現物取引

arrowhead



arrowheadは、2010年1月4日に稼働した、世界最高水準の高速性・信頼性・拡張性を兼ね備えた、現物商品の売買システムの呼称です。対象取引は現物商品にかかるオークション取引(株式、CB等)です。

2024年11月に、市場利用者の利便性や国際競争力、レジリエンスをさらに高めることを目的として、「arrowhead4.0」(2010年に稼働した初代システムから数えて四世代目となるシステム)が稼働しました。arrowhead4.0では、立会時間の延伸やクロージング・オークションの導入等の新機能を実装しました。

システムの特徴

高速性

項目 処理能力
注文応答時間 約0.2ミリ秒
情報配信時間 約0.5ミリ秒

信頼性

注文・約定・注文板などの取引情報を三重化されたサーバ上で処理します。

拡張性

注文件数等の増加に対応した柔軟なキャパシティ拡張を可能とします。

システム概要図

arrowheadでは、大まかに以下の流れで注文等を処理しています。

  • 国内外の投資家(証券会社)から広く注文を受け付け、売買を成立させ結果を返信。
  • 受け付けた値段(気配)や約定値段 (株価)は、相場情報として市場へ配信。

また、受け付けた注文に関し異常な傾向(誤発注等)がないか監視するため、売買状況を監理する機能を具備しています。

主な機能

arrowheadが提供する、主な機能は以下のとおりです。個別機能の紹介については、表の下部の資料に図解しています。

参加者接続

機能 説明
注文・通知機能 取引所システムの基本機能として、取引参加者からの注⽂を受け付け、取引所から注⽂の結果通知を返却する機能です。取引所システムからの結果通知を複数箇所に返却するコピー通知機能、注文状況や銘柄情報等を照会する機能(問合せ参照機能)も提供しています。

また、以下のような多様な注文に対応しています。
・寄付条件付注文…前場および後場の寄付き(始値を決定する板寄せ)に執行されることを条件とした注文
・引け条件付注文…前場および後場の立会終了時の板寄せに執行されることを条件とした注文
・不成注文…………各立会終了時までは指値注文として有効な注文で、ザラバで売買が成立しなかった場合には、前引けまたは大引けの時点において、引け成行注文に変更して執行することを条件とする注文
・IOC注⽂………即時約定しない場合に失効する注⽂
リスク管理機能 ・コネクション異常切断時注⽂取消
取引参加者と取引所システムとの接続の異常切断時に、即時に注⽂を取消し、以後の注文を抑⽌する機能を提供しています。
・注⽂抑⽌・取消
取引参加者からの指示により、指定した単位(仮想サーバ・仮想サーバグループ)で、注文の抑止及び板登録済注文の自動取消を行うことが可能です。
・ユーザ設定型ハードリミット
リミッター機能として、取引参加者が個別に注文等に係る各種閾値(一注⽂あたりの注文代⾦、単位時間あたりの注⽂・約定代⾦の上限)を設定可能としています。

媒介(マッチング)

機能 説明
媒介(マッチング)機能 取引所システムの根幹を担う機能で、取引参加者からの注⽂を基に、価格を決定する機能です。
⽴会開始時や⽴会終了時には板寄せ約定⽅式により、それ以外の時間にはザラバ約定⽅式により約定させます。
クロージング・オークション
(2024年11月導入)
後場のザラバ取引の終了時(15時25分)から、5分間の注文受付時間(プレ・クロージング)を設けた後、15時30分に板寄せを実施します。また、クロージング・オークションによる板寄せでは、従来の板寄せの条件で約定しない場合でも、売買成立可能値幅の上下限で、約定処理を行います(特別約定)。
自己対当取引防止機能
(STP; Self-Trade Prevention)

同一投資家同士(※)の注文による約定を防止する機能です。サーバに設定された投資家を識別する情報(STPアカウント)を参照し、同一の投資家の注文同士が対当した場合に発動します。STPには2つのタイプがあります。

 STP-O…既に板登録されていた注文側を失効させます
 STP-N…新規に発注された注文側を失効させます

STPは、ザラバ約定方式による付合せ(同時呼値注文を除く)が対象です。
ご利用に際しては「STPアカウント」の事前登録が必要となります。

(※)当機能は機関投資家の利用を想定した機能となります。

マスキャンセル
(2024年11月導入)
機関投資家等、arrowheadにアカウントを持つユーザ(※)の注文を一括で取り消す機能です。

(※)当機能は機関投資家等の利用を想定した機能となります。

相場情報配信

サービス 説明
FLEX Standard 10本気配までの気配数量を値段ごとに配信する相場情報サービスです。四本値(場単位)、売買高、売買代金や指数・統計情報も配信しています。

詳細は以下のページをご参照ください。
上下10本気配情報
寄前気配情報
FLEX Market by Order
(2024年11月導入)
相場情報を“注文ごと”に、すべての気配情報をより詳細な情報として配信するMarket by Order型の相場情報サービスです。

サービスの詳細については以下のページをご参照ください。

リアルタイム情報

売買監理

機能 説明
売買監理機能 取引参加者からの注文をリアルタイムで監視する機能です。様々なパラメータを設定し、きめ細やかな監視を行っています。
また、個別銘柄のメンテナンス機能やマーケットデータの分析機能も有しています。

※図を用いた個別機能の紹介はこちら

arrowhead4.0 個別機能(図解) PDF

システムの歩み

時期 概要
2010年1月4日 初代arrowhead稼働
2010年8月16日 IT Japan Award 2010 グランプリ(経済産業大臣賞)を受賞
2013年7月16日 旧大阪証券取引所の現物市場と統合
2015年9月24日 arrowheadリニューアル(二代目)稼働
2019年11月5日 arrowheadバージョンアップ(三代目)稼働
2024年11月5日 arrowhead4.0(四代目)稼働