上場制度(ベンチャーファンド)
ベンチャーファンドの上場には、当該ベンチャーファンドの発行内容その他の事項が「有価証券上場規程(ベンチャーファンド)」に定める上場審査基準に適合していることが必要となります。
その中において、運用資産等の総額に占める未公開株等投資比率に係る基準、純資産総額に係る基準等が定められており、また、ベンチャーファンドの発行者や資産運用会社について、資産の運用体制、コンプライアンス及び適時開示に係る体制の観点から適当と認められる者であって、「投資信託協会」の会員であることや、運用資産等である未公開株等及び未公開株等関連資産の評価を適正に行うことができる状況にあることなどが求められています。
具体的な上場審査基準の内容は次のとおりです。
運用会社等の属性について
項目 | 基準の内容 |
資産運用会社の適格性 | 投資法人の資産の運用に係る業務の委託を受けた資産運用会社が、一般社団法人投資信託協会の会員であること。 |
投資主名簿等管理人 | 投資主名簿等管理人が当取引所の承認する機関であること。 |
運用資産等の内容について
項目 | 基準の内容 |
運用資産等の総額に占める未公開株等投資比率 | 50%を超える見込みのあること。 |
未公開株等、未公開株等関連資産及び継続保有株券等以外の運用資産等について | 未公開株等、未公開株等関連資産及び継続保有株券等以外の資産が、投資信託法施行規則第19条第3項各号に掲げるもの、流動資産等及び運用資産等に係る価格変動による損失の危険その他の危険を減殺することを目的とし、かつ、当該損失の危険その他の危険を減殺することが客観的に認められる取引に係る権利その他の資産に限られること。 |
用語の定義
項目 | 内容 |
運用資産等 (有価証券上場規程1201条第1号の7) |
投資証券の発行者である投資法人の資産をいう。 |
未公開株等投資比率 (有価証券上場規程1305条第2号a、有価証券上場規程施行規則1305条第2項) |
運用資産等の総額に占める未公開株等関連証券の額及び未公開株等関連資産のうち未公開株等関連証券に相当する部分の額の合計額の比率をいう。 |
未公開株等関連証券 (有価証券上場規程施行規則1305条第2項) |
未公開株等及び継続保有株券等をいう。 |
未公開株 (有価証券上場規程1201条第15号) |
国内の金融商品取引所に上場されている株券(特定取引所金融商品市場に上場する企業の発行するものを除く。)又は外国金融商品取引所等において上場若しくは継続的に取引されている株券以外の内国株券をいう。 |
未公開株等 (有価証券上場規程1201条第16号) |
未公開株並びに未公開株の発行者が発行する優先株等、新株予約権証券及び新株予約権付社債券をいう。 |
未公開株等関連資産 (有価証券上場規程1201条第17号) |
次のaからeまでに掲げる資産をいう。
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継続保有株券等 (有価証券上場規程1201条第6号a及びb) |
次のa及びbに掲げるものをいう。
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財務内容等について
項目 | 基準の内容 |
純資産総額 | 上場の時までに30億円以上になる見込みのあること。 |
監査意見 | 次の(a)及び(b)に適合していること。
(a)最近2年間に終了する各営業期間(当該新規上場申請に係るベンチャーファンド発行投資法人の設立後の期間に限る。以下このeにおいて同じ。)の財務諸表等又は各営業期間の中間財務諸表等が記載又は参照される有価証券報告書等に虚偽記載を行っていないこと。 (b)最近2年間に終了する各営業期間の財務諸表等に添付される監査報告書及び最近1年間に終了する営業期間の間財務諸表等に添付される中間監査報告書において、公認会計士等の「無限定適正意見」若しくは「除外事項を付した限定付適正意見」又は「中間財務諸表等が有用な情報を表示している旨の意見」若しくは「除外事項を付した限定付意見」が記載されていること。ただし、施行規則で定める場合は、この限りでない。 |
ベンチャーファンドの分布状況について
項目 | 基準の内容 |
上場投資口数 | 上場の時までに2,000口以上になる見込みのあること。 |
大口投資主(所有する投資口口数の多い順に10名の投資主をいう。) | 大口投資主が所有する投資口の総口数に自己投資口口数(自己投資口処分決議を行った場合には、処分する自己投資口口数を除く。)を加えた投資口口数が、上場の時までに、上場投資口口数の80%以下になる見込みのあること。 |
投資主数 | 大口投資主及び自己投資口を所有している場合(所有している投資口の全てについて自己投資口処分決議を行った場合を除く。)の当該新規上場申請銘柄の発行者である者を除く1単位以上の投資口を所有する投資主の数が、上場の時までに300人以上となる見込みのあること。 |
運用体制等について
項目 | 基準の内容 |
未公開株等及び未公開株等関連資産の評価の適正性 | 運用資産等である未公開株等及び未公開株等関連資産の評価を適正に行うことができる状況にあること。
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開示の適正性 | 新規ベンチャーファンド上場申請者が、当該ベンチャーファンドに関する情報の開示を適正に行うことができる状況にあること。
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資産運用等の健全性 | 新規ベンチャーファンド上場申請者が、資産の運用等を健全に行うことができる状況にあること。
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その他 | その他公益又は投資者保護の観点から、その上場が適当でないと認められるものでないこと。
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規約について
項目 | 基準の内容 |
投資対象資産 | 未公開株等投資比率を原則として50%超とする旨。 未公開株等、未公開株等関連資産及び継続保有株券等以外の資産が、投資信託法施行規則第19条第3項各号に掲げるもの、流動資産等及び運用資産等に係る価格変動による損失の危険その他の危険を減殺することを目的とし、かつ、当該損失の危険その他の危険を減殺することが客観的に認められる取引に係る権利その他の資産に限られる旨。 |
クローズドエンドであること | 投資法人の規約において、投資主の請求による投資口の払戻しをしないこととされていること。 |
特定の投資先への投資制限 | 次のイ又はロのいずれか イ 特定の投資先に取得時における純資産総額の10%を超えて投資しないこと。 ロ 未公開株等又は未公開株等関連資産については特定の投資先に取得時における純資産総額の15%を超えて投資せず、その他の資産については特定の投資先に取得時における純資産総額の10%を超えて投資しないこと。 ※なお、特定の投資先に取得時における純資産総額の10%を超えて投資する場合には、取得の際に、適時開示において、適切な投資であると判断した理由を記載する必要があります。 |
資金の借入れ及び投資法人債券の発行 |
次のイ又はロのいずれか イ 資金の借入れ及び投資法人債券の募集をしないこと。 ロ 投資法人の規約又はこれに類する書類において、原則として総資産有利子負債比率が20%以下となる運用方針であること、資金の借入れ又は投資法人債券の発行に係るリスク管理方針並びに資金の借入れ又は投資法人債券の発行に係る目的、限度額及び使途に関する事項が定められていること。 |
営業期間 | 営業期間として定める期間が6か月以上であること。 |
その他について
項目 | 基準の内容 |
振替機関取扱い | 新規上場申請銘柄が指定振替機関における取扱いの対象であること又は上場の時までに取扱いの対象となる見込みのあること。 |