概要

社債型種類株式とは

「社債型種類株式」とは、東京証券取引所において優先株等として上場される株式のうち、社債に類似した商品性を持つ種類株式の通称です。社債型種類株式は、一般的に以下の特徴を有しています。

  • なお、以下においては、非参加型優先株の一種として上場する社債型種類株式の一般的な特徴を記載していますが、銘柄によっては、異なる商品性・リスク等を有する可能性もあります。各銘柄の個別の特徴については、各銘柄を発行する上場会社や取扱いを行う証券会社のウェブサイト等をご覧ください。
  • 以下の特徴を有していない社債型種類株式であっても、制度上、上場が可能な場合があります。

商品性

社債型種類株式の主な商品性としては、一般的に、以下のような点が挙げられます

優先的配当

  • 社債型種類株式の株主に対しては、普通株主への剰余金の配当に先立って、優先的に配当が行われます(優先株)。
  • 普通株式の株主への剰余金の配当の金額は、配当ごとに株主総会又は取締役会において決定されますが、社債型種類株式の株主への剰余金の配当の金額は予め定められており、これを超えての分配は行われません(非参加型)。

議決権

  • 社債型種類株式の株主は、原則として、株主総会での議決権を有しません。
  • 会社法又は定款の定めに基づき種類株主総会が開催される場合には、種類株主総会における議決権を有します。

取得条項

  • 社債型種類株式には取得条項が付されており、取得事由が発生した場合には、発行価格相当の現金を対価として発行会社による取得が行われる可能性があります。取得条項として、発行から所定の期間が経過した後に発行会社が取得を決定したことなど、発行会社が取得の判断を行うことができる内容とされる場合があります。

リスク

社債型種類株式の主なリスクとしては、一般的に、以下のような点が挙げられます。投資にあたっては、これらのリスクに十分に留意する必要があります。

株式としてのリスク

  • 配当に関するリスク
    社債型種類株式の株主に対する配当は普通株式の配当に優先されますが、社債保有者などの債権者への支払いに劣後します。したがって、分配可能額がない場合には配当の全部又は一部が行われず、期待するリターンが得られないおそれがあります。
  • 株価に関するリスク
    社債型種類株式は社債に類似した特徴を持つことから、株価は主に市場金利や発行会社の信用力に連動し、普通株式の株価とは異なる動きをする可能性があります。そのため、普通株式の株価にかかわらず、市場金利や発行会社の信用力の状況によっては、株価が大きく下落するおそれがあります。
  • 流動性に関するリスク
    社債型種類株式の株主に対する配当や残余財産の分配は予め決められた金額以上に行われないことから、キャピタルゲインを目的とした普通株式のような頻繁な売買が想定されず、希望する株価やタイミングでの売買ができないおそれがあります。

取得に係るリスク

  • 発行会社による取得が行われた場合のリスク
    社債型種類株式に付された取得事由(発行から所定の期間が経過した後に発行会社が取得を決定したことなど)が発生することで、発行価格相当の現金を対価として発行会社に社債型種類株式が取得される可能性があります。そのため、取得以降の剰余金の配当を受け取れず期待するリターンが得られないないおそれや、社債型種類株式を発行価格以上の金額で購入していた場合には、損失が発生するおそれがあります。
  • 発行会社による取得が行われない場合のリスク
    社債型種類株式においては、所定の取得事由が発生した場合に発行価格相当の現金を対価として取得が行われますが、大幅な金利上昇や発行会社の財務状況の著しい悪化などに伴い、社債型種類株式の株主が想定するタイミングでの取得が行われない可能性があり、その場合、社債型種類株式の株価が大幅に下落するおそれがあります。
  • 発行会社による取得が行われた場合の課税関係(個人投資家の場合)
    発行会社が社債型種類株式を取得する場合、社債型種類株式に対応する発行会社の資本金等の額と、社債型種類株式の取得価格および本社債型種類株式の購入価格に応じて、みなし配当又は譲渡損益が発生し、税法上の手続が必要となるおそれがあります。