ETNの概要

ETNの仕組み

海外でのETNの仕組みは、大まかに下図のようになっています。

ETNの仕組み

発行市場において、①信用力のある金融機関(大手証券会社、銀行等)が大口投資家からの設定請求により、指標に連動した価格でETNを発行します。また、②大口投資家は、常時指標に連動した価格でのETNの償還を発行者に請求することができます。
このように、ETNは発行体となる金融機関が、指標に連動する価格での常時買取・常時償還を保証することにより、指標との連動性を確保しています。
③マーケットメーカーである大口投資家は、発行されたETNを市場に供給し、投資家は流通市場でETNを売買することができます。

  • なお、東証市場への上場対象はJDR形式になりますので、実際供給・流通されるETNはJDR形式となります。そのため、ETNの償還については、JDRの委託者である国内法人に対して請求(買取請求)することになります。

JDRとは

JDR(Japanese Depositary Receipt)とは、日本型の預託証券のことであり、外国有価証券を受託有価証券として日本国内で信託法に基づき発行される受益証券発行信託の受益証券です。アメリカのADR(American Depositary Receipt)やヨーロッパのGDR(Global Depositary Receipt)と同様に、外国の株式や債券、ETFなどを日本国内で円滑に流通させるために整備された枠組みです。

ADRやGDRなどの欧米の預託証券(DR)は、自国における規制や売買・決済の利便性の向上など様々な理由から、有価証券そのものを他国の取引所に上場できない外国の会社が、他国の証券市場で資金調達等を行う際に利用されることにより発達し、活発に取引されています。我が国においてもこれらの欧米の預託証券と同様に活用されることにより、日本の金融・資本市場を通じて資金調達等を行ってもらうとともに、日本の投資者により幅広い資産運用対象を提供することを目的として、2007年9月の金融商品取引法改正に伴い導入され、同年11月に東京証券取引所においても外国株式・外国ETFを対象とするJDRの上場制度を整備いたしました。また、2011年4月のETNに係る制度整備では、JDRの対象をETNにも拡大する改正を行いました。

JDRは、預託契約に基づいて発行されるADRやGDRとは異なり、信託法に基づき発行されるものです。そのため、JDRの受益者は信託法に基づく保護の対象となり、受託者(信託銀行等)は信託法上の受託者責任などの規制を受けることとなります。ただし、JDRへの投資には、その外国会社が発行する有価証券を直接取得した場合と同様のリスクが存在することになり、受託者(信託銀行等)が信用の補完を行うものではありません。また、JDRの所有者は、信託を通じてその発行会社の有価証券を間接的に所有しているため、当該有価証券を直接所有している場合と全く同一の権利を行使できない場合もあります。

ETNという新たな商品を上場するにあたり、本来であれば様々な取引インフラ等の手当てが必要となるところですが、今回JDR形式を利用することにより、既存のシステム等のインフラに手を加えることなく活用できることや、証券会社の特定口座でも扱えるといったメリットがあることから、ETNについてはJDR形式での上場に限定することといたしました。なお、ETNは税務上、株式と同じ証券税制が適用されます。

国内でのJDR形式での流通のしくみは以下のようになっています。

JDRとは