上場制度

ベンチャーファンドの上場には、当該ベンチャーファンドの発行内容その他の事項が「有価証券上場規程(ベンチャーファンド)」に定める上場審査基準に適合していることが必要となります。

その中において、運用資産等の総額に占める未公開株等投資額の比率に係る基準、未公開株等投資額に占める特定未公開株等投資額の比率に係る基準、純資産総額に係る基準等が定められており、また、ベンチャーファンドの発行者や資産運用会社について、資産の運用体制、コンプライアンス及び適時開示に係る体制の観点から適当と認められる者であって、「投資信託協会」の会員であることや、運用資産等である未公開株等及び未公開株等関連資産の評価を適正に行うことができる状況にあることなどが求められています。

具体的な上場審査基準の内容は次のとおりです。

運用会社等の属性について

項目 基準の内容
資産運用会社の適格性 投資法人の資産の運用に係る業務の委託を受けた資産運用会社が、一般社団法人投資信託協会の会員であること。
投資主名簿等管理人 投資主名簿等管理人が当取引所の承認する機関であること。

運用資産等の内容について

項目 基準の内容
運用資産等の総額に占める未公開株等投資額の比率 70%以上となる見込みのあること。
未公開株等投資額に占める特定未公開株等投資額の比率 50%以上となる見込みのあること。
未公開株等、未公開株等関連資産、上場後5年以内の株券等、上場後5年以内の継続保有株券等及び上場後5年を経過した継続保有株券等以外の運用資産等について 未公開株等、未公開株等関連資産、上場後5年以内の株券等、上場後5年以内の継続保有株券等及び上場後5年を経過した継続保有株券等以外の資産が、流動資産等及び運用資産等に係る価格変動による損失の危険その他の危険を減殺することを目的とし、かつ、当該損失の危険その他の危険を減殺することが客観的に認められる取引に係る権利その他の資産に限られること。

用語の定義

項目 内容
運用資産等
(有価証券上場規程1201条第1号の7)
投資証券の発行者である投資法人の資産をいう。
未公開株等投資額
(有価証券上場規程1305条第2号a、有価証券上場規程施行規則1305条第2項)
未公開株等、上場後5年以内の株券等、上場後5年以内の継続保有株券等及び上場後5年を経過した継続保有株券等の額並びに未公開株等関連資産のうち未公開株等、上場後5年以内の株券等、上場後5年以内の継続保有株券等及び上場後5年を経過した継続保有株券等に相当する部分の額の合計額をいう。
特定未公開株等投資額
(有価証券上場規程1305条第2号a、有価証券上場規程施行規則1305条第2項)
未公開株等及び上場後5年以内の継続保有株券等の額並びに未公開株等関連資産のうち未公開株等及び上場後5年以内の継続保有株券等に相当する部分の額の合計額をいう。
未公開株
(有価証券上場規程1201条第15号)
国内の金融商品取引所に上場されている株券(特定取引所金融商品市場に上場する企業の発行するものを除く。)又は外国金融商品取引所等において上場若しくは継続的に取引されている株券以外の内国株券をいう。
未公開株等
(有価証券上場規程1201条第16号)
未公開株並びに未公開株の発行者が発行する優先株等、新株予約権証券及び新株予約権付社債券をいう。
未公開株等関連資産
(有価証券上場規程1201条第17号)
次のaからeまでに掲げる資産をいう。
  1. 当事者の一方が、相手方の行う出資された財産を主として未公開株等に対して投資する運用のために出資を行い、相手方が、その出資された財産について主として未公開株等に対する投資として運用し、当該運用から生じる利益の分配を行うことを約する契約に係る出資の持分
  2. LPS法第3条に規定する投資事業有限責任組合契約に係る出資の持分(出資者が共同で未公開株等の取得及び保有のために出資を行い、出資された財産について主として未公開株等に対する投資として運用するものに限る。)
  3. 受益証券(投資信託の投資信託財産を主として未公開株等に対する投資として運用するものに限る。)
  4. 投資証券(投資法人が運用のために保有する資産を主として未公開株等に対する投資として運用するものに限る。)
  5. 外国の法令に基づく権利及び外国の者の発行する証券でaから前dまでに掲げる権利及び証券の性質を有するもの
上場後5年以内の株券等
(有価証券上場規程1201条第6号a及びb)
次のa及びbに掲げるものをいう。
  1. 国内の金融商品取引所に上場されている株券(特定取引所金融商品市場に上場する企業の発行するものを除く。)又は外国金融商品取引所等において上場若しくは継続的に取引されている株券となってから取得した株券で、上場又は継続的に取引されている株券となってから5年を経過していない内国株券(上場後5年以内の継続保有株券等を除く。)
  2. 前aに掲げる株券の発行者が発行する優先株等、新株予約権証券及び新株予約権付社債券(上場後5年以内の継続保有株券等を除く。)
上場後5年以内の継続保有株券等
(有価証券上場規程1201条第6号の2a及びb)
次のa及びbに掲げるものをいう。
  1. 国内の金融商品取引所に上場されている株券(特定取引所金融商品市場に上場する企業の発行するものを除く。)又は外国金融商品取引所等において上場若しくは継続的に取引されている株券となる前から継続保有していた株券で、上場又は継続的に取引されている株券となってから5年を経過していない内国株券
  2. 前aに掲げる株券の発行者が発行する優先株等、新株予約権証券及び新株予約権付社債券
上場後5年を経過した継続保有株券等
(有価証券上場規程1201条第6号の3a及びb)
次のa及びbに掲げるものをいう。
  1. 国内の金融商品取引所に上場されている株券(特定取引所金融商品市場に上場する企業の発行するものを除く。)又は外国金融商品取引所等において上場若しくは継続的に取引されている株券となる前から継続保有していた株券で、上場又は継続的に取引されている株券となってから5年を経過した内国株券
  2. 前aに掲げる株券の発行者が発行する優先株等、新株予約権証券及び新株予約権付社債券

財務内容等について

項目 基準の内容
純資産総額 上場の時までに30億円以上になる見込みのあること。
監査意見 次の(a)及び(b)に適合していること。

(a)最近2年間に終了する各営業期間(当該新規上場申請に係るベンチャーファンド発行投資法人の設立後の期間に限る。以下このeにおいて同じ。)の財務諸表等又は各営業期間の中間財務諸表等が記載又は参照される有価証券報告書等に虚偽記載を行っていないこと。

(b)最近2年間に終了する各営業期間の財務諸表等に添付される監査報告書及び最近1年間に終了する営業期間の間財務諸表等に添付される中間監査報告書において、公認会計士等の「無限定適正意見」若しくは「除外事項を付した限定付適正意見」又は「中間財務諸表等が有用な情報を表示している旨の意見」若しくは「除外事項を付した限定付意見」が記載されていること。ただし、施行規則で定める場合は、この限りでない。

ベンチャーファンドの分布状況について

項目 基準の内容
上場投資口数 上場の時までに2,000口以上になる見込みのあること。
大口投資主(所有する投資口口数の多い順に10名の投資主をいう。) 大口投資主が所有する投資口の総口数が、上場の時までに、上場投資口口数の80%以下になる見込みのあること。
投資主数 大口投資主を除く1単位以上の投資口を所有する投資主の数が、上場の時までに300人以上となる見込みのあること。

運用体制等について

項目 基準の内容
未公開株等及び未公開株等関連資産の評価の適正性 運用資産等である未公開株等及び未公開株等関連資産の評価を適正に行うことができる状況にあること。
  1. 運用資産である未公開株等及び未公開株等関連資産の評価を未公開株等評価機関に委託していること。
  2. 前号に規定する未公開株等評価機関について、資本関係、人的関係、取引関係その他の関係を総合的に勘案し、新規ベンチャーファンド上場申請者からの独立性が確保されている状況にあると認められること。
  3. 第1号に規定する未公開株等評価機関について、次のaからcまでに掲げる事項から、適正な評価を行うことができる社内体制が整備されている状況にあると認められること。
    1. 原則として、評価機関として設立された後、基準営業期間の末日までに3か年以上を経過していること、かつ、相応の財務基盤及び安定した収益実績を有すること。
    2. 評価に係る業務の遂行に必要な人員が確保されていること。
    3. 評価機関としての実績を有していること。
開示の適正性 新規ベンチャーファンド上場申請者が、当該ベンチャーファンドに関する情報の開示を適正に行うことができる状況にあること。
  1. 新規上場申請書類のうちベンチャーファンドに関する情報の開示に係るものに、投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項が適切に記載されていること。
  2. 新規ベンチャーファンド上場申請者が、資産の運用等に重大な影響を与える事実等の情報を適時、適切に開示することができる体制にあること。
資産運用等の健全性 新規ベンチャーファンド上場申請者が、資産の運用等を健全に行うことができる状況にあること。
  1. 新規ベンチャーファンド上場申請者が資産の運用等にあたって、新規上場申請銘柄の投資主の利益を害することがないよう、適切な体制を整備していること。
  2. 新規ベンチャーファンド上場申請者が、次のa及びbに掲げる事項その他の事項から、スポンサーの企業グループとの間で、取引行為その他の資産の運用等を通じて不当に利益を供与又は享受していないと認められること。
    1. 新規ベンチャーファンド上場申請者とスポンサーの企業グループとの間に取引が発生している場合において、当該取引が取引を継続する合理性及び取引価格を含めた取引条件の妥当性を有すること。
    2. スポンサーの企業グループが自己の利益を優先することにより、新規上場申請銘柄の投資主の利益が不当に損なわれる状況にないこと。
  3. 新規ベンチャーファンド上場申請者が資産の運用等を有効に行うため、その内部管理体制が、次のa及びbに掲げる事項その他の事項から、相応に整備され、適切に運用されている状況にあると認められること。
    1. 新規ベンチャーファンド上場申請者の企業グループの経営活動の効率性及び内部牽制機能を確保するに当たって必要な経営管理組織が、相応に整備され、適切に運用されている状況にあること。
    2. 新規ベンチャーファンド上場申請者の企業グループの内部監査体制が、適切に整備、運用されている状況にあること。
  4. 新規ベンチャーファンド上場申請者が資産の運用等にあたって、法令等を遵守するための有効な体制が、適切に整備、運用されている状況にあると認められること。
その他 その他公益又は投資者保護の観点から、その上場が適当でないと認められるものでないこと。
  1. ベンチャーファンドの新規上場を申請した者の企業グループが反社会的勢力による経営活動への関与を防止するための社内体制を整備し、当該関与の防止に努めていること及びその実態が公益又は投資者保護の観点から適当と認められること。
  2. その他公益又は投資者保護の観点から必要と認められる事項について上場審査を行う。

規約について

項目 基準の内容
クローズドエンドであること 投資法人の規約において、投資主の請求による投資口の払戻しをしないこととされていること。
特定の投資先への投資制限 次のイ又はロのいずれか

イ 特定の投資先に取得時における純資産総額の10%を超えて投資しないこと。

ロ 未公開株等又は未公開株等関連資産については特定の投資先に取得時における純資産総額の15%を超えて投資せず、その他の資産については特定の投資先に取得時における純資産総額の10%を超えて投資しないこと。
資金の借入れ及び投資法人債券の発行
次のイ又はロのいずれか

イ 資金の借入れ及び投資法人債券の募集をしないこと。

ロ 投資法人の規約又はこれに類する書類において、原則として総資産有利子負債比率が20%以下となる運用方針であること、資金の借入れ又は投資法人債券の発行に係るリスク管理方針並びに資金の借入れ又は投資法人債券の発行に係る目的、限度額及び使途に関する事項が定められていること。
営業期間 営業期間として定める期間が6か月以上であること。

その他について

項目 基準の内容
振替機関取扱い 新規上場申請銘柄が指定振替機関における取扱いの対象であること又は上場の時までに取扱いの対象となる見込みのあること。