能が十分に発揮されていなかったこと。また、監査役会や各監査役も、本件不正支出について、りん議書や契約書の存在を形式的に確認するのみで、支出に至った具体的内容や経緯を確認していないなど、その監査機能が十分に発揮されていなかったこと ・ 同社では、2022年3月に発覚した前社長による不正行為に対して、社外取締役の選任や、決裁権限規程の見直しなどの再発防止策を策定、実行することでガバナンス体制を強化することとしていたが、以降も、取締役会・監査役会や各取締役・各監査役に期待される機能が発揮されず、本件不正支出が継続されており、ガバナンス機能の不全が解消されなかったこと ・ 前社長と通じた本件不正支出に係る協力者の一部は、業務受託者として、同社及び同社子会社内部において自らとの間の取引の承認を行う状況となっており、利益相反に対するけん制・管理が行われていなかったこと。また、利益相反取引や関連当事者取引に関する規程等が整備されていないほか、役職員による認識も不足しており、利益相反取引や関連当事者取引に関する管理体制が整備されていなかったこと ・ 同社子会社においては、不正に係る取引・支払いの事後承認が常態化していたほか、本件不正支出について所定の承認手続きが行われた形跡が存在しないなど、重要な取引に関する意思決定手続きが適切に行われていなかったこと。また、同社子会社では、取締役会非設置会社であるにもかかわらず取締役会規則が制定されていたほか、職務権限決裁規定においても存在しない取締役会の承認事項が規定されるなど、会社の実情に沿った意思決定手続きも整備されていなかったこと。さらに、同社においても、本件不正支出のうち、取締役会の承認が必要な取引についての承認が行われた形跡がないなど、重要な取引に関する意思決定手続きが適切に行われていなかったこと 以上のとおり、本件は、前社長が本件不正支出を長期間にわたって繰り返し行った結果、投資者の投資判断に深刻な影響を与える虚偽と認められる開示が行われたものであり、同社は2024年12月26日付で再発防止策に係る開示を行っていますが、未だ、同社の内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められることから、同社株式を特別注意銘柄に指定することとします。 また、本件は、上記背景のもと投資判断情報として重要性の高い決算情報について長期間にわたり誤った情報を公表し続けたものであり、当取引所市場に対する株主及び投資者の信頼を毀損したと認められることから、同社に対して、上場契約違約金の支払いを求めることとします。 |
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